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【投資戦略ウィークリー 2021年5月6日号(2021年4月30日作成)】”製造業のコスト高とビットコインが5月以降の波乱の芽”

 

■”製造業のコスト高とビットコインが5月以降の波乱の芽”

  • 4/25、昨年9月の政権発足後、初の国政選挙となった衆参3選挙区の補欠選挙と再選挙を自民党が落としたこと、および1都3府県で4/25から5/11までの期間で発令された緊急事態宣言が新型コロナウイルス感染拡大の抑え込みに成功しなければ、オリンピック開催が危ぶまれるのではないかとの懸念が強まっていることなどから、政権に動揺が走っているように見受けられる。五輪を成功させた成果を掲げて衆院解散総選挙に臨む展開が難しいとなれば、不利な情勢に追い込まれる前に新型コロナ救済の大型追加経済対策を実施したうえで前倒しで解散総選挙に持ち込む可能性もあろう。日本の政局の動向には要注意だろう。
  •  米国では、4月末で大統領就任から100日の「ハネムーン期間」が経過。同期間は株式市場で波乱が起きにくいと言われるなか、4/28に米上下両院合同会議でバイデン大統領の初の施政方針演説が行われ、既に発表済みのインフラ投資支出である25兆ドルの「米国雇用計画」に加え、1.8兆ドル規模の子育てや教育などへの支出を伴う「米国家族計画」を発表。その財源として連邦所得税の最高税率引上げや年収100万ドル超の富裕層に係るキャピタルゲイン課税の大幅増税が提案され、米民主党およびバイデン大統領の政策は一通り出揃ったと見受けられる。日本株市場は、国内の政局に対する不透明感に加え、および米国市場において「セルインメイ」となりやすい5月が大統領就任のハネムーン期間明けと重なることから、変動性が高まる展開が想定されよう。
  •  先ず、4/26にLME銅先物価格が2011年8月以来の高値となるなど製造業にとっては原材料コストの上昇が目立ち始め、それに加えて物流の混乱などに伴う輸送費用の上昇が企業業績に響き始めて来ている。コンテナ船を取り扱う海運会社や非鉄金属・素材メーカーにとっては追い風となるとみられる一方、幅広い業種でコスト高が企業業績にマイナスに働き始める可能性があろう。
  •  また、暗号資産のビットコイン価格の動向も株式市場に影響を与える可能性がある。4年に1度のマイニング報酬の半減期到来とビットコイン価格の騰落の間には、過去2回の半減期到来では、半減期から1年または1年5ヵ月後まで急騰した後で急落するというサイクルが繰り返されている。今年5月に昨年の半減期からちょうど1年が経過するなか、ビットコイン市場の時価総額は今までよりも巨額に膨らんでいることを考慮すれば、仮にビットコイン価格が急落した場合の株式市場への影響は軽視できないだろう。(笹木)

5/6号では、日本碍子(5333)、新日本電工(5563)、RPAホールディングス(6572)、平和不動産(8803)、アドバンスト・インフォ・サービス(ADVANC)を取り上げた。

 

