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投資戦略ウィークリー 2023年1月30日号(2023年1月27日作成)】”拙速な利下げ観測、インフレと株式、建設2024年問題”

 

■拙速な利下げ観測、インフレと株式、建設2024年問題

  •  来月現地1日に米FOMC(連邦公開市場委員会)声明発表とパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長記者会見、同2日にECB(欧州中央銀行)理事会政策金利発表・ラガルド総裁記者会見が行われる。FOMCでは25%ポイント、ECB理事会では0.50%ポイントの政策金利引き上げ見通しだ。特に米政策金利のFFレートについては先物市場で年内に2回の0.25%ポイント利上げにより、6月に5%近辺でピークを迎えると観測されている。それに留まらず、12月に4.4%近辺まで引き下げられると予想が現在の米国株市場に織り込まれている。当局関係者の一連の発言からすると政策金利は高水準を長期間続けることがFOMCでも強調され、年内利下げの観測の修正とともに足元の米国株市場は調整を余儀なくされる可能性が高いと思われる。米国では2004年6月から利上げが開始された後に利下げに至るまで約3年3ヵ月を要した。これは今回の利上げ局面に当てはめると利下げ開始は25年6月に相当する。早急な利下げ観測の台頭は拙速な面があるだろう。
  •  長短逆イールドで景気後退懸念が高まる欧米市場と異なり、日本株市場は短期金利がゼロ以下に抑えられたうえで長期金利の許容変動幅拡大の観測が高まっているに過ぎない。景気過熱による金融引締め観測と無縁であるなか、20日発表の12月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比0%上昇(除く生鮮食品)と約41年ぶりの上げ幅に達した。一般的に株式は、企業がインフレの際に自社製品価格を引き上げて収益を増やすことができることを理由としてインフレに強い資産と言われる。インフレにも賃金に関して上昇を伴う「良いインフレ」と伴わない「悪いインフレ」があるとされるものの、インフレヘッジの「資産」としての役割が重視された場合、時価総額がその自己資本額よりも割安な低PBR(株価純資産倍率)銘柄が買われやすくなるだろう。東証は今春にもプライム・スタンダード市場を対象として、PBRが継続して解散価値とされる1.0倍を割っている企業に改善に向けた取り組みや進捗状況の開示を要請する方針を示した。この動きがインフレヘッジの株式への見直しの動きと歩調が合えば実効性の高まりが期待される。
  •  24年4月からの時間外労働規制強化による人手不足の「2024年問題」は物流業界だけでなく建設業界も同様だ。長時間労働と深刻な人手不足、高齢化が問題視されるなかで革新的な建設DX(デジタル変革)が求められる。他の業界も含めて、新型コロナ禍前の時代のような供給力を確保することは難しく、それがインフレ圧力として顕在化しやすい時代になったのだろうか。(笹木)
  • 1/30号では、鹿島建設(1812)スパイダープラス(4192)マクセル(6810)浜松ホクトニクス(6965)、フレーザー・アンド・ニーヴ(FNN)を取り上げた。

