【投資戦略ウィークリー 2025年8月4日号(2025年8月1日作成)】”半導体製造プロセス「後工程」がAI半導体で主役の座へ”
■半導体製造プロセス「後工程」がAI半導体で主役の座へ
- 2025年4-6月の四半期決算と通期見通しの発表が相次いでいる。その中で、日経平均株価への影響が大きい半導体関連銘柄の動向に変化が見られる。生成AI(人工知能)の普及が進む中で半導体が一段と複雑化し、高性能の検査装置に強みを持つアドバンテスト(6857)はAI半導体需要の拡大を受けて業績を上方修正したものの、今年4月に付けた年初来安値から5倍以上に株価上昇しており、その反動もあって、上値が重い展開となっている。
- 半導体製造装置では、ウエハ洗浄装置で世界首位のSCREENホールディングス(7735)が営業減益となり、半導体製造プロセスの前工程に強い東京エレクトロン(8035)は半導体メーカーの設備投資計画見直しを受けて通期業績予想を下方修正。先端半導体のマスク欠陥検査装置を開発・製造し、EUV(極端紫外線)光源の市場を独占するレーザーテック(6920)に対し、半導体の技術ドライバーが先端露光技術からパッケージに移行し、EUV露光用マスクおよび関連装置の需要がピークアウトしていると指摘する市場関係者の見方もある。
- 半導体製造プロセスで中核的な役割を果たす露光装置の分野では、微細化で最先端を行く「EUV露光装置」はオランダのASMLが市場を独占してきた中、プロセッサーやメモリーといった複数のチップを一つに組み上げる「パッケージ」によって性能を高めようという動きが半導体メーカーの間で広がってきた。キヤノン(7751)は半導体を組み立てる「後工程」に特化した露光装置の販売を伸ばしている。
- 韓国SKハイニックスは先端半導体の「広帯域メモリー(HBM)」で強みを発揮している。HBMの組み立て工程では、稼働時の発熱の抑制のため、半導体チップを重ね合わせる際に封止材を注入する新しい技術を確立したことで量産を実現した。その際、封止材の素材や製造装置で強い技術力を持つ日本企業との協力が決め手になった。
- 高速・低電力な次世代コンピューティング技術として注目を集めている「光電融合」の実現は、電気信号を処理する半導体と光信号を処理する光学部品を一つの小さな基板上に実装するパッケージング技術「Co-Packaged Optics(CPO)」の進展が鍵を握っている。CPOの実装では、半導体チップの近くに光学部品が密集する中で光ファイバーと光学部品との接続に関する技術が課題とされている。具体的には、光ファイバーの位置合わせ(アラインメント)が難しい点、および、接続部が半導体チップの発熱の影響を受けやすい点である。住友電気工業(5802)は光ファイバーに「微小レンズ」を付けて位置ずれを許容・吸収しやすくする技術を持ち、米エヌビディアと光電融合ネットワークスイッチの開発で協業している。半導体後工程で使用される材料や装置で強みを持つレゾナック・ホールディングス(4004)は、熱に強く、位置ずれしにくい接着剤を開発している。(笹木)
本日号は、住友ベークライト(4203)、オリエンタルランド(4661)、日本碍子(5333)、近鉄グループホールディングス(9041)、バンコク銀行(BBL)を取り上げた。
■主な企業決算の予定
- 8月4日(月): 味の素、日本製鋼所、日清食品HD、東京精密、川崎汽船、千葉銀行、住友ベークライト、三菱商事、三菱UFJフィナンシャル・G、王子HD、ローム、ヒロセ電機、ひろぎんHD、アイカ工業、PALTAC、NTN、LINEヤフー、JFEHD、(米)パランティア・テクノロジーズ、オン・セミコンダクター
- 8月5日(火): 日本郵船、東洋製罐GHD、東邦HD、東武鉄道、帝人、長瀬産業、太陽誘電、全国保証、西日本旅客鉄道、小林製薬、住友大阪セメント、住友重機械工業、三菱重工業、三井不動産、九州旅客鉄道、丸井G、横河電機、レンゴー、リクルートHD、ユニ・チャーム、ユー・エス・エス、ヤマハ発動機、メルカリ、メディパルHD、ミネベアミツミ、マルハニチロ、マツダ、バンダイナムコHD、ニッスイ、ニチレイ、デクセリアルズ、ツムラ、タカラトミー、ダイワボウHD、ダイキン工業、ソフトバンク、セイコーエプソン、スズキ、ジーエス・ユアサ コーポレーション、コンコルディア・フィナンシャルG、クボタ、キッコーマン、エーザイ、ウシオ電機、アズビル、UBE、NOK、JX金属、FUJI、ALSOK、(米)アムジェン、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、キャタピラー、ファイザー、グローバルファウンドリーズ
