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MT5コラム

 

FX、MT5関連キーワード解説コラム『MT5のMACDとは?設定方法や特徴などFXでの活用法を解説』

FX取引では外国の指標や指数、または通貨の名称など普段の生活の中ではあまり耳にしないようなワードが多く聞かれます。

そこでこの記事では、FX、MT5関連キーワードを紹介し、内容の理解を深めていただくとともに、お取引に役立てていただけるようまとめています。

 

MACD(マックディー)とは

 

MACDは、ジェラルド・アペル氏によって1970年代に開発されたテクニカル分析におけるインジケーターです。本記事では、MACDの意味や基本的な売買シグナルの見方や、トレンド分析手法、MT5における設定方法について解説します。MACDの長所や短所を十分に理解したうえで、トレードに活用しましょう。

 

MACDにおける売買シグナルの判断方法

MACDは、MT5ではオシレーター系に属するテクニカル指標で、「MACD」と「シグナル」という2本の指標から成り立ちます。「Moving Average Convergence / Divergence Trading Method」の略語で「マックディー」もしくは「エムエーシーディー」と読みます。移動平均の収束・拡散に着目したトレーディング手法で、トレンドや売買シグナルを判断できると、トレーダーに人気を集めています。

MACDについて詳しく知りたい方は、以下記事もご覧ください。
MT5で極めるテクニカル分析~MACD①

MT5で極めるテクニカル分析~MACD②

MT5で極めるテクニカル分析~MACD③

 

MACDとシグナルの算出方法

MACDは、短期と長期のEMA(指数平滑移動平均線)の差を表しています。短期・長期の期間(n)は12日間、26日間(日足チャート)を用いるのが基本です。

MACD=短期EMA-長期EMA

EMAは次の計算式のように、当日の数値の比重を高くして計算されるため、SMA(単純移動平均線)よりも直近の値動きをキャッチしやすくなります。
EMA=前日のEMA×(1-α)+ 当日の数値×α α=2/(n+1)

シグナルはMACDのSMA(単純移動平均線)です。9日間の移動平均線を用います。

 

MACD 使った基本的なトレンド分析

MACDには、真ん中に「ゼロライン」が引いてあります。MT5上ではMACDはヒストグラム(棒グラフ状のインジケーター)で示されますが、MACDがゼロラインよりも上にある場合には、短期EMAが長期EMAを上回っている(MACDがプラスである)ことを示しています。つまり、短期的には相場が上昇していると読み取れます。

このことから、MACDがゼロラインより上でシグナルが上向きならば上昇トレンド、MACDがゼロラインよりも下でシグナルが下向きならば下降トレンドと判断します。そして、MACDの傾きが急であれば、急激にトレンドが強まっていると判断できるでしょう。

 

MACDにおける売買シグナルの判断方法

売買シグナルはMACDとシグナルのクロスで判断するのが基本です。MACDとゼロラインとのクロスも売買の判断材料になります。

MACDとシグナルのクロス

MACDを使った代表的な売買シグナルは、MACDとシグナルのゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)です。MT5ではMACDはヒストグラムで表示されるため、判断に慣れが必要かもしれません。

ゼロラインの下でシグナルに重なるように伸びていたMACDが短くなり、ついにシグナルの上に位置した状態になればGCです。逆に、ゼロラインの上でシグナルと交差して伸びているMACDが短くなりシグナルを下回れば、DCが生じたと判断できます。

 

 

MACDにおけるトレンドの判断方法

MACDはオシレーター系でありながら、シグナルから単純にトレンドを判断できる便利なインジケーターです。また、やや上級者向けですが、ダイバージェンスやヒドゥンダイバージェンスからトレンドを予測することも有効です。

 

MACDとシグナルからトレンドを読み解く

MACDとシグナルの傾きが上向きか下向きかは、そのまま上昇・下降トレンドの判断材料になります。傾きが急であれば短期EMAと長期EMAの差が急激に広がっている、もしくは狭まっていることを示しているため、短期的に強いトレンドが進行中であると言えます。

また、MACDゼロラインより上か下かもトレンドを読み解くひとつの手です。もっとも、トレンド転換が生じているか否かで、相場環境の判断は変わってきます。大まかな判断材料としてとらえておくと良いでしょう。

 

ダイバージェンスからトレンド転換を予測する

ダイバージェンスとは、MACDとローソク足の動きが逆行している状態を指します。トレンド転換の判断材料です。

具体的には、上昇トレンドにおいては、ローソク足が高値更新しているにもかかわらず、MACDの波が上値を切り下げている場合には、反落の可能性を示唆しています。下降トレンドにおいては、ローソク足が安値を切り下げて更新している一方でMACDが上昇している場合には反発のサインとみます。

 

ヒドゥンダイバージェンスからトレンド継続を予測する

MACDとローソク足の動きが逆行している状態という意味ではダイバージェンスと同じですが、上昇トレンドにおけるローソク足の安値切り上げとMACDの切り下がり、下降トレンドにおけるローソク足の安値更新とMACDの切り上げで判断します。これらは、トレンド継続の参考材料として活用しましょう。

 

MT5におけるMACDの設定方法

MACDはMT5のチャート上に簡単に表示可能です。もっとも、MT5のMACDはヒストグラムで表示されます。いままで使っていたFXチャートのMACD表示とMT5の表示が異なる可能性があるため、注意が必要です。

 

具体的な設定方法

左上表示の「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」からMACDを選択します。

 

 

MACDを選択すると、期間や表示色の設定をするボックスが表示されるので、こちらで詳細設定が可能です。

 

 

一般的なFXツールとMT5のMACDの表示の違い

一般的なFXチャートでは、MACDとシグナルが2本の線で表示されていることが多いですが、MT5ではMACDはヒストグラム、シグナルは線で示されます。MT5においてもプログラミングの変更によって2本線で設定することが可能ですので、調べてみると良いでしょう。

一般的なFXチャートでのヒストグラム表示はMACD線 – シグナル線を表しています。MT5では「挿入」→「インディケータ」→「カスタム」→「OsMA」で表示可能です。

 

MACDを活用するときの注意点

MACDは優れたインジケーターですが、どのような相場にも万能に機能するわけではありません。分析の精度を高めるためには、いくつかのインジケーターを組み合わせて活用するのが有用です。

 

レンジ相場に弱い

MACDについてよく言われるのは、トレンドが出ていないと売買シグナルの判断が難しいという点です。レンジ相場の場合、レンジ内でMACDとシグナルのクロスが頻繁に出現するためダマシに引っ掛かりやすくなります。

 

値動きが激しい相場では機能しにくい

MACDは、値動きの激しい相場では売買シグナルを読みにくくなります。移動平均線をベースにしており、激しい値動きは平準化されてしまうからです。

 

ほかのインジケーターと組み合わせて活用する

MACDは、相場の過熱感(売られすぎ・買われすぎ)を読み取ることはできないため、RSI、RCI、ストキャスティクスなどと組み合わせて活用することによって、売買の精度を高めることができます。

また、ボリンジャーバンドを活用した順張り・逆張りシグナルの読み取りとMACDの売買シグナルやダイバージェンスの判断を組み合わせることで、売買シグナルの判断をより強固にすることができるでしょう。

 

まとめ

MACDは、EMAをベースとした人気のインジケーターです。売買シグナルの判断もシンプルでわかりやすいため、多くの方が活用しています。ただし、レンジ相場や経済指標発表後の激しい値動きには向きません。MACDの特徴を理解し、他のインジケーターと組み合わせて活用することで、相場判断の精度を高めていきましょう。