■主な企業決算の予定

  • 130日(月):アンリツ、オムロン、オリエンタルランド、カプコン、キヤノン、きんでん、コーエーテクモHD、スタンレー電気、トプコン、塩野義製薬、三井住友フィナンシャルグループ、山九、積水化学工業、大東建託、大同特殊鋼、中部電力、東海旅客鉄道、日清製粉グループ本社、日本取引所グループ、日本電気、日本特殊陶業、日立物流、北陸電力、野村総合研究所、大和証券グループ本社、(米)NXPセミコンダクターズ
  • 131日(火): HOYA、JCRファーマ、LIXIL、PALTAC、SCREENHD、SCSK、TDK、TOTO、ZOZO、アイカ工業、アコム、アズワン、アドバンテスト、アルプスアルパイン、エス・エム・エス、エフピコ、オークマ、オートバックスセブン、しずおかフィナンシャルグルー、セイコーエプソン、トクヤマ、ふくおかフィナンシャルグループ、ほくほくフィナンシャルグループ、マキタ、メイテック、りそなHD、レーザーテック、関西電力、京成電鉄、京都銀行、九州電力、九電工、三井住友トラスト・HD、三菱倉庫、三和HD、四国電力、住友 ファーマ、商船三井、小松製作所、小野薬品工業、新光電気工業、清水建設、西日本旅客鉄道、綜合警備保障、大和工業、第一三共、中国電力、電源開発、東京瓦斯、東日本旅客鉄道、東北電力、東洋水産、南海電気鉄道、日本ゼオン、日本ハム、日本化薬、日本碍子、日本瓦斯、富士通、味の素、(米)エレクトロニック・アーツ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、アムジェン、モンデリーズ・インターナショナル、ゼネラル・モーターズ(GM)、キャタピラー、エクソンモービル、ファイザー、マクドナルド、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
  • 21日(水): BIPROGY、アマノ、キーエンス、ケーズHD、デクセリアルズ、ネットワンシステムズ、ヒロセ電機、メディパルHD、伊藤忠テクノソリューションズ、京セラ、阪急阪神HD、住友化学、大塚商会、東京電力HD、日本精工、日立製作所、野村HD、(米)メットライフ、メタ・プラットフォームズ、マイクロチップ・テクノロジー、アライン・テクノロジー、アルトリア・グループ、TモバイルUS、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、サーモフィッシャーサイエンティフィック
  • 22日(木): ANAHD、KDDI、MonotaRO、NTN、ZHD、イビデン、カカクコム、カゴメ、カシオ計算機、カドカワ、コナミグループ、コニカミノルタ、ソニーグループ、ダイセル、ちゅうぎんフィナンシャルグル、パナソニックHD、みずほフィナンシャルグループ、ローム、花王、栗田工業、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱自動車工業、三菱電機、住友電気工業、双日、相鉄HD、村田製作所、中外製薬、日本テレビHD、日本光電工業、日本航空、日本酸素HD、日野自動車、武田薬品工業、(米)アトラシアン、フォード・モーター、アップルアルファベット、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アマゾン・ドット・コム、ギリアド・サイエンシズ、スターバックス、クアルコム、メルク、シリウスXMホールディングス、コノコフィリップス、ハネウェルインターナショナル、ブリストル マイヤーズ スクイブ
  • 23日(金):NOK、TIS、UBE、アイシン、あおぞら銀行、ウシオ電機、エムスリー、キッコーマン、コンコルディア・フィナンシャルグループ、ジェイテクト、スクウェア・エニックス・HD、セブン銀行、ソフトバンク、ツムラ、テクノプロ・HD、デンソー、トヨタ紡織、ニッコンHD、ニッスイ、ニフコ、ハウス食品グループ本社、ミネベアミツミ、ヤマダHD、伊藤忠商事、王子HD、科研製薬、丸紅、群馬銀行、三井化学、三井物産、三越伊勢丹HD、三菱商事、山口フィナンシャルグループ、川崎汽船、全国保証、東ソー、東洋製罐グループHD、日本電気硝子、日本郵船、八十二銀行、豊田合成、豊田自動織機、豊田通商、(米)リジェネロン・ファーマシューティカルズ

主要イベントの予定

  • 130日(月)

・日本取引所グループの清田CEO定例会見、日本自動車輸入組合の上野理事長が会見、令和臨調「政府と日銀の新たな関係構築に向けた緊急提言」発表記者会見

・ドイツ首相・ブラジル訪問、ブルームバーグNEF(BNEF)サミット(サンフランシスコ、31日まで)、中国市場・春節休場明けで取引再開

・ユーロ圏消費者信頼感指数(1月)、ユーロ圏景況感指数(1月)

 

  • 131日(火)

・日銀の金融政策決定会合議事録(2012年7月-12月開催分)、完全失業率・有効求人倍率(12月)、鉱工業生産(12月)、小売売上高(12月)、百貨店・スーパー売上高(12月)、消費者態度指数(1月、住宅着工件数・戸数(12月)、外国為替平衡操作の実施状況(12月29日-1月27日)

