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投資戦略ウィークリー 2024年2月5日号(2024年2月5日作成)】”決算発表で分かれる明暗、スマホ・パソコンは生成AI搭載待ち”

 

“決算発表で分かれる明暗、スマホ・パソコンは生成AI搭載待ち

  •  主要企業の決算発表が進捗中だ。3月期決算企業の場合、報道のヘッドライン(見出し)は4-12月の9ヵ月間における前年同期比で出てくる。既に4-9月の中間決算の内容は株価に織り込まれ、残りの10-12月の内容が重要だ。しかも、半導体や電子部品などシリコンサイクルや在庫調整に伴う景気循環の波が明確な業種・事業では、10-12月を前年同期で比較するよりも四半期(3ヵ月)ごとの時系列を追って見る方が株価動向の参考となりやすい面がある点は要注意だろう。
  •  2/1までに発表された最近の決算発表の中で特に印象に残ったのはキヤノン7751だった。同社はプリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルと4つの事業を営む中で、インダストリアル事業における半導体露光装置では、電気自動車(EV)などに使うパワー半導体向けは従来の主戦場だったが、昨年10月に「ナノ(10億分の1)インプリント」技術を活用した半導体露光装置「FPA-1200N2C」に手ごたえがあるのか、2024年12月期に向けて生成AI(人工知能)に使われる画像処理半導体(GPU)向け需要の伸びを見込むとした。オランダASMLが世界市場を独占する先端半導体向け露光装置の牙城を崩すことができれば、足元PBR(株価純資産倍率)1倍台にとどまる株価水準訂正が期待されよう。
  •  他方、あおぞら銀行8304が1日に発表した決算は、米国オフィス向け不動産融資で損失に備える追加の引当金を計上するなどにより2024年3月通期見通しで純利益が280億円の赤字転落へ下方修正される「ネガティブ・サプライズ」があった。折しも米国地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープの10~12月決算も予想外の赤字と減配により株価急落。昨年3月に破綻した地銀シグネチャー・バンクの預金を買い取ったことに伴う規制上の要因で貸倒引当金を積み増したことによるものとはいえ、在宅ワークからオフィスへの回帰が進まないことで稼働率が高まらない米国商業用不動産の問題が根深いことが示唆された面もある。
  •  調査会社IDCによれば、10~12月の世界出荷台数でスマホが前年同期比6%増、ノートPCが同2.8%増と前年比でプラス圏に浮上と回復への兆しは見えるものの、スマホやパソコンの販売動向に業績が左右されやすい業種(半導体・電子部品など)の10~12月業績は全体的に苦戦している傾向がみられる。生成AIで、端末側で高速なデータ処理を行うこととでユーザーの要望を先取りして行ってくれるような機能がスマホやノートPCに搭載されるようになれば、本格的な市場の成長に繋がると期待されよう。(笹木)
  • 2/5号は、くら寿司(2695)  、野村不動産ホールディングス(3231)  、栗本鐵工所(5602) 、七十七銀行(8341)、 バンク・セントラル・アジア(BBCA))を取り上げた。