- 8月6日(水):明治HD、本田技研工業、富士フイルムHD、博報堂DYHD、日油、日本発条、日本光電工業、日本空港ビルデング、日清紡HD、東京応化工業、東急不動産HD、大和ハウス工業、川崎重工業、鹿島建設、資生堂、江崎グリコ、栗田工業、京浜急行電鉄、京王電鉄、楽天銀行、花王、ロート製薬、リンナイ、めぶきフィナンシャルG、ポーラ・オルビスHD、ペプチドリーム、ブラザー工業、テクノプロ・HD、シスメックス、ゴールドウイン、カカクコム、オムロン、エムスリー、アルフレッサHD、THK、NTT、JMDC、IHI、FOOD & LIFE COMPANIES、(米)アップラビン、ドアダッシュ、エアビーアンドビー、ウォルト・ディズニー・カンパニー、マクドナルド、ショッピファイ
- 8月7日(木):カドカワ、名古屋鉄道、堀場製作所、浜松ホトニクス、日本新薬、日本触媒、日揮HD、東京海上HD、東急、東海カーボン、島津製作所、長谷工コーポレーション、第一興商、太平洋セメント、西日本鉄道、神戸製鋼所、森永製菓、住友林業、住友不動産、住友金属鉱山、住友ゴム工業、参天製薬、三菱地所、三菱瓦斯化学、三菱マテリアル、三浦工業、三井化学、五洋建設、古河電気工業、九州フィナンシャルG、京阪HD、丸一鋼管、科研製薬、レゾナック HD、レーザーテック、リロG、リコー、ライオン、ヤマダHD、ホシザキ、フジクラ、ふくおかフィナンシャルG、ピジョン、パイロットコーポレーション、ニトリHD、ニチアス、ニコン、トレンドマイクロ、トヨタ自動車、テルモ、ディー・エヌ・エー、ダスキン、ダイフク、ソフトバンクG、ソニーG、セイノーHD、しずおかフィナンシャルG、サントリー食品インターナショナル、サッポロHD、コムシスHD、コスモエネルギーHD、コーセー、ケーズHD、グローリー、キリンHD、オリックス、エア・ウォーター、インターネットイニシアティブ、いすゞ自動車、アマダ、アサヒGHD、TBSHD、SUMCO、SUBARU、SANKYO、KOKUSAI ELECTRIC、(米)ギリアド・サイエンシズ、アトラシアン、マイクロチップ・テクノロジー、ザ・トレードデスク、イーライリリー、コノコフィリップス、ワーナーブラザース・ディスカバリー、コンステレーション・エナジー
- 8月8日(金):宝HD、不二製油、飯田GHD、日本郵政、日本ペイントHD、日産化学、東京建物、東京センチュリー、東レ、第一生命HD、大林組、大日本印刷、大成建設、西松建設、森永乳業、小田急電鉄、出光興産、山口フィナンシャルG、三菱HCキャピタル、三越伊勢丹HD、三井金属鉱業、高砂熱学工業、戸田建設、近鉄GHD、共立メンテナンス、岩谷産業、関西ペイント、楽天G、ゆうちょ銀行、ヤオコー、ブリヂストン、フジテック、パーソルHD、ニプロ、ニッコンHDテイ・エステック、タダノ、ゼンショーHD、セブン銀行、セコム、セガサミーHD、スクウェア・エニックス・HD、シャープ、シップヘルスケアHD、サンリオ、サイバーエージェント 、コロワイド、クラレ、かんぽ生命保険、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、カネカ、オリンパス、エクシオG、インフロニアHD、いよぎんHD、デンカ、TOYOTIRE、TOPPAN HD、T&DHD、SMC、SGHD、NIPPON EXPRESSHD、MS&ADインシュアランスGHD、INPEX、H.U.GHD、GMOペイメントゲートウェイ、ENEOSHD、DOWAHD、DIC、ADEKA
■主要イベントの予定
- 8月4日(月):
・衆院予算委(米国の関税措置で集中審議)、08:50マネタリーベース(7月)
・APECデジタル・AI担当大臣会合(韓国・仁川、6日まで)、米製造業受注(6月)
- 8月5日(火):
・財務省10年利付国債入札、08:50 日銀金融政策決定会合議事要旨(6月16・17日分)、09:30 S&Pグローバル日本サービス業・複合PMI (7月)
・米3年債入札、 米貿易収支(6月)、S&Pグローバル米サービス業・総合PMI(7月)、米ISM非製造業総合景況指数(7月)、ユーロ圏総合・サービス業PMI(7月)、ユーロ圏PPI(6月)、中国財新サービス業・総PMI(7月)、インドネシアGDP(2Q)
- 8月6日(水):
・広島市で平和式典、08:30 毎月勤労統計-現金給与総額(6月)
・米10年債入札、インド中銀が政策金利発表、ポーランドのナブロツキ新大統領の就任式(ワルシャワ)、ユーロ圏小売売上高(6月)、独製造業受注(6月)
