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フィリップ2023年4Qシンガポール投資戦略②ー戦略ポートフォリオ解説

 

フィリップ・アブソリュート10(PA-10)

当四半期のモデルポートフォリオは前年同期比-1.4%の下落となった。不動産と観光銘柄へのエクスポージャーがパフォーマンスの足かせとなった。PropNexは決算の軟調さと将来の取引高への不安を背景に-13%となった。キャピタランド・アスコットは買収のための3億S$の増資計画の発表のち急落、キャピタランドインベストメントは取引活動の低下と中国の減速懸念を反映して下落した。コンフォート・デル・グロは23年の下半期決算を好感され、強い反発を見せたことから最もパフォームした。

 

22年4Q: SGX追加Asian PayTV除外

23年1Q: Prime US REIT追加Singtel除外

23年2Q: FCT, PropNex, CLI追加Prime US REIT, Del Monte Pacific, HRnetGroup除外

23年3Q: Thai Beverage追加DBS除外

23年4Q: ST Engineering, Singtelを追加、CDL, SGXを除外

 

戦略の解説: 当社のモデルポートフォリオは市場に対する懸念を反映して景気循環への影響を受けづらい防衛関連、配当性向の高い銘柄、通信関連へエクスポージャーを拡大する。

モデルの変更: CDLとSGXを除外する。住宅不動産の販売の低迷はCDLの利益の重石となることと予想する。金利収入が伸びる一方で、株式とデリバティブの取引ボリュームの鈍化はSGX株価の軟化要因として継続するものと予想。モデルポートフォリオに新たにST EngineeringとSingtelを成長名柄およびレーティングの見直しがあった銘柄として追加する。

ポートフォリオ銘柄 各企業へのコメント
CapitaLand Ascott

キャピタランド・アスコット

一部の市場では既にパンデミック前の水準を上回っているため、ADR(一日あたり客室単価)の伸びは緩やかになると予想し、今後の販売可能客室あたり収益(RevPAU)の伸びの原動力は稼働率の上昇となる。
FCT

フレイザーズ・センターポイント

高い稼働率(98.7%)、健全なテナント売却、安定した賃料リターンにより、5.6%の安定した配当利回りがもたらされている。
OCBC

オーシービーシー銀行

高金利環境を反映した利益成長が見られている。そのほかカタリストとなるのは、デリバティブ取引高と手数料収入の成長、その一方での費用増加が抑えられている事などから23年度の好決算が予想されている。
PropNex

プロップ・ネックス

新規取引数改善が23年3Q決算で見られ、その成長は7月8月においてYoYで42%増であった。23年下半期において取引量・市場シェアの成長モメンタムがある。24年業績で7%の配当利回りがあると予想する。
ST Engineering (New)

ST エンジニアリング

同社は(1)近年増加する防衛・安全保障への支出、(2)航空機利用による旅行の回復が、航空機の副資材や部品等への需要増を牽引すること、(3)傘下のトランスコア業績からの恩恵を得られるものと予想する。
ThaiBev.

タイ・ビバレッジ

タイにおける個人消費は、景気刺激策への回帰によって改善するものと予想する。タイ新政府は国民のデジタルウォレット、農業経営者の債務猶予、最低賃金の上昇政策などに560億バーツの政府支出を計画している。
CapitaLand Inv.

キャピタランド・インベストメント

不動産投資と宿泊管理事業は、中国の経済再開による業績回復を続けるだろう。同社のファンド管理による継続的な収益は成長を続けており、23年上半期では10%の前年比成長を実現した。
ComfortDelgro

コンフォート・デル・グロ

23年下半期における電車乗客賃料、中国におけるタクシー業者へのリベート減価、Zigプラットフォームの導入からくる手数料収入、英国におけるバス賃料改定と手数料収入増などによる強い利益反発が期待される。
Singtel(New)

シングテル

インドやフィリピン、タイなどの地域関連会社におけるモバイル販売価格の改善が見られる。その中で、保有不動産やデータセンター、地域関連会社の資金転化をすすめている。
Keppel Corp

ケッペル

①高いマージンと再生可能エネルギーキャパシティからなる発電事業、②不動産やレガシーリグ、データセンターといった資産の再活用、③資産やファンド管理からくる継続的収益が、ケッペルの価値を上昇させると予想

フィリップ・アブソリュート10

企業名 直近

1ヶ月

リターン

直近

3ヶ月

リターン

年初来
リターン
レーティング 目標株価
(SGD)
株価
(SGD)
上昇余地 時価総額
(百万USD)
配当利回り
■配当利回り
Capitaland Ascott -1.0% -11.1% -8.6% 保有増 1.20 0.96 25% 2,632 5.9%
FCT -2.2% 0.0% 4.3% 保有増 2.35 2.19 7% 2,729 5.6%
   
■配当/利益成長    
OCBC 2.1% 4.3% 5.2% 買い 14.96 12.81 17% 42,010 5.3%
PropNex -2.8% -12.9% 15.0% 保有増 1.16 0.88 32% 712 7.7%
ST Engin.(New) 2.6% 6.3% 16.7% 買い 4.50 3.91 15% 8,887 4.1%
ThaiBev 0.9% -0.9% -16.1% 買い 0.75 0.58 30% 10,537 3.9%
     
■レーティング見直し    
CapitaLand Inv. -4.3% -6.3% -14.8% 買い 3.68 3.10 19% 11,518 3.9%
ConfortDelgro 2.4% 12.1% 5.7% 買い 1.57 1.30 21% 2,054 3.5%
Singtel 1.7% -3.2% -5.8% 買い 2.80 2.42 16% 29,144 4.1%
Keppel Corp -2.0% 1.3% 43.7% 保有増 7.7 6.80 13% 8,741 4.9%
平均値 -0.3% -1.0% 4.5% 19% 4.9%

引用: ブルームバーグ, フィリップ・セキュリティーズ・リサーチ  配当利回りは過去実績に基づく

 

 

 

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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