■主な企業決算の予定   

※日本株はTOPIX500構成銘柄より

  • 25日(月): スクウェア・エニックス・HD、ニフコ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、オムロン、UBE、キッコーマン、三菱電機、全国保証、メディパルHD、DMG森精機、ひろぎんHD、コンコルディア・フィナンシャルグループ、群馬銀行、JSR、ヤマトHD、マルハニチロ、ハウス食品グループ本社、京王電鉄、日本電気硝子、デクセリアルズ、東京精密、住友電気工業、アステラス製薬、住友商事、芙蓉総合リース、伊藤忠商事、王子HD、東ソー、大林組、日本郵船、住友ベークライト、(米)NXPセミコンダクターズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、キャタピラー、マクドナルド、オン・セミコンダクター、アイデックスラボラトリーズ
  • 26日(火): ケーズHD、西松建設、ユー・エス・エス、ヤマハ、任天堂、日本触媒、ジーエス・ユアサ コーポレーション、フジ・メディア・HD、カルビー、京阪HD、横河電機、ニチレイ、サンケン電気、リコー、長瀬産業、グローリー、ツムラ、ファンケル、JFEHD、テクノプロ・HD、島津製作所、ダイキン工業、ブラザー工業、ゴールドウイン、タカラトミー、九州旅客鉄道、三菱商事、味の素、LINE ヤフー、シャープ、トヨタ自動車、ニッスイ、三菱ケミカルグループ、科研製薬、三菱重工業、ダイセル、レンゴー、エーザイ、カカクコム、(米)フォーティネット、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、ギリアド・サイエンシズ、アムジェン、フォード・モーター、GE HealthCare Technologies Inc、リンデ、イーライリリー
  • 27日(水):SBIHD、日本空港ビルデング、東洋製罐グループHD、スズキ、カシオ計算機、日本製鉄、太陽誘電、めぶきフィナンシャルグループ、阪急阪神HD、東武鉄道、ユニ・チャーム、オリックス、ディー・エヌ・エー、テルモ、三井金属鉱業、AGC、花王、NTTデータグループ、協和キリン、三浦工業、丸一鋼管、FUJI、ソフトバンク、SANKYO、日油、岩谷産業、三井化学、旭化成、インターネットイニシアティブ、デンカ

(米)オライリー・オートモーティブ、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ペイパル・ホールディングス、CVSヘルス、エマソン・エレクトリック、CDW

  • 28日(木): 東急不動産HD、カドカワ、西日本鉄道、フジテック、TBSHD、日産自動車、カネカ、コスモエネルギーHD、丸井グループ、コムシスHD、ダイフク、本田技研工業、ダイワボウHD、参天製薬、帝人、富士フイルムHD、リログループ、アマダ、アズビル、第一興商、九州フィナンシャルグループ、森永製菓、五洋建設、博報堂DYHD、関西ペイント、浜松ホトニクス、太平洋セメント、住友金属鉱山、いよぎんHD、ニトリHD、セコム、アルフレッサ HD、不二製油グループ本社、フジクラ、リンナイ、古河電気工業、ネクソン、ソフトバンクグループ、ニコン、西武HD、明治HD、ニプロ、大成建設、日本電信電話、小田急電鉄、東邦HD、清水建設、SUBARU、東レ、クラレ、ルネサスエレクトロニクス、(米)イルミナ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、デクスコム、デューク・エナジー、フィリップ・モリス・インターナショナル、コノコフィリップス、アストラゼネカ
  • 29日(金):いすゞ自動車、シップヘルスケアHD、IHI、FOOD & LIFE COMPANIES、エクシオグループ、ワコールHD、ウシオ電機、飯田グループHD、東京エレクトロン、日産化学、ショーボンドHD、日揮HD、日本新薬、三菱瓦斯化学、神戸製鋼所、シスメックス、東京センチュリー、東急、セイノーHD、上組、三井不動産、スズケン、エア・ウォーター、ロート製薬、資生堂、日本電子、アシックス、三菱HCキャピタル、ふくおかフィナンシャルグループ、八十二銀行、住友不動産、共立メンテナンス、ベネッセHD、長谷工コーポレーション、リゾートトラスト、ダスキン、H.U.グループHD、小林製薬、住友大阪セメント、DOWAHD、栗田工業、ゼンショーHD、大日本印刷、コロワイド、三菱地所、三菱マテリアル、リクルートHD、マツダ、テイ・エステック、大和ハウス工業、森永乳業、ヤクルト本社、大王製紙、ADEKA、セブン銀行、ENEOSHD、川崎重工業、日清紡HD、セガサミーHD、インフロニアHD、(米)ペプシコ

主要イベントの予定

  • 25日(月)

・財務省が10年物価連動債入札、09:30 auじぶん銀行日本複合・サービス業PMI (1月)