- 8月7日(木):
・財務省30年利付国債入札、08:50対外・対内証券投資(7月27日-8月2日)、11:00東京オフィス空室率(7月)、14:00景気一致指数・先行CI指数(6月)
・米30年債入札、英中銀とメキシコ中銀が政策金利発表、ECB経済報告、米非農業部門労働生産性(2Q)、米新規失業保険申請件数(8月2日終了週)、米卸売在庫(6月)、米NY連銀期待インフレ率(7月)、 米消費者信用残高(6月)、独鉱工業生産(6月)、中国外貨準備高(7月)、中国貿易収支(7月)、フィリピンGDP(2Q)
- 8月8日(金):
・08:30 家計支出(6月)、08:50日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30・31日分)、08:50 国際収支(経常収支・貿易収支)(6月)、08:50 銀行貸出動向(7月)、14:30自民党両院議員総会、14:00景気ウォッチャー調査の先行き判断・現状判断(7月)
- 8月9日(土):
・長崎市で平和式典、中国CPI&PPI(7月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。
■「ソーシャル・ファイナンス」のSoFi
米フィンテック企業のソーファイ・テクノロジーズ(SOFI)が業績を拡大している。2025/12期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比106%増の3.62億USD、うち預貸利鞘による純金利収益が39%増の1.93億USD、手数料収入に相当する非金利収益が359%増の1.69億USD。経費率は16.7ポイント低下の45.3%へ改善した。四半期ごとに純金利収益、非金利収益ともに拡大し、貢献利益マージンが上昇を続けた。
7/4に成立した米大型減税・歳出法により連邦学生ローンの借入限度額が厳しく設定されることから、同社の顧客ターゲットである大学院生や専門職学位取得者が教育費を賄うために民間ローンに頼るケースが増加すると見込まれる。データ駆動型リスク評価やデジタルプラットフォームの強みが発揮されると考えられる。
【「ソーシャル・ファイナンス」のSoFi~テクノロジーと顧客中心主義の融合】
■米求人件数減で利下げ観測後退
7/19発表の6月の雇用動態調査によると、求人件数が前月比27万5千減の743万7千件。これまで雇用増を牽引していた宿泊・サービス業とヘルスケア・社会扶助業の減少が目立ち、米国労働市場の一段と減速する可能性が示唆された。宿泊・飲食サービス業で離職者数も増加が続いており、米政権の移民取り締まり強化が影響している可能性がある。
弱めの求人件数のデータに対し、パウエル米FRB(連邦準備理事会)議長は、労働市場が堅調であると指摘しつつ、7/30に開催した米FOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で9月の利下げ可能性を示唆する発言をしなかった。CMEグループのFedWatchによれば年内1回の利下げの確率が高いものの、雇用の指標次第で変わる可能性がある。
【米求人件数減で利下げ観測後退~求人の牽引役だった二業種の急減速】
■上場インフラファンド5銘柄の動向
上場インフラファンドは東証インフラファンド市場に上場する投資法人。再エネを中心としたインフラ資産に投資し、上場不動産投資信託(J-REIT)と同じ仕組みで収益を投資家に分配する。現在5銘柄が上場し、7/30終値で予想分配金利回りは7%台後半~8%台半ばである。
上場5銘柄について太陽光発電所の月次の発電電力量実績の対会社計画比を見ると、すべての銘柄が今年6月までの過去12ヵ月間で100%には達していない。冷暖房の需要が多い時期は会社計画を達成しやすいのに対し、需要が少ない時期には需給バランスを保つための「出力制御」の実施により予定通りの売電ができなくなる傾向がある。出力制御への対応として余剰電力を蓄える「系統用蓄電池」の導入が求められている。
【上場インフラファンド5銘柄の動向~出力制御対応の系統用蓄電池が重要】
■銘柄ピックアップ
住友ベークライト(4203)
4472 円(8/1終値)
・1955年に日本ベークライトと住友化工材工業が合併して設立。半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ(QOL)関連製品の製造・販売等を営む。半導体封止材で世界シェア首位。
