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商品先物を学ぼう

商品先物取引は「商品取引所」で取引が日々行われています。この「商品取引所」へ注文ができるのは「商品取引所の会員のみ」となっており、一般の方が参加するには、「商品取引所の会員」のうち、弊社のように許可を受けた「商品取引員」に取引の委託をすることで商品先物取引に参加が可能となります。

商品先物取引の意義

一般的に言われることに(実際にそうなのですが)、商品先物取引は「ハイリスク・ハイリターン」な取引であることが挙げられます。100万円の投資で100万円の利益が出ることもある反面、100万円の損失となる可能性もあるというリスクの高い資産運用手段がなぜ必要なのでしょうか?商品先物取引の社会的な意義について、ご紹介します。

価格変動リスクのヘッジ機能

スーパーなどで売られている野菜や魚、ガソリンスタンドでのガソリンの値段や貴金属店での金の値段などは毎日値段が変化をしています。

そこで、これらの販売をする人や材料として仕入れる必要のある人は、先々の値段を見据えたりその時の見通しを踏まえたりしながら、いつ仕入れるか?販売するならば値段はいくらにする?と常に模索しているのです。当然ながら、安く仕入れて高く売ることができればその値段の差が利益となりますが、売り値段をあまり高く設定しすぎると買われにくくなってしまいます。かといって、あまりにも安く設定してしまい仕入れた値段よりも低い値段で売ってしまうと損失を被ることになります。

ただ、仕入れる値段の変化は誰にもわかりません。

商売での「あるあるネタ」として語られることですが、今が安い!と思って仕入れたのにもっと安くなったり、「このくらいなら買ってもらえるだろう」と値段を設定したのに、いざ売りに出してみたら、その品物が大きく値崩れを起こしていて売れなくなってしまい損になってしまった、ということもあるのです。

物品の販売や仕入れを担当する人にとってはこの「値段の変化・変動による損失の可能性を回避する」ことができれば助かる、というもの。これを可能にしているのが商品先物市場です。堅い言葉で言うところの「価格変動リスクのヘッジ機能の提供」ということになります。

たとえば、海外で1トンあたり50,000円で買い付けた大豆が、3か月後に日本に到着するまでの間に1トンあたり45,000円に値下がりしたとしたら、この業者は1トンあたり5,000円の損をすることになります。しかし、ここで商品先物取引を活用し、海外で1トンあたり50,000円で大豆を買い付けると同時に、同じ値段で商品取引所を通じて売り契約をしておきます。そうすると、仕入れた商品が日本に到着する3か月後に1トンあたり45,000円となって損失が発生していても、商品先物市場では理論上ほぼ同様に値下がりをしており利益となっていますので、現物のみの取引だった場合に発生する可能性のあった損失を回避ができたことになります。また、損失を回避するのに要した資金は商品先物市場での担保として預けた証拠金で、現物価格の1割程度で済む点も大きな利点といえます。

この取引は、価格変動によって被るおそれのある危険「プライス・リスク」を商品先物市場を使って回避するもので”商品先物取引のリスクヘッジ機能”と呼ばれ、特に海外市場で商品を売買している商社にとってはなくてはならないものとされています。

公正な価格の形成

商品取引所では、その会員だけではなく商品取引員を通じて商社や生産業者や加工業者など商品の取引に直接関わる者(当業者とも呼ばれます)や、個人投資家、法人投資家や金融機関などたくさんの市場参加者の中で決定された価格で取引が行われていますので、その時点の価格としては最も公正な価格ということになります。

先行指標価格の提供

商品取引所での公正な価格を利用して指標とすることで、商取引での現物の売買をする際に設定する価格を考えたり、生産業者もその値段によって生産する量を考えたり、輸入業者も商品先物市場を利用したリスクヘッジを考えながら商取引ができるようになります。

このように、商品先物取引は商取引や社会経済活動を円滑にするためになくてはならないものであり、産業インフラの一翼として重要な役割を担っているのです。