・米アトランタ連銀総裁が冒頭挨拶(事前収録)、米FRBが上級融資担当者調査、 中国が預金準備率引き下げ実施

・米ISM非製造業総合景況指数(1月)、S&Pグローバ米サービス業・総合PMI(1月)、S&PグローバルHCOBユーロ圏サービス業・総合PMI(1月)、ユーロ圏 PPI(12月)、中国財新サービス業・コンポジットPMI(1月)、インドネシアGDP(4Q)

 

  • 26日(火)

・08:30 毎月勤労統計-現金給与総額・実質賃金総額・家計支出(12月)

・米クリーブランド連銀総裁と米フィラデルフィア連銀総裁が講演、米大統領選の民主党ネバダ州予備選、米3年債入札、豪中銀が政策金利発表

・ユーロ圏小売売上高(12月)、 独製造業受注 (12月)

 

  • 27日(水)

・財務省が30年利付国債入札、日銀のコール市場残高(1月)、SOLIZEが東証スタンダードに新規上場、景気一致指数・景気先行CI指数(12月)

・米クーグラーFRB理事と米リッチモンド連銀が講演、米10年債入札、ポーランド中銀とタイ中銀が政策金利発表、アゼルバイジャン大統領選

・米貿易収支(12月)、米消費者信用残高(12月)、独鉱工業生産(12月)、中国外貨準備高(1月)

 

  • 28日(木)

・日銀の国債・CP買い入れオペ、財務省の国庫短期証券(6カ月)入札、Veritas In Silicoが東証グロースに新規上場、08:50 国際収支:経常収支・貿易収支(12月)、08:50 銀行貸出動向(1月)、08:50 対外・対内証券投資 (1月28日-2月3日)、11:00 東京オフィス空室率 (1月)、14:00 景気ウォッチャー調査 現状判断・先行き判断(1月)

・米財務長官が上院銀行委員会で証言、米最高裁がトランプ氏の大統領選出馬資格巡る口頭弁論、米大統領選の共和党ネバダ州党員集会・米領バージン諸島で共和党党員集会、米30年債入札、ECB経済報告、メキシコ中銀・ペルー中銀・インド中銀が政策金利発表、パキスタン総選挙、北朝鮮の人民軍創建日

・ 米新規失業保険申請件数(3日終了週)、米卸売在庫(12月)、中国PPIとCPI(1月)

 

  • 29日(金)

・財務省の国庫短期証券(3カ月)・5年利付国債入札、08:50 マネーストックM2・M3(1月)

・中国の春節で休場入り(19日に取引再開)

・独CPI(1月)、中国経済全体のファイナンス規模、新規融資、マネーサプライ (1月、15日までに発表)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

逆襲の低PER/高配当利回り米株

先週号で機関投資家の株式エクスポージャーを表す「NAAIMエクスポージャー指数」の下落に対してS&P500指数が高値圏横ばいで推移していることを指摘し、相場調整の兆しと述べた。調整の対象が一部の超大型ハイテク銘柄となるならば、相場上昇の恩恵に与れなかった銘柄にとっては逆に資金シフトの可能性が高まり好機となる可能性が高いと言えるのではないか。

S&P500指数構成銘柄の内、1/31終値で直近実績および当期予想PERが10倍未満の高配当利回りでは、大手タバコ会社や大手通信キャリア会社など常連バリュー銘柄のほか、石油株やガソリン車主体の自動車メーカーなど脱炭素からの揺り戻しで恩恵を受ける銘柄が挙げられる。トランプ前大統領復権まで見据えると脱炭素揺り戻し相場が長く続く可能性もあろう。

【逆襲の低PER/高配当利回り米株~定番銘柄のほか脱炭素揺り戻し関連も】

■中国の金(ゴールド)買い加速も

中国では不動産や株、金(ゴールド)が家計の主な資産とされる中で不動産不況の深刻な悪化や中国株の低迷を受けて実物資産の金の投資妙味が増している。家計の貯蓄およびローンの年別の新規増加額の推移を見ると、2016~18年まではローン金額が貯蓄額を超えていたが、2019年以降に逆転し、新型コロナ禍に不動産不況の影響が加わった2022年以降は大幅な貯蓄超過となっている。それは、家計部門の投資余力が大幅に拡大していることも意味している。

