【投資戦略ウィークリー 2020年12月14日号(2020年12月11日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
東レ(3402)
621.5 円(12/11終値)
・1926年設立の基礎素材メーカー。繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスなどの事業を行う。航空機向け炭素繊維とポリエステルフィルムは世界首位。
・11/6発表の2020/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比19.2%減の8,560.69億円、事業利益が同52.3%減の340.96億円、営業利益が同92.0%減の55.03億円。7月から世界経済が回復に転じたが、航空機需要低迷に伴う収益性低下により米国子会社の減損損失計上が営業利益に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比11.1%減の1兆8,600億円、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除く事業利益が同36.3%減の800億円。12/7、米先物取引所のCMEが「ナスダック・ヴェレス・カリフォルニア水指数」先物を新規上場。近い将来の世界的水不足が懸念されるなか、同社は淡水化プラント水処理膜をサウジアラビアやイラク、インドネシア、中国などに輸出する。
テラスカイ(3915)
4,320 円(12/11終値)
・2006年設立。SalesforceやAWS(Amazon Web Service)のクラウドシステムにおけるソリューション事業、およびSaaSベンダーとして国内外にクラウドサービスを提供する製品事業から構成される。
・10/15発表の2021/2期1H(3-8月)は、売上高が前年同期比24.8%増の55.55億円、営業利益が同52.9%増の5.28億円。クラウドサービス拡大の恩恵のほか、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク実施企業、自治体などを対象に自社製品グループウエア「mitoco」の契約件数が伸びた。
・通期会社計画は、売上高が前期比18.7%増の110.38億円、営業利益が同5.9%減の6.82億円。同社は、ソリューションの主力とする米セールスフォース・ドットコム(CRM)がビジネスチャットの米スラック・テクノロジーズ(WORK)を買収する見通しとなったことの恩恵を受けよう。更に、コミュニケーション・ソリューションの米トゥイリオ(TWLO)と在宅コールセンターシステムの再販売契約を締結。
アンリツ(6754)
2,300 円(12/11終値)
・1931年に安中電機製作所と共立電機が合併し設立。計測およびPQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)の開発・製造・販売を主な事業とする。通信系計測器は海外でも高シェアを占める。
・10/29発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上収益が前年同期比4.7%増の521.61億円、営業利益が同48.5%増の98.46億円。5G通信の商用サービスが世界的に順調に進展するなか、5G商用化に向けた開発関連需要およびネットワーク高速化に向けた開発・生産関連需要の獲得が順調だった。
・通期会社計画は、売上収益が前期比2.8%増の1,100億円、営業利益が同0.5%増の175億円。同社は参入障壁の高い通信系計測器市場で米キーサイト・テクノロジーズ(KEYS)と世界市場を二分している。また、食品工場などで健康被害を起こす要因の管理手法に係るHACCP(ハサップ)の来年6月義務化を控え、食品などの生産管理・品質保証システムに係るPQA事業の注目が高まろう。
イー・ギャランティ(8771)
2,099 円(12/11終値)
・2000年に伊藤忠商事(8001)のグループ企業として設立。信用保証事業を営み、企業や金融機関の債権未回収リスクの受託、および再保証先へのリスク移転を行う。地銀との業務提携を強化。
・10/30発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比18.7%増の34.51億円、営業利益が同16.3%増の15.03億円。コロナ禍の影響が長引いた場合の倒産企業増への懸念が高まるなか、広告など認知度向上に努めたことが奏功し、信用保証サービスを活用する顧客の裾野が拡大した。
・通期会社計画は、売上高が前期比29.3%増の77億円、営業利益が同9.6%増の29.80億円。同社を含め、売上債権の保証を手掛ける主要5社保証残高は今年9月末で前年同月比8%増。飲食店やホテルと取引する卸売業などからの依頼が相次ぐ。また、同社は地銀約50行と提携。地銀の顧客基盤を利用し、14期連続の純利益最高益を更新。菅政権の地銀強化戦略からも注目される。
インド・セメント・トゥンガル・プラカルサ(INTP)
市場:インドネシア 14,525 IDR(12/10終値)
・1975年創業。ドイツの大手セメントメーカーのハイデルベルクセメント傘下企業。セメント、生コンクリート、骨材採取の3事業を展開。主力のセメント事業はインドネシア個人顧客と住宅を対象とする。
・11/10発表の2020/12期9M(1-9月)は、売上高が前年同期比10.6%減の10.14兆IDR、EBITDAが同3.9%減の2.00兆IDR、純利益が同5.0%減の1.11兆IDR。販売数量減および単位当たり平均販売価格下落が響いた。3Q(7-9月)の前四半期比は、販売数量増(43.4%)に伴い増収増益となった。
・インドネシアの新たな規制により2020年末までにゴミ排出のモニタリングと当局へのオンライン報告が必要となるなか、ゴミ排出削減のため24年に向けて旧式の静電気集塵装置を最新技術のバグフィルター(作業工程に係る微粒子やガスを空気から除去する大気汚染防止装置)に取り換えるプロジェクトに取り組み、政府より環境フレンドリー製品として「グリーンラベル」の金賞が授与された。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。