■主な企業決算の予定

  • 54日(火): (米)アクティビジョン・ブリザード、ベリスク・アナリティクス、マッチ・グループ、ザイリンクスTモバイルUS、CVSヘルス、ファイザー、コノコフィリップス、アイデックスラボラトリーズ、インサイト、デュポン・ド・ヌムール
  • 55日(水): (米)コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、メットライフ、ペイパル・ホールディングス、アンシス、フォックス、ブッキング・ホールディングスゼネラル・モーターズ(GM)エクセロン、CDW、エマソン・エレクトリック、サーナー
  • 56日(木): FOOD & LIFE COMPANIES、ケーズホールディングス、ヒロセ電機、ミスミグループ本社、株式会社ヤマダホールディング、丸紅、協和キリン、栗田工業、任天堂、(米)アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、マイクロチップ・テクノロジー、ペロトン・インタラクティブ、モンスタービバレッジ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、モデルナ、Linde PLC
  • 57日(金)AGC、オリンパス、サッポロホールディングス、ジェイ エフ イー ホールディングス、セブン銀行、ディーエヌエー、パイロットコーポレーション、ブラザー工業、ミネベアミツミ、リコー、科研製薬、花王、京阪ホールディングス、三菱商事住友商事、日本ユニシス、日本空港ビルデング、日本航空日本製鉄、日本特殊陶業
  • 510日(月): オートバックスセブン、カプコン、コクヨ、ショーボンドHD、パナソニック、ファンケル、マルハニチロ、ヤオコー、ヤマハ、ライオン、リンテック、ローム伊藤忠商事塩野義製薬、沖電気工業、江崎グリコ、三菱重工業、山九、住友金属鉱山、住友重機械工業、清水建設、千葉銀行、全国保証、東海カーボン東洋紡、日本ハム、日本製鋼所、日本郵船、味の素、(米)デューク・エナジー、マリオット・インターナショナル
  • 511日(火): FUJI、SCREENHD、SUBARU、SUMCO、ウシオ電機、NTTデータ、カカクコム、キッセイ薬品工業、シップヘルスケアHD、シャープ、スズケン、セントラル硝子、ソフトバンク、ダイキン工業、ダイフク、ツムラ、テレビ朝日HD、トプコン、ニチレイ、ニプロ、ハウス食品グループ、パン・パシフィック・インター、バンダイナムコHD、ベネッセHD、ミルボン、メイテック、ユー・エス・エス、りそなHD、横河電機、五洋建設、三井金属鉱業、三菱瓦斯化学、三菱自動車工業、参天製薬、出光興産、小野薬品工業、神戸製鋼所、西松建設、川崎重工業、綜合警備保障、長瀬産業、帝人、島津製作所、東ソー、東急不動産HD、日産自動車日清食品HD、日本化薬、日本酸素HD、日本触媒、日本精工、不二製油グループ、武田薬品工業、名古屋鉄道、(米)エレクトロニック・アーツ
  • 512日(水):DMG森精機、ENEOSHD、GMOインターネット、GMOペイメントゲートウェイ、PALTAC、TIS、アマダ、エア・ウォーター、エーザイ、キリンHD、クラレ、コンコルディア・フィナンシャルG、サンゲツ、サントリー食品インター、ジーエス・ユアサ コーポレーション、シスメックス、ソフトバンクG、ダイセル、テルモ、デンカ、デンカ、トヨタ自動車、ニッコンHD、ネクソン、ひろぎんHD、フジテック、ベネフィット・ワン、ホシザキ、めぶきフィナンシャルG、リンナイ、宇部興産、関西ペイント、丸井グループ、丸一鋼管、京浜急行電鉄、九州旅客鉄道、群馬銀行、古河電気工業、三越伊勢丹HD、三菱ケミカルHD、資生堂、住友ゴム工業、西日本フィナンシャルHD、静岡銀行、大日本住友製薬、大林組、東京応化工業、東京建物、凸版印刷、日揮HD、日本パーカライジング、日本電気日本電信電話、日油、浜松ホトニクス、富士フイルムHD明治HD
  • 513日(木): ADEKA、IHI、INPEX、JCRファーマ、NOK、SANKYO、THK、あおぞら銀行、アコム、アリアケジャパン、いすゞ自動車、オリックス、カシオ計算機、カネカ、カルビー、グローリー、コカ・コーラボトラーズ、コスモエネルギーHD、コナミHD、コロワイド、ジャストシステム、スクウェア・エニックス・HD、スズキ、セイノーHD、セガサミーHD、セコム、トレンドマイクロニコン、ニフコ、ピジョン、フジ・メディア・HD、ペプチドリーム、ほくほくフィナンシャルクG、マツモトキヨシHD、メディパルHD、メニコン、リログループ、レンゴー旭化成、王子HD、楽天グループ、九州フィナンシャルG、三井化学、三井住友トラスト・HD、三菱地所住友化学、住友大阪セメント、住友電気工業、住友不動産、昭和電工、新生銀行、森永製菓、森永乳業、西日本鉄道、西武HD、雪印メグミルク、太平洋セメント、太陽誘電、大塚HD、大日本印刷、第一興商、長谷工コーポレーション、東レ、東急、東京センチュリー、日清紡HD日本テレビHD、日本光電工業、日本水産、博報堂DYHD、宝HD、堀場製作所、(米)ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー
  • 514日(金): DIC、DOWAHD、H.U.グループHD、KDDI、NTN、SMC、T&DHD、TBSHD、TOYO TIRE、アサヒグループHD、アズビル、アズワン、アルバック、アルフレッサ HD、オープンハウス、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、かんぽ生命保険、クボタ、クレディセゾン、ゴールドウイン、コニカミノルタ、コムシスHD、サンドラッグ、サンリオ、すかいらーくHD、ゼンショーHD、ダスキン、パーソルHD、ふくおかフィナンシャルグループ、マツダ、みずほフィナンシャルグループ、ヤクルト本社、ヤマハ発動機、ゆうちょ銀行、ユニ・チャーム、リゾートトラスト、ワコールHD、伊予銀行、荏原製作所、横浜ゴム、岩谷産業、京都銀行、協和エクシオ、近鉄グループHD、戸田建設、光通信、阪急阪神HD、三井住友フィナンシャルグループ、三井不動産、三浦工業、三菱マテリアル、三和HD、山口フィナンシャルグループ、持田製薬、滋賀銀行、鹿島建設、七十七銀行、上組、前田建設工業、大成建設、大正製薬HD、大和ハウス工業、第一生命HD、中国銀行、朝日インテック、電通グループ、東芝、東邦HD、東洋水産、東洋製罐グループHD、日産化学、日本ペイントHD、日本軽金属HD、日本新薬、日本製紙、日本発条、日本郵政、飯田グループHD、本田技研工業

