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SGXシンガポール株レポート(5月①)-資本財セクターの成長を牽引する企業群‐

 

原文:シンガポール取引所(SGX)

公開日:2023年5月22日

翻訳作成日:2023年5月29日

*このレポートはシンガポール取引所が発行した、経済見通しと市場、発行体に関するレポートを日本のフィリップ証券が翻訳して作成しています。

■レポートサマリー

  • 資本財セクターは、アジア太平洋地域にまで拡大し、年初来で最も好調なグローバルセクター(FTSE Russelの産業区分ベンチマーク:FTSE Russel ICBに基づく)のトップ5にランクインしている。シンガポールの最も取引量の多い資本財セクター株式の代表的な20銘柄における20週間のトータルリターンでは、上昇銘柄と下落銘柄がそれぞれ3対1の割合で存在しており、トータルリターンの平均が16%、中央値が3%という非対称的なリターン分布を記録している。
  • 5月15日から19日の週における代表的な資本財セクター20銘柄の値上がりは、Marco Polo Marine社、Yangzijiang Shipbuilding社、Singapore Airlines社に牽引され、当3銘柄の週中の平均上昇率は11%となり、当該3社への機関投資家属性資金の純流入額は1,600万シンガポールドルとなった。資本財セクターの売買代金上位20銘柄は、週中3,400万シンガポールドルの機関投資属性資金の純流入額を記録しており、同セクターにおける年初来での機関投資属性資金の純流出額の累計を5,500万シンガポールドルにまで抑えた。
  • 5月11日、Marco Polo Marine社が23年上半期(10-3月)の売上高が前年同期の6百万シンガポールドルから55.9百万シンガポールドルとなり同102%増と発表、5月16日にはSingapore Airlines社は22‐23年決算(3月31日付)での売上高が前期比133%増と発表。Yangzijiang Shipbuilding社は1.18シンガポールドルから1.27シンガポールドルに株価を上げた。この上昇は、米ドル/人民元が2022年12月の水準に戻り、7.00の基準値を超えた時期に重なった。
  • シンガポールで活発に取引されている資本財セクターで、現在の時価総額に比例して今年これまでに機関投資家の純流入額が最も多かったのは、Beng Kuan社, Dyna-Mac社、Acesian Partners社、Seatrium社、Marco Polo Marine社の5銘柄であった。この5銘柄は簿価に対してプレミアム(0倍以上)で取引されており、年初来トータルリターンではDyna-Mac社の69%からSeatrium社の8%の下落まで、様々な動きを見せている。

シンガポール株式市場の全セクターにおいて、過去 20 週間の 1 日あたりの売買高(SGDベース)の伸びは、2022 年と比較して、資本財セクターが最も高い伸びを記録している。

  2 月に誕生した、Sembcorp Marine社 と Keppel Offshore & Marine社の統合会社であるSeatrium社は、資本財セクターの取引高増加を牽引する主要なドライバーとしての役割を果たした。Seatrium社は、エンジニアリングの伝統を持つ世界最高峰のプレーヤーを生み出し、今日と明日のエネルギーニーズに応える製品、サービス、ソリューションを提供するために設立された。1QFY23 のビジネスアップデートによると、現在、再生可能エネルギーとクリーン/グリーンソリューションは、Seatrium社グループの純受注量の約 39%を占めている。Seatrium社は、2022年の1460万シンガポールドルに対し、4110万シンガポールドルの一日平均売買代金を記録し、今年最も取引されたシンガポール株の5つにランクされており、ケッペル・コーポレーションは、2022年の2630万シンガポールドルに対し、2960万シンガポールドルの一日平均売買高となっている。

  シンガポールの資本財セクターのうち 20 銘柄は、過去 20 週間で 5,450 万シンガポールドルの機関投資家属性の純流出を記録したが、先週は 3,360 万シンガポールドルの機関投資家属性の資金の純流入となったのを確認した。先週の機関投資家による資金流入は、Keppel Corporation社、Yangzijiang Shipbuilding (Holdings)社、ST Engineering社、Singapore Airlines社に加え、Seatrium社が20資本財セクター株式銘柄の中でトップであった。Yangzijiang Shipbuilding (Holdings)社とSingapore Airlines社の両社は、Marco Polo Marine社と並んで先週の好業績3銘柄にも名を連ねた。一方、20銘柄のうち、Jubilee Industries Holdings、Singapore Post社、ComfortDelGro社が同週中の下落率上位を占めた

5月11日、Marco Polo Marine社は23年9月期上半期(10‐3月)の売上高が前年同期比102%増となったと発表し、5月16日にはSIAが22‐23年決算期の売上高を前期比133%増と発表した。SIAはまた、平均搭乗者率が85%に達し、前期の30%に比べて高いことを強調している。Yangzijiang Shipbuilding社の株価が1.18シンガポールドルから1.27シンガポールドルに上昇したのは、米ドル/人民元が2022年12月の水準に戻り、7.00を超えた時期と重なる。当社グループは、FY22の年次報告書において、受注案件の多くが米ドル建てであることから、リスクを軽減するため、米ドルに対する為替エクスポージャーの40%以上を先渡し契約によりヘッジしていると述べている。

  世界的に見れば、資本財セクターは23年初来の20週までの間で最も好調な4部門のひとつに数えられる。こうした上昇傾向は他のアジア太平洋地域に及んでおり、資本財セクターはテクノロジーセクターに比して断片化・分岐化が進んでいないように見える。シンガポールの資本財セクターで最も取引量の多い20銘柄の市場規模は合計900億シンガポールドルであり、1日の平均売買代金は2億シンガポールドル強である。この20銘柄は、年初来でのシンガポールにおける1日の売買高の19%を占め、シンガポール株式市場の時価総額(時価総額)の11%程度を占めていることになる。シンガポールの資本財セクター株式で最も取引量の多い20銘柄における、過去20週間のシンガポール産業セクター株式における売買代金上位20銘柄、およびそのパフォーマンスと機関投資家属性資金の純流入出額などの詳細は以下のとおりである。

 

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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