・5/12発表の2025/3通期は、売上収益が前期比6.1%増の3047億円、事業利益が同12.3%増の308億円。事業セグメント別の事業利益は、半導体関連材料(売上比率30%)が12%増の179億円。高機能プラスチック(同35%)が1%減の52億円。QOL関連製品(同35%)が21%増の117億円だった。
・2026/3通期会社計画は、売上収益が前期比1.7%増の3100億円、事業利益が同5.4%増の325億円、年間普通配当が15円増配の105円。8/4に2026/3期4-6月決算を発表予定。生成AI(人工知能)向け駆動に欠かせない先端半導体の「広帯域メモリー(HBM)」では、稼働時の発熱抑制のため半導体チップを重ね合わせる際に封止材を注入する技術が必要。同社の重要性が一層高まるだろう。
オリエンタルランド(4661)
3175 円 (8/1終値)
・1960年設立後、千葉県浦安市舞浜で1983年に東京ディズニーランドを、2001年に東京ディズニーシーを開業。京成電鉄(9009)が筆頭株主。テーマパークおよびホテル等の経営・運営が主な事業。
・7/30発表の2026/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比10.3%増の1637億円、営業利益が同16.3%増の387億円。東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」の稼働による効果に加え、テーマパーク事業では顧客単価が上昇。ホテル事業は宿泊収入を中心に25%増収だった。
・通期会社計画は、売上高が前期比2.1%増の6933億円、営業利益が同7.0%減の1600億円、年間配当が横ばいの14円。アクティビスト(物言う株主)の英投資ファンドが筆頭株主の京成電鉄に対してオリエンタルランド株の追加売却を要求していることが株価の重石となる可能性があるものの、足元の需給面では信用倍率(信用取引の買い残と売り残の比率)が7/25で2.18倍へ改善している。
日本碍子(5333)
2055.5 円(8/1終値)
・1919年に現在のノリタケ(5331)から碍子部門が分離独立。エンバイロメント事業(自動車排ガス浄化用等)、デジタルソサイエティ事業(半導体製造装置用等)、エネルギー&インダストリー事業(NAS電池等)を展開。
・7/31発表の2026/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比9.1%増の1664億円、営業利益が同34.7%増の237億円。事業別セグメント利益は、エンバイロメント事業(売上比率61%)が12%増の194億円、デジタルソサイエティ事業(同28%)が2.4倍、エネルギー&インダストリー事業(同11%)が赤字幅縮小。
・通期会社計画は、売上高が前期比1.7%増の6300億円、営業利益が同7.7%減の750億円、年間配当が6円増配の66円。エネルギー&インダストリー事業の1Qは、売上高が前年同期比33%増、セグメント損失が同▲17億円から▲9億円へ縮小。ナトリウムと硫黄を使うNAS電池(大容量・高エネルギー密度・長寿命電力貯蔵システム)の「エナジーストレージ」の国内蓄電所向け販売拡大が見込まれる。
近鉄グループホールディングス(9041)
2944 円 (8/1終値)
・1910年設立の「奈良軌道」を源流とする。近畿日本鉄道の営業路線は大阪府、京都府、奈良県、三重県、愛知県に及ぶ。運輸、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャー、その他の事業を展開。
・5/15発表の2025/3通期は、売上高が前期比6.9%増の1兆7417億円、営業利益が同3.5%減の843億円。運輸業の鉄軌道部門における定期運賃改定、国際物流業における取扱物量増と販売価格上昇が増収に寄与した一方、国際物流業における運賃原価の高騰が響き利益率が低下した。
・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比7.9%増の1兆8800億円、営業利益が同4.3%増の880億円、年間配当が10円増配の60円。同社の前期事業別売上比率は、運輸業が13%、不動産が9%、国際物流が46%、流通が12%、ホテル・レジャーが20%。営業エリアが屈指の人気観光地を擁し、インバウンドも堅調に推移。さらに、大阪・関西万博の盛況による業績への好影響が見込まれる。
バンコク銀行(BBL)
市場:タイ 148 THB (7/31終値)