 

主要イベントの予定

  • 53日(月)

・G7外相会合(ロンドン、5日まで);印・豪・韓・南アとASEAN事務局長も招待、英株式市場が祝日のため休場、中国市場が祝日のため休場(5日まで)、アジア開発銀行年次総会(オンライン形式、5日まで)

・米自動販売(4月)、 米ISM製造業景況指数(4月)、米建設支出(3月)、ユーロ圏製造業PMI(4月)、香港GDP (1Q)

  • 54日(火)

・豪中銀が政策金利発表

米貿易収支 (3月)、 米製造業受注(3月)、中国財新製造業PMI指数(4月)

  • 55日(水)

・米シカゴ連銀総裁が講演(オンライン)、WTO一般理事会(6日まで)、ブラジル中銀が政策金利発表、タイ中銀が政策金利発表

米ADP雇用統計(4月)米ISM非製造業総合景況指数(4月)、ユーロ圏総合・サービス業PMI (4月)、ユーロ圏PPI(3月)、インドネシアGDP (1Q)

 

  • 56日(木)

日銀金融政策決定会合議事要旨(3月1819日分)、じぶん銀行日本PMIサービス業・コンポジット (4月)、 自動車販売台数(4月)

・米ダラス連銀総裁が討論会に参加、ECB経済報、 英中銀が政策金利発表、英地方選挙(スコットランド議会選、ロンドン市長選など)、トルコ中銀が政策金利発表マレーシア中銀が政策金利発表

米新規失業保険申請件数 (5月1日終了週)、ユーロ圏小売売上高(3月)、独製造業受注(3月)、中国財新サービス業・コンポジットPMI(4月)

  • 57日(金)

毎月勤労統計現金給与総額(3月)、実質賃金総額(3月)、マネタリーベース月末残高(4月)

米雇用統計(4月)、 米卸売在庫 (3月)、米消費者信用残高(3月)、独貿易収支(3月)、独鉱工業生産(3月)、中国外貨準備高(4月)、中国貿易収支(4月)

  • 510日(月)

・米シカゴ連銀総裁がオンラインイベントに参加

  • 511日(火)

・日銀金融政策決定会合における主な意見(4月26・27日分) 、家計支出(3月)

・米ニューヨーク連銀総裁・ブレイナード米FRB理事・米サンフランシスコ連銀総裁がオンラインイベントで講演、英中銀総裁が討論会に参加、英女王演説(施政方針演説)、OPEC月報

・米求人件数(3月)、独ZEW期待指数(5月)、中国CPI・PPI(4)、フィリピンGDP(1Q)、マレーシアGDP(1Q)

  • 512日(水)

・景気先行CI指数・景気一致指数(3月)

・米大統領が民主・共和両党の上・下院幹部と会談、クラリダ米FRB副議長がオンラインイベントで講演、英中銀総裁が講演、欧州委員会経済見通し、国際エネルギー機関(IEA)月報

米CPI(4)米財政収支(4)、ユーロ圏鉱工業生産(3月)、独CPI(4月)、英鉱工業生産(3月)、英GDP(1Q)

  • 513日(木)

・対外・対内証券投資(4月25日-5月8日)、経常収支・貿易収支(3月)、銀行貸出動向(4月)、東京オフィス空室率(4)倒産件数(4)景気ウォッチャー調査現状判断・先行き判断(4)

・米セントルイス連銀総裁がオンラインイベントで講演、英中銀総裁が講演、フィリピン中銀が政策金利発表

米新規失業保険申請件数(8日終了週)、米PPI(4)

  • 514日(金)

・マネーストックM2・M3(4月)

・米ダラス連銀総裁がオンライン討論会に参加、米小売売上高(4)、米輸入物価指数(4月)、米企業在庫(3月)、米鉱工業生産指数(4月)、米ミシガン大学消費者マインド指数(5)、香港GDP(1Q)

 

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

 

支払価格高騰後の景況感

米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は米国の景気動向を占う先行指標とされ、翌月初に発表されるISM製造業景況指数との相関が高いとされる。過去20年の同指数の内訳項目推移を見ていくと、支払価格が高騰するとISM製造業景況指数が低下に転じる傾向がみられるなか、支払価格は今年3月に約40年ぶりの高水準となる72.6に達したのに続き、4月も69.1と高水準にとどまった。

支払価格の高騰はコスト上昇による企業業績悪化に繋がる。主要企業の2021年1-3月期決算においても、4/20発表のP&GPGは原材料コスト上昇への対応として消費者向け製品値上げを発表。4/27発表の化学大手スリーエムMMMは素材や物流価格の上昇に伴うコスト高を懸念材料として挙げた。

【支払価格高