FXに興味を持ち、いざ始めようとしたとき、FXの基本である「買い」と「売り」の仕組みでつまずいてしまう初心者は決して珍しくありません。特に「持っていない通貨を売る(空売り)」という概念は、日常生活では馴染みが薄いため、直感的に理解しづらい部分です。
では、FXにおける「売り」と「買い」とは、具体的にどのような仕組みで成り立ち、どのように利益や損失が発生するのでしょうか。
本記事では、FXの「売り」と「買い」の仕組みを比較表や値動きのシミュレーションを用いてわかりやすく解説します。利益が出るパターンや売買のタイミングはもちろん、知っておくべき注意点や基礎用語まで網羅しました。この記事を最後までお読みいただければ、FX取引の全体像を掴むことができるようになるのではないでしょうか。
FX取引は、将来の為替レートが現在よりも「上がる」か「下がる」かを予想して利益を狙う投資手法です。こう表現すると非常にシンプルで、FX取引とは何?という答えはそれ以上でもそれ以下でもありません。
一般的な外貨預金とは異なり、FXでは「買い」から始めるだけでなく、「売り」から始めることも可能です。ひとつ前の「FX取引とはどういう投資手法か」という表現に当てはめると、『「上がる」か「下がる」かを予想して』の言葉通り、上がると予想する場面でも利益を狙うことができるとともに、下がると予想する場面でも利益を狙うことができる、ということになります。実は、この「双方向の取引が可能である」という点こそが、FXの持つ最大の魅力であり、大きな特徴と言えます。
将来の為替レートが上がると予想した場合、「買い」から入ります。
たとえば、1ドル100円の時に買い、1ドル101円の円安(ドル高)になったタイミングで売却したとしましょう。この場合、1円分の差額がそのまま利益となります。
これは「安く買って高く売る」という、まるでスーパーマーケットなど小売店が「安く仕入れて販売する」のと同じ、非常に直感的な仕組みです。
一方で、将来の為替レートが下がると予想した場合はどうでしょうか。この時は、まず「売り」から入ります。投資の世界では、これを「空売り」とも呼びます。
たとえば、1ドル100円の時に売り、1ドル99円の円高(ドル安)になったタイミングで買い戻すとします。すると、この差額が利益となるわけです。
高く売って安く買い戻す。この仕組みがあるからこそ、下落相場であっても利益を狙えるのがFX取引の強みと言えます。
手元にない通貨を、どうやって先に売ることができるのか。その理由は、FXが「証拠金取引(差金決済)」という仕組みを採用しているためです。
FXでは、現物の通貨を直接やり取りするわけではなく、売買の結果生じた「差額」だけを決済します。取引を始める際、私たちは口座に資金を担保(証拠金)として預け入れます。この仕組みがあるからこそ、通貨を借りて「売る約束」を交わすことができるのです。
実際の取引において、どれくらいの利益や損失が発生するのか。この規模感をあらかじめ把握しておくことは非常に重要です。
ここでは、注文数量を1万通貨とした場合を例に挙げ、具体的な為替レートを用いたシミュレーションを見ていきましょう。
「買い」から始めた場合の損益シミュレーション
| 買い値 | 決済売り(転売) | 数量 | 損益(差額) |
|---|---|---|---|
| 150円 | 151円 | 1万通貨 | +10,000円(利益) |
| 150円 | 149円 | 1万通貨 | -10,000円(損失) |
「買い」から入った場合、予想通りに為替レートが上がれば決済時の差額が利益となります。しかし予想に反して為替レートが下がってしまった場合は、その差額分が損失となります。
「売り」から始めた場合の損益シミュレーション
| 売り値 | 決済買い(買戻) | 数量 | 損益(差額) |
|---|---|---|---|
| 150円 | 149円 | 1万通貨 | +10,000円(利益) |
| 150円 | 151円 | 1万通貨 | -10,000円(損失) |
「売り」から入った場合、予想通りに為替レートが下がれば利益となります。一方で、予想に反して為替レートが上がってしまった場合は、その差額分が損失として発生します。
売買タイミングの判断には、過去の値動きをグラフ化したチャートから未来を予想する「テクニカル分析」が用いられます。
フィリップ証券が提供する世界標準の取引ツール「MT5(メタトレーダー5)」は、この分析機能において非常に優れています。豊富なインジケーター(移動平均線、ボラティリティ指標など)を標準搭載しており、PCでもスマホでも高度なチャート分析が可能です。客観的なデータに基づき「今が買いか、売りか」を判断するために、MT5は強力な武器となります。
下落相場でも利益を狙える「売り」ですが、一方で保有し続けた場合のリスクも存在します。その一つが、スワップポイントの支払いです。
スワップポイントとは、2国間の金利差によって発生する調整分です。日本円のような低金利通貨を買って、米ドルのような高金利通貨を売るポジション(売りポジション)を翌営業日に持ち越すと、金利差の差額を毎日支払う必要が生じます(マイナススワップ)。日本人に馴染みの深い、ドル円やユーロ円といった〇〇円の「クロス円」通貨はほとんどが買いポジション保有でスワップ金利の受取ができ、売りポジション保有でスワップ金利の支払いとなっていますので、売りポジションを長期保有する際はスワップ金利支払いによるコストが発生するケースが多い点にご注意ください。
「売り」から入った場合、為替レートは理論上どこまでも上がる可能性があるため、損失が大きく拡大するリスクがあります。
これを防ぐためには、あらかじめ許容できる損失額を決めておくことが重要です。MT5では、指定した価格で自動決済する「逆指値注文(表示名では「ストップ注文」)」の設定も簡単に行えます。徹底したリスク管理をツールで仕組み化しましょう。
ここまで、FX取引を始める際の「売り」と「買い」について見てきましたが、基本的な用語について深掘りしてみましょう。
新規で注文を行い、まだ決済を行っていない保有状態のことを「ポジション(建玉)」と呼びます。買い注文を保有していれば「買いポジション」、売り注文なら「売りポジション」と言います。日本語にすると「立場」ということになり、「買いポジション」は「買っている立場」で「売りポジション」は「売っている立場」と考えると理解が進みやすいのではないでしょうか。
売る時の価格を「BID(売値)」、買う時の価格を「ASK(買値)」と呼びます。この2つの価格差が「スプレッド」であり、FXにおける実質的な手数料となります。そのため、一般的に取引を開始した直後はスプレッドの分だけマイナスからスタートすることになります。
フィリップ証券でFX取引を行うステップをまとめました。
フィリップ証券のMT5なら、初心者でも直感的な操作でプロと同じ取引環境を手に入れられます。
「買い」はレートが上がると予想してポジションを持つこと、「売り」はレートが下がると予想してポジションを持つことです。
買いポジションを持ちながら売りポジションを持つことは、「両建て」とされ値動きによる価格変動リスクが減少する一方で、保有し続けるだけスワップ金利の分だけ損失が拡大するリスクもあり、そもそもの経済的合理性に欠けるというところからフィリップ証券では両建て取引を推奨しておりません。
FX取引の「売り」と「買い」について、まとめると以下です。
FXの仕組みが理解できたら、まずは少額から実際の取引を体験してみましょう。世界基準の取引環境を、今すぐ手に入れてください。