・米FOMC(2月1日まで)、 国際通貨基金(IMF)・世界経済見通し(WEO)改定見通し

(シンガポール)、米セールスフォース、ブレット・テイラー共同最高経営責任者(CEO)退任、ノルウェー政府年金基金グローバル・年間成績概要発表

・米雇用コスト指数 (4Q)、米FHFA住宅価格指数(11月)、米主要20都市住宅価格指数(11月)、米消費者信頼感指数(1月)、ユーロ圏GDP(4Q)、独失業率(1月)、独GDP(4Q)、独CPI(1月)、中国製造業・非製造業PMI(1月)、中国工業利益(12月)

 

  • 21日(水)

・auじぶん銀行日本製造業PMI (1月)

米FOMC声明発表・FRB議長記者会見、米下院共和党・新型コロナ発生源巡る公聴会開催、ブラジル中銀・政策金利発表、インド政府予算案発表、韓国サムスン電子・製品発表イベント(対面形式、サンフランシスコ)

・米自動車販売(1月)、米ADP雇用統計(1月)、米建設支出(12月)、米求人件数(12)米ISM製造業景況指数(1月)、 S&Pグローバル米製造業PMI(1月)、S&Pグローバル・ユーロ圏製造業PMI(1月)、ユーロ圏CPI(1月)、ユーロ圏失業率(12月)、中国財新製造業PMI(1月)、香港GDP(2022年年間、4Q)

 

  • 22日(木)

・ファストリ・1月度の国内ユニクロ売上高速報、東京国際金融機構がフォーラムを開催:同機構会長の中曽前日銀副総裁・木原官房副長官や清水日銀理事が出席、マネタリーベース(1月)、対外・対内証券投資 (1月22-28日)、日銀営業毎旬報告(1月31日現在)

ECB政策金利発表・総裁記者会見、英中銀とチェコ中銀・政策金利発表

・米非農業部門労働生産性(4Q)、新規失業保険申請件数 (28日終了週)、製造業受注(12月)

 

  • 23日(金)

・GPIF10-12月期の運用結果、じぶん銀行日本サービス業・複合PMI(1月)

・EUウクライナ・サミット、ECB専門家予測調査

米雇用統計(1月)、米ISM非製造業総合景況指数(1月)、S&Pグローバル米総合・サービス業PMI(1月)、S&Pグローバル・ユーロ圏総合・サービス業PMI(1月)、ユーロ圏PPI(12月)、トルコCPI(1月)、中国財新コンポジット・サービス業PMI(1月)

 

  • 24-5日(土・日)

・米グラミー賞授賞式、EUがロシア産石油製品の輸入禁止、キプロス大統領選挙・第1回投票(決選投票の場合は12日)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

米利上げと住宅市場、労働市場

米FRBの政策金利について市場予想では6月ピーク・年内利下げを織り込む動きを示している。一方、当局関係者の多くはインフレ率が十分に低下するまで高い金利を続けるとの見方だ。2000年代には04年6月~06年6月の2年間で1.0%から5.25%まで4.25ポイント引き上げられ、ピーク金利5.25%は07年8月まで約14ヵ月間継続。そして新築一戸建て住宅販売の月次件数(年率換算、季節調整済)は、05年8月から09年2月3年半かけて約78%落ち込んだ。つまり、利上げ開始から利下げ開始まで3年3ヵ月の期間を要していた。それを現在の利上げ局面に当てはめれば利下げ開始が25年6月頃に相当する。

労働参加率(生産者年齢人口に占める労働力人口の割合)がコロナ禍前水準に戻らない点もインフレ要因と考えられよう。

【米利上げと住宅市場、労働市場~2004年からの利上げ参考、雇用も鍵】

■米国債券市場で有望な投資対象

金融引締め政策によって景気が後退し、企業業績に悪影響が出て株価が下落する段階を「逆業績相場」といい、長期国債の投資チャンスと言われる。ところが、英国でトラス前政権の減税政策が混乱を招いたように、政府債務の膨張とインフレ高進が続く中、投資家は長期国債保有に高いプレミアムを求める傾向が強まると考えられる。長期国債が有望とはいえず、長短逆イールドで期間の短い国債の魅力が高まっている面もあるだろう。