・1944年設立。タイ最大の総資産を持つ銀行。東南アジアで6番目に大きい。タイで1700万口座、1200支店のほか、240ヵ所の企業向けサービス拠点、海外14ヵ国で300ヵ所超のネットワークを持つ。
・7/18発表の2025/12期2Q(4-6月)は、総収益が前年同期比2.0%増の444億THB、純利益が同0.3%増の118億THB。純金利マージンが0.22ポイント縮小したほか6月末貸出残高も減少に転じたものの、投資利益増加により吸収し増収を確保。経費率の1.1ポイント悪化が響き、税引き前利益は減益。
・タイ最大手銀行である同行は、サイアム商業銀行、カシコーン銀行とともに、経営が混迷しているタイ建設最大手のイタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)を金融支援。追加の融資を決めたほか、一部の社債の償還期限延長も認めており、業績への影響が懸念される。今後の成長戦略としては、2021年5月に統合したプルマタ銀行を通じて、インドネシア市場の成長を取り込むことが重要だろう。
■アセアン株式ウィークリーストラテジー
(8/4号「タイとカンボジアの国境紛争について(1)」)
タイとカンボジアが領有権を争う国境地帯で7/24、両国軍の間で大規模な軍事衝突が発生。両国政府は7/28、マレーシアで会談し無条件かつ即時停戦に合意。実際に戦闘が止まるかが焦点だ。
国境地帯に位置し、世界遺産にも指定されているプレアビヘア寺院の周辺地域は、19~20世紀にかけてフランス(カンボジアの宗主国)とシャム(現在のタイ)の間で領有権を巡る争いが起きていた。1904~1907年の「フランス・シャム協定」で国境が画定され、寺院周辺はフランス領インドシナに属するとされた。1962年に国際司法裁判所(ICJ)はプレアビヘア寺院の領有権をカンボジアに認める判決を下したものの、寺院周辺の土地の領有権について明確な判断が示されなかった。国境問題再燃のきっかけとなったのは、2008年にカンボジアが同寺院の世界遺産登録を申請したことである。
- 上場有価証券等のお取引の手数料は、国内株式の場合は約定代金に対して上限1.265%(消費税込)(ただし、最低手数料2,200円(消費税込))、外国株式の場合は円換算後の現地約定代金(円換算後の現地約定代金とは、現地における約定代金を当社が定める適用為替レートにより円に換算した金額をいいます。)の最大1.650%(消費税込)(ただし、対面または電話でのお取引の場合、3,300円に満たない場合は3,300円)となります。
- 上場有価証券等は、株式市況、金利水準等の変動による市場リスク、発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合の信用リスク、外国証券である場合には為替変動リスク等により損失が生じるおそれがあります。また新株予約権等が付された金融商品については、これらの権利を行使できる期間の制限等があります。
- 国内の取引所金融商品市場もしくは店頭売買有価証券市場への上場が行われず、また国内において公募、売出しが行われていない外国株式等については、我が国の金融商品取引法に基づいた発行者による企業内容の開示は行われていません。
- 金融商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、お取引に際しては、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料をよくお読みください。
【免責事項】
- この資料は、フィリップ証券株式会社(以下、「フィリップ証券」といいます。)が作成したものです。
- 実際の投資にあたっては、お客様ご自身の責任と判断において行うようお願いいたします。
- この資料に記載する情報は、フィリップ証券の内部で作成したか、フィリップ証券が正確且つ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性又は完全性を保証したものではありません。当該情報は作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。この資料に記載する内容は将来の運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
- この資料を入手された方は、フィリップ証券の事前の同意なく、全体または一部を複製したり、他に配布したりしないようお願いいたします。
アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。