【投資戦略ウィークリー 2020年1月27日号(2020年1月24日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
東レ(3402)
757円(1/24終値)
・1926年設立の基礎素材メーカー。繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスなどの事業を行う。航空機向け炭素繊維とポリエステルフィルムは世界首位。
・11/7発表の2020/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比5.8%減の1兆1,223億円、営業利益が同7.8%減の716.48億円。米中貿易摩擦の長期化と中国経済減速による市況低迷の影響を受けて繊維事業の売上高が同10.3%減、機能化成品事業の売上高が同8.6%減となったことが響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比2.5%減の2兆3,300億円、営業利益が同2.5%増の1,450億円。大型M&Aがなくなることから純現金収支の黒字化を見込んでいる。また、IoTの重要な部品であり、商品の在庫管理などに使うICタグを1枚2円以下と従来の5分の1程度のコストで生産できる技術を開発したと報道された。財務状況の改善が成長分野の事業拡大を後押しすると期待されよう。
ラウンドワン(4680)
1,066円(1/24終値)
・1980年設立。ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャ(スポーツをテーマとした時間制施設)等を中心に、地域密着の屋内型複合レジャー施設の運営を行う。2010年に米国に進出した。
・11/8発表の2020/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比8.8%増の531.88億円、営業利益が同24.7%増の58.13億円。日本では全国のラウンドワンを繋いだリアルタイムLive通信機能を強化し、米国では新規出店や週末営業時間延長のほか認知度向上の施策を実施。増収増益に寄与した。
・通期会社計画は、売上高が前期比6.2%増の1,076.40億円、営業利益が同3.2%増の118.10億円。1/22、東京2020組織委員会は東京五輪期間中の終電時間および深夜時間帯の列車増発について首都圏のほか札幌や仙台、茨城でも実施する方針を発表。日本における深夜時間の娯楽の少なさに不満を持つ訪日外国人旅行客は多く、同社の複合娯楽施設への期待が高まろう。
AOKIホールディングス(8214)
1,086円(1/24終値)
・1958年に個人事業で創業後、1976年に設立。主に郊外ロードサイド店舗で紳士服・服飾品の販売を営むほか、複合カフェ「快活CLUB」やカラオケルーム運営、ブライダル事業などを手掛ける。
・11/7発表の2020/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比2.0%減の827.95億円、営業利益が同75.8%減の3.77億円、純利益が前年同期の▲10.56億円から▲9.88億円へ赤字幅縮小。エンターテイメント事業への選択と集中を進める中、固定資産除却損や減損損失の費用計上が響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比1.3%減の1,925億円、営業利益が同8.8%減の123億円、当期利益が同17.3%増の54億円。エンターテイメント事業における「快活CLUB」は複合カフェ業界で売上高首位となるなど好調に推移。同事業の新規店舗出店を加速しつつ、不採算事業のファッション事業とアニヴェルセル・ブライダル事業を縮小する事業ポートフォリオ経営の進展が注目されよう。
日本取引所グループ(8697)
1,999円(1/24終値)
・2013年設立。東京証券取引所Gと大阪証券取引所の合併による持株会社。現物市場、デリバティブ市場、取引システム、市場情報サービス、自主規制機能、清算・決済を主な事業とする。
・10/30発表の2020/3期1H(4-9月)は、営業収益が前年同期比2.2%減の579.36億円、営業利益が同7.2%減の318.70億円。清算関連、情報関連、およびその他の営業収益は増収だったものの、現物の売買代金が前年同期を下回り取引料が同8.9%減となったことが響き、減収減益となった。
・通期会社計画は、売上高が前期比3.4%減の1,170億円、営業利益が同13.7%減の600億円。大阪取引所は、2020/7に東京商品取引所から貴金属など商品先物取引が移管され証券と商品を扱う総合取引所になる予定。デリバティブ取引にて、必要証拠金計算に係る証券と商品のリスク相殺および祝日取引の導入が実施されれば投資家利便性が向上し取引枚数の増加が期待されよう。
シンガポール取引所(SGX)
市場:シンガポール 8.81 SGD(1/24終値)
・1999年設立の証券取引所および清算機関。中国、日本、インドの株価指数のデリバティブ取引に係る流動性の高いオフショア市場を提供する。コモディティや通貨のデリバティブ取引も取り扱う。
・10/24発表の2020/6期1Q(7-9月)は営業収益が前年同期比18.6%増の2.47億SGD、営業利益が同26.6%増の1.34億SGD。FTSE中国A先物などの株式デリバティブのほか鉄鉱石デリバティブ、通貨デリバティブの取引枚数が堅調に増加。それに伴い時価データへの接続に係る収入も伸びた。
・SGXは巨大な消費市場であるアジアに位置し海上輸送の拠点でもある地理的な優位性を生かし、米中を中心とした世界経済の先行き不透明感が強まることに伴う価格変動リスクに備える取引をデリバティブ・現物問わず提供できる点が強みといえよう。鉄鉱石などのコモディティや金融商品にとどまらず、海上運賃など様々な上場商品を扱う「マルチアセット取引所」として成長が期待される。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。