風読記 フィリップFXブログ
米雇用統計悪化を受けてドル売りへ
直近の指標の堅調さから期待感の高まっていた雇用統計、フタを開けてみれば思惑と裏腹に前月からの減速が見られる結果に。
非農業部門雇用者は前月比3.9万人増と前月の15.1万人増から大きく減少。この前月のものも17.2万人へと上場修正されたが焼け石に水。
民間部門雇用者も同様に低調で前月比5.0万人増、製造業雇用者に至っては前月と同様に対前月で減少、しかも減少幅を拡大しての-1.3万人となり、失業率も9.6%から9.8%へ悪化と良いところなし。
前に発表されたカナダ雇用統計では失業率が7.9%から7.6%へと改善していたことも米雇用統計の楽観ムードに拍車をかけていたが、そのカナダ雇用統計も中身を見てみると常勤雇用者が前月の4.72万人増から1.15万人減へと大幅に悪化、反対に非常勤雇用者はというと前月の4.42万人減から2.67万人増へと増加というもの。単純に雇用形態が常勤から非常勤へと転換しているということで総合の雇用者数変化+1.52万人や失業率改善の数字は決して鵜呑みにしていいものではない。北米両国の停滞ぶりが明らかになった指標と言えるだろう。
これらを受けて市場は素直にドル売り。ドル円は発表前に83.85-90水準だったものが発表直後には82.60-65水準まで急落、反対にユーロは対ドルで1.324から1.334へポンドは1.562から1.57へとそれぞれ上昇したことでクロス通貨はスプレッドの変動こそあったもののトレンドに大きな変化が出ることもない状況で推移した。ドル売り商状は通貨だけではなく商品価格へも影響しNY金は17ドル前後の高値、NY原油も90ドル目前となる89.19ドルへ上昇、ドルインデックスも下降に転じておりそれぞれ今後ドルの上値の重しとなってくるのではないだろうか。
今週はこのドル売りからの戻しがどこまでか、というものがひとつのテーマになってくるがあまり「戻し」ばかりを意識しすぎるのは禁物。ドル円のサポートトレンドラインは日足では81.50、週足では81.80、日足の雲の下限が82.05にそれぞれあり、82.70レベルで始まったものがこれらを試しにいくかどうか、試しにいったとしてどの段階で止まるのか見極めることも必要になるだろう。
他のブログでの今回の見方はこちら
2010.12.6日 8:23更新
固定ページ
アーカイブ