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【投資戦略ウィークリー 2020年11月30日号(2020年11月27日作成)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

住友金属鉱山5713

4,027 円(11/27終値)

・1590年に住友家の業祖(蘇我理右衛門)が創業した非鉄金属企業。資源開発などの「資源」、金属精錬・加工の「製錬」、電池材料や機能性材料などを含む「材料」の3事業セグメントを営む。

・11/9発表の2021/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比0.8%減の4,191.23億円、税引前利益が同28.8%減の258.84億円。銅およびニッケル価格が下落したことのほか、電池材料事業での一時的な生産調整が響き減収。利益面では銅価格の下落による持分法投資利益の悪化が響いた。

・通期会社計画は、売上高が前期比1.7%減の8,580億円、税引前利益が同15.2%減の670億円。主要国が相次ぎ電気自動車(EV)推進策を発表するなか、同社はニッケルを使ったリチウムイオン電池材料の大半をパナソニック6752に供給するほか、トヨタ自動車7203に対してもハイブリッド車向けの電池材料を供給。ニッケルの調達を鉱脈から押さえている強みが評価されている。

 

ムサシ7521) 

1,995 円(11/27終値)

・1946年設立。情報・産業機材や選挙機材を扱う。情報・印刷・産業システム機材、貨幣処理に係る金融汎用・選挙システム機材、紙・紙加工品、不動産賃貸・リース事業の4事業セグメントを営む。

・11/10発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比28.6%減の141.80億円、営業利益が前年同期の11.27億円から▲1.85億円へ赤字転落。金融機関の設備投資抑制に伴う貨幣処理機販売の落ち込みが、営業利益の大半を占める金融汎用・選挙システム機材事業の利益に響いた。

・通期会社計画は、売上高が前期比13.6%減の324.81億円、営業利益が同82.2%減の1.82億円。自社開発の選挙機材は菅首相による衆院解散・総選挙実施に大きく左右される見通し。また、米大統領選でトランプ陣営が投票集計機とその関連ソフトに係る選挙不正を訴えるなか、民主主義の根幹を成す選挙への信頼確保のため、世界的に選挙システム更新需要が高まる可能性もあろう。

 

フルヤ金属(7826  

 5,830 円(11/27終値)

・1951年設立。白金族(プラチナ、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム)を中心として工業用貴金属製品の製錬加工・販売を行う。電子、薄膜、センサー、ケミカルの4事業セグメントを営む。

・11/5発表の2021/6期1Q(7-9月)は、売上高が前年同期比15.5%増の48.93億円、営業利益が同29.3%増の9.75億円。ハードディスク(HD)向けルテニウム・ターゲットや半導体製造装置向け温度センサー、電極向け化合物、貴金属精製・回収(リサイクル)の受注が堅調に推移し、増収増益。

・通期会社計画は、売上高が前期比2.1%増の233億円、営業利益が同22.3%増の45億円。同社はルテニウム・ターゲットおよびスマホ向け電子部品製造に使用するイリジウム製ルツボ(結晶製造容器)で世界シェア7割、有機EL発光材料に係るイリジウム化合物でも世界シェア9割を占めるなか、顧客への安定供給確保のため全出荷量の7割を金属回収・再高純度化のリサイクルで賄う。

 

ヤマダホールディングス(9831 

501 11/27終値

・1978年設立。家電・情報家電等の販売、および住まいに関する商品販売を主な事業とする。2018年にエスバイエルなど傘下住宅関連4社を統合したほか、昨年末に大塚家具8186を子会社化。

・11/5発表の2021/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比2.0%増の8,602.96億円、営業利益が同86.1%増の460.10億円。郊外店舗の来店客数増を背景にリフォームや家具インテリア販売が伸びたことに加え、営業時間短縮や広告費抑制による販管費削減が奏功し、増収増益となった。

・通期会社計画は、売上高が前期比6.7%増の1兆7,190億円、営業利益が同96.2%増の752億円。レオハウスやヒノキヤグループの買収により拡大する住宅事業に、同社の家電と大塚家具の家具とのセット販売などが組み合わさることで更なる相乗効果が期待される。また、自宅で注文して店舗で受け取る需要の高まりに対応したEコマース事業構築が中長期的成長の鍵を握ろう。

 

サイアム・セメントSCC  

市場:タイ   375 THB11/26終値)

・1913年に国家的インフラプロジェクトに不可欠なセメントを生産する目的でラーマ6世が設立。現在はセメント建設資材事業、化学品事業、包装パッケージング事業の中核3事業を擁する。

・10/29発表の2020/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比8.5%減の1,009.38億THB、純利益が同57.0%増の94.41億THBの減収増益。原油価格下落に伴う化学製品の価格低下が減収に響いたが、セメント建設資材事業の効率性の向上や化学品事業における原料コスト低下が増益に寄与。

・包装パッケージング事業は、サイアム・セメント・グループ・パッケージング(SCG パッケージング)として子会社化した後、10/22にタイ証券取引所に新規上場。同子会社はタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン4ヵ国で段ボールの合計販売シェアが約3割に達している。ネット通販の普及が進むなか、コロナ禍の下で食品・日用品向け使い捨て包装資材の需要の高まりが追い風となろう。

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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