また、利回りの高さと元利払いに対する政府保証付きという点で米連邦住宅抵当貸付公社(フレディマック)の住宅ローン担保証券も投資魅力が高い面もあろう。1/20終値ではフレディマック住宅ローン30年実効金利が6.15%と米30年国債利回りを約2.5ポイント上回る。

【米国債券市場で有望な投資対象~短期ゾーン国債と住宅担保証券(MBS)】

■インフレの株式投資はPBR主導

日本製鉄5401が5日安値から24日高値2763円まで約24%上昇したように鉄鋼株が日本株の牽引役となってきた。その背景として中国経済回復期待やウクライナ情勢に係る兵器需要、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどの点で海運株と並ぶバリュー株の象徴的存在であることが挙げられる。

2003年~2007年にかけて鉄鋼株と海運株が日本株を牽引した時期は、コモディティ価格の高騰とBRICsと言われる新興国市場の高成長を背景として世界的にインフレ傾向が目立っていた。その時の特徴として、2003年~2006年にかけて見られたように、インフレ傾向を背景とした資産価格の高騰を受け、PBRの水準訂正が日本株を押し上げた時期でもあった。バリュー・低PBR銘柄は有望だろう。

【インフレの株式投資はPBR主導~海運株・鉄鋼株が占うインフレ時の投資】

■銘柄ピックアップ

鹿島建設(1812) 

1,580 円(1/27終値)   

・1840(天保11)年に鹿島岩吉が「大岩」の屋号で創業。土木事業、建築事業、開発事業、国内関係会社、海外関係会社の5事業セグメント。最大手ゼネコンの一角で超高層・耐震・原発に強み。

・11/10発表の2023/3期1H(4-9月)は、営業収益が前年同期比19.0%増の1兆1374億円、営業利益が同15.0%増の649.09億円。グループ全体の建築事業受注高が同39.1%増の1兆1225億円。製造業・非製造業ともに設備投資を増加させる傾向が見られたほか、公共投資も堅調を維持した。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比11.7%増の2兆4300億円(従来計画2兆2700億円)、営業利益を同8.4%減の1130億円(同1080億円)とした。年間配当は同横ばいの58円で据え置き。企業による生産拠点の国内回帰が工場の建設需要を押し上げるとの見方から大手ゼネコンの業績見通しが上向くなか、同社は1H海外関係会社の売上構成比が約32%と海外工事に強みが有る。

スパイダープラス4192   

651 円(1/27終値)  ※東証グロース銘柄

・1997年に埼玉県戸田市で熱絶縁工事エンジニアリング事業で創業。現在は建設業者を主な顧客とした建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」の開発販売を行うICT事業を主力として事業展開。

・11/10発表の2022/12期9M(1-9月)は、売上高が前年同期比11.9%増の18.05億円、営業利益が前年同期の▲2.98億円から▲7.53億円へ赤字幅拡大。建設業界における「働き方改革」の残業時間上限規制適用が2024年4月から開始に向けた戦略的先行投資により、増収率を重視する方針。

・通期会社計画は、売上高が前期比20.9%増の26.68億円、営業利益が前期の▲4.33億円から▲11.89億円へ赤字幅拡大。建設業界向け人材派遣でスーパーゼネコン5社が売上構成比25%を占めるコプロ・ホールディングス7059も建設業界「2024年問題」を好機と捉え、スパイダープラス管理アプリを操作できる技術者派遣という付加価値で派遣単価を上げることで成長を目指している。

マクセル(6810  

1,433 円(1/27終値)

・1966年に設立。2010年の日立製作所6501による完全子会社化後、2014年に再上場し日立グループから独立。主にエネルギー、産業用部材料および電器・消費者製品の製造・販売を行う。

