【投資戦略ウィークリー 2020年6月29日号(2020年6月26日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
Zホールディングス(4689)
536 円(6/26終値)
・1996年に現ソフトバンクG(9984)の子会社として設立。Eコマース事業・メディア事業を手掛ける。2019/10にヤフーから社名変更を行う。2019/12にLINE(3938)との経営統合に最終合意した。
・4/30発表の2020/3通期は、売上収益が前期比10.3%増の1兆529億円、営業利益が同8.4%増の1,522.76億円。ZOZO(3092)の連結子会社化や傘下のアスクル(2678)の収益増加が増収および営業増益に寄与。PayPayへの積極的な投資による持分法投資損失を吸収して最終増益を確保。
・新型コロナウイルスによる影響を現時点で合理的に算定することが困難なことから2021/3通期会社計画を未定とした。キャッシュレス決済に係る消費者還元事業の還元期間が6月に終了し、7月からマイナンバーカード普及を目的とした「マイナポイント」の申込が開始される。対象となる決済サービスが1人1つに限定されるため、人気のPayPayとLINE Payを擁する同社のシェア上昇に繋がろう。
日機装(6376)
1,033 円(6/26終値)
・1953年設立。インダストリアル事業、精密機器事業、航空宇宙事業、深紫外線LED事業の「工業部門」、およびメディカル事業の「医療部門」を展開。化学用精密ポンプと人工腎臓に強みを有する。
・5/15発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上収益が前年同期比2.7%減の364.81億円、営業利益が同41.1%減の12.68億円。医療部門はウイルス感染予防や急性腎不全への対応ニーズが高まり増収増益だったが、工業部門のインダストリアル事業、航空宇宙事業がコロナ禍の影響を受けた。
・通期会社計画は、売上高が前期比5.0%増の1,740億円、営業利益が同11.8%減の110億円。医療部門におけるCRRT(急性血液浄化療法)事業において新型コロナウイルス感染の重症化による腎不全への対応需要が増加しているほか、1月末に発売された深紫外線LED応用の空間除菌消臭装置「エアロピュア」が新型コロナウイルスへの有効性が確認されて以降、受注が好調に推移。
沖電気工業(6703)
1,053 円(6/26終値)
・1881年に創業後1912年に設立。「情報通信」、「メカトロシステム」、「プリンター」、「EMS」の主力4事業および「その他」事業につき、製造・販売、システム構築・ソリューションの提供などを行う。
・5/13発表の2020/3通期は、売上高が前期比3.6%増の4,572.23億円、営業利益が同4.0%減の168.29億円、当期利益が同67.6%増の140.86億円。情報通信事業が増収に貢献したが、コロナ禍による工場操業減が響き営業減益。固定資産の売却による特別利益が当期利益を押し上げた。
・新型コロナウイルスによる影響を現時点において合理的に算定することが困難なことから2021/3通期会社計画を未定とした。同社はNTT(9432)の前身の電電公社に係る「電電ファミリー」の一角を占めていたなか、6/25にNTTと旧電電ファミリーのNEC(6701)が次世代通信インフラの共同開発で資本業務提携を発表。電電ファミリーが復活すれば同社の果たす役割への期待が高まろう。
ゼンリン(9474)
1,238 円(6/26終値)
・1974年に北九州市で設立。地図データベース関連事業、および一般印刷関連事業を手掛ける。住宅地図を全国展開し、カーナビゲーションやインターネットの地図データ配信に強みを有する。
・4/28発表の2020/3通期は、売上高が前期比6.2%減の597.71億円、営業利益が同43.3%減の33.00億円。前期に売上計上した自動運転関連の受託データ販売の反動減やカーナビ用データの販売減により減収。更に、新規サービスや製品開発などの先行費用が響き営業減益となった。
・新型コロナウイルスによる影響を現時点において合理的に算定することが困難なことから2021/3通期会社計画を未定とした。3/26にNTTと資本業務提携に合意し、NTTが7.3%の持株比率となる予定。トヨタ自動車(7203)も同社に対し7.4%の持株比率を有しており、トヨタ自動車とNTTとの間の資本業務提携も含め、協業関係を強めてIoTとAI時代に向けた地図の高度化に取り組む方針である。
ペトロナス・ガス(PTG)
市場:マレーシア 16.98 MYR(6/25終値)
・1983年設立。マレーシアの国営石油会社ペトロナス傘下であり、天然ガスの精製事業、輸送事業、再ガス化事業、公益サービス事業を主力とする。パイプラインでシンガポール顧客にも供給。
・5/20発表の2020/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比2.1%増の13.96億MYR、売上総利益が同1.8%増の6.09億MYR。「報酬ベース規制」に基づく関税が増収および売上総利益増に寄与した。その一方、米ドル建て債務に係る為替換算損失が響き、純利益は同34.4%減となった。
・ガス輸送と再ガス化サービスに課される「報酬ベース規制」に基づく関税が2022年末まで有効であり同社の収入に寄与すること、およびガス精製事業における20年間計画の第2期間(2019-2023年)の下で固定報酬課金が増加する見通しであることなど、長期間に渡る契約に基づく収益見通しが立ちやすい。新型コロナウイルス流行下では業績安定性が相対的に魅力を増すと考えられよう。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。