中国では資金海外流出を政府が警戒しており、海外資産への投資は容易ではない。ゴールドはSGE(上海金取引所)で人民元建て取引ができ、SGE指標価格も国際的認知度が高まっている。中国によるゴールド買い加速の可能性もあろう。

【中国の金(ゴールド)買い加速も~金余り・人民元建て資産で買える先は?】

■貸出残高は銀行株の先行指標

日銀が1/31に公表した1月の金融政策決定会合の「主な意見」でマイナス金利解除を初めとして政策正常化に前向きな声が並んだ。東証銀行株指数を見ると、日銀の長短金利操作見直しが最初にあった2022年12月頃から概ね長期金利の動向に連動した動きを示している。

銀行の収益拡大要因としては、長期金利の動向が影響する預金・貸出の利ざや拡大だけではなく、貸出残高の増加ペースも重要である。貸出残高の前年同月比を見ると、2022年6月から1%を超え、2023年5月の3.8%まで一挙に加速した。その後の貸出伸び率は横ばい圏で推移しつつも同3%台を維持している。貸出残高拡大は日本株全体の動きに連動しやすい面もあるものの、銀行株の業績拡大の面でもより一層注目されよう。

【貸出残高は銀行株の先行指標~貸出残高伸びと長期金利は足元横ばい】

■銘柄ピックアップ

くら寿司(2695)  

3945 円(2/2終値) 

  

・1995年に堺市で設立。すし主力の直営による回転すし店のチェーン展開を主な事業とする。関西・関東を軸にロードサイド中心で国内2位級。米国(ナスダック市場:KRUS)および台湾でも株式上場。

・12/12発表の2023/10通期は、売上高が前年同期比15.5%増の2114億円、経常利益が同17.3%増の28.82億円。売上比率78%日本が同9%増収、経常利益が同19%増の13.81億円。北米が同51%増収、経常利益が2.47億円へ黒字転換。アジアが同35%増収、経常利益が同2%増の14.65億円。

・2024/10通期会社計画は、売上高が前期比7.0%増の2262億円、経常利益が同2.9%減の28億円、年間配当が同横ばいの20円。昨年10月末の店舗数は同42店舗増の649店舗。特に米国は店舗数が同10店舗増の50店舗となるなか、コロナ禍の苦境を安い店舗物件長期リース契約拡大で好機とし、タッチパネル注文や自動化技術で低価格メニュー実現により米国人の心を掴みつつある。

野村不動産ホールディングス(3231  

3851   2/2終値) 

  

・1957年に野村證券本社ビル所有・管理で野村不動産を設立。2004年に持株会社へ移行。主力の住宅(「プラウド」のマンション等)ほか、都市開発、海外、資産運用、仲介・CRE、運営管理を営む。

・1/31発表の2024/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比22.7%増の5183億円、持ち分法投資利益と買収償却費用含む事業利益が同20.9%増の804.21億円。売上比率46%の住宅部門は計上戸数15%増および粗利益率上昇を受けて同45%増収、事業利益が同2.9倍(269億円)と拡大した。

・通期会社計画を上方修正。事業利益を同4.6%増の1100億円(従来計画1090億円)とした。売上高は前期比14.5%増の7500億円、年間配当は同10円増配の130円で据え置き。同社は自動化機器の効率的活用により物流最適化を行うための「企業間共創プログラム」である「テクラム」を運営。「2024年問題」として物流危機が叫ばれるなかで参画企業の連携による総合的ソリューション開発を推進。

栗本鐵工所(5602)     

3585  円(2/2終値) 

  

・1909年に大阪市(千島工場)で創設し、水道とガス用鋳鉄管の製造開始。ライフライン(鋳鉄管は国内2位)、機械システム(鍛圧機など)、産業建設資材の3事業を営む。機械システム軸に海外展開。