・10/28発表の2023/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比5.9%減の652.05億円、営業利益が同60.0%減の24.61億円。事業の選択・集中によるプロジェクター事業縮小に加え、二次電池およびBtoC製品販売減により減収。利益面では金属・原油に係る原材料費高騰と為替の円安が響いた。

・通期会社計画は、売上高を前期比2.3%減の1350億円(従来計画1300億円)に上方修正も、営業利益を同41.1%減の55億円(同95億円)へ下方修正。年間配当金は同横ばいの40円で据え置き。2023年度量産開始予定の全固体電池について、ローム6963の超低消費電流技術を基板上に搭載した評価用電源モジュールキットをロームと共同開発。全固体電池の普及拡大が期待される。

浜松ホクトニクス(6965  

6,920 1/27終値

・1948年に堀内平八郎が静岡県浜松市で東海電子研究所を創業。主に電子管事業(光電子増倍管、イメージ機器及び光源)、光半導体事業、画像計測機器事業(画像処理・計測装置)を営む。

・11/11発表の2022/9通期は、売上高が前期比23.5%増の2088.03億円、営業利益が同66.0%増の569.83億円。電子管は非破壊検査が電気自動車(EV)向け需要の伸びを受けた。光半導体は半導体製造・検査装置や医療分野向けが伸長。画像計測機器は物理分野・DNA検査向けにも増加。

・通期会社計画は、売上高が前期比13.1%増の2362億円、営業利益が同2.7%増の585億円、年間配当が同4円増配の76円。同社は半導体製造・検査装置や医療機器などに使われる光センサーで25/9期までの3年間で約1000億円を投じて生産能力を2倍に拡張予定。丸野社長は光半導体事業だけで売上高を前期の2倍超の2000億円を見据える。核融合関連の先端製品も期待される。

フレーザー・アンド・ニーヴ(FNN

市場:シンガポール    1.25 SGD 1/26終値)

・飲料・食品大手企業。ジョン・フレーザーとデビッド・ニーヴが印刷事業で創業。タイ・ビバレッジを中核企業とするタイの華僑系財閥TCCグループ傘下。食品・飲料部門と出版・印刷部門を営む。

・11/10発表の2022/92H(4-9月)は、売上高が前年同期比11.6%増の9.93億SGD、公正価値評価額や例外的項目を除く調整後純利益が同1.6%減の60.8百万SGD。EBITDAが同15.7%増の539.28億THB。昨年3月まで新型コロナの厳しい行動制限が続いたタイとマレーシアの反動増が貢献。

・マレーシア子会社を通じ、乳製品の上流工程に携わる企業および砂糖菓子製品を製造する企業など相次いで買収。また、シンガポールでは印刷・出版事業において生分解性かつ堆肥化可能なクラフト紙袋など持続可能な環境フレンドリー製品を製造する20万フィート規模の工場を稼働開始。主要セグメントのシンガポール、タイ、マレーシアは昨年の株価指数騰落率で見ても堅調。

 

■アセアン株式ウィークリーストラテジー

1/30号「タイの10大財閥系企業」)

タイは企業活動において伝統的に華人系財閥グループが強力かつ広範囲な流通販売網を構築しているなか、中華資本のほかにタイ資本の新興財閥、王室系財閥も経済に強い影響を与えている。タイ王室系ではサイアム・セメント。華僑資本の小売系財閥では商業不動産開発のセントラル、およびモールが有名だ。更に、エナジードリンク「レッドブル」を製造販売するのがTCPである。そして、農業・食料品分野を支配するタイ最大のコングロマリットがチャロン・ポカパン(CP)であり、タイビバレッジを中核企業とするのがTCCである。タイ資本で免税店を展開するキングパワー、老舗ビール「シンハー」を生産するのがブーンロート・ブリュワリー、タイ資本の小売・消費系で即席麵のサハ、民間病院チェーンのバンコク・ドゥシットメディカル・サービシス。以上が10大財閥企業とされる。

 

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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