・11/2発表の2024/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比10.9%増の599億円、営業利益が同62.1%増の36.93億円。売上比率52%のライフラインは工事進捗が奏功し同11%増収、同57%営業増益。機械システムは同13%増収、営業利益2.4倍。産業建設事業は同8%増収、55%営業増益。

・通期会社計画は、売上高が同3.9%減の1200億円、営業利益が同12.3%減の60億円、年間配当が同10円増配の90円。法定耐用年数40年を超えた水道管が日本全体の約2割を占め、割合が年々上昇中。東京都は計画期間90年の巨大水道インフラ更新作業に既に入った。都内に浄水場10ヵ所、給水所50ヵ所、その間に導水管や給水管が張り巡らされる。鋳鉄管業界2位の同社へ追い風。

七十七銀行(8341    

3550  2/2終値)

   

・1933年に仙台市本店の3行合併で設立。宮城県地盤で東北最大の地銀。銀行業務中心にリース・クレジットカード業務など金融サービス提供。横浜銀他全5行で共同利用システム「MEJAR」に参画。

・1/26発表の2024/3期9M(4-12月)の単体は、資金利益や役務取引等利益の増加によりコア業務純益が前年同期比13.8%増の349.50億円、与信関係費用減少により経常利益が同22.6%増の350.18億円。昨年末で貸出金が企業向け中心に伸びて同5.6%増、預金(譲渡性預金含む)が同0.7%増。

・通期会社計画(連結)は、経常利益が前期比10.4%増の395億円、当期利益が同7.7%増の270億円、年間配当が同20円増配の110円。同行(単体)の貸出金の前年同期比伸び率は昨年3月末(4.3%)、6月末(4.6%)、9月末(3.4%)から12月末に加速。また、宮城県は2023年の公示地価変動率の都道府県別でも北海道、福岡県に次ぐ3位(+3.94%)であり、仙台市を中心に再開発が進む。

バンク・セントラル・アジア(BBCA) 

市場:インドネシア    9700 IDR2/1終値)

・1957年設立の商業銀行。1998年アジア通貨危機時に国有化後、資本増強・リストラを経て2000年再上場。時価総額でアセアン最大であり、金融機関でシンガポールDBSホールディングスを抜く。

・1/25発表の2023/12通期は、営業収益が前期比14.4%増の99.3兆IDR、当期利益が同19.4%増の48.6兆IDR。12月末貸出残が同13.9%増に伴い純金利収益が堅調のほか非金利収益も増加。経費率が同0.1ポイント改善の33.8%、与信関連費用(貸倒引当金繰入額)も同50.0%減と軒並み改善。

・4Q(10-12月)の前四半期比を見ると、非金利収益は引き続き堅調も純金利マージンが5.6%と0.1ポイント上昇にとどまったほか、経費率悪化に伴い純利益が0.1%減と頭打ちの傾向。インドネシア中央銀行の金融政策が年後半に金融緩和余地が見込まれ、純金利マージンは当面横ばいから低下の懸念もある。他方、2月大統領選後に首都移転プロジェクトが進捗すれば貸出増を後押ししよう。

■アセアン株式ウィークリーストラテジー

2/5号「IMF世界経済見通しアセアン・アップデート」)

IMF(国際通貨基金)の2024年1月における世界経済見通しによれば、アセアン主要6ヵ国の2024年実質GDP成長率は、①シンガポールが+2.1%(2023年10月見通し比横ばい)、②タイが+4.4%(同1.2ポイント上方修正)、③インドネシアが+5.0%(同横ばい)、④マレーシアが+4.3%(同横ばい)、⑤ベトナムが5.8%(同横ばい)、⑥フィリピンが+6.0%(同0.1ポイント上方修正)である。タイは昨年9月成立のセター政権が掲げる経済政策が見通し引上げの要因とみられる。

ただ、米国の2024年が個人消費の予想以上の強さを反映して2023年10月見通し比0.6ポイント上方修正の+2.1%、中国が新規国債発行額を伴う景気対策の効果が加味されて同0.4ポイント上方修正の+4.6%。「米中の経済減速から新興国への投資シフト」のシナリオは修正が必要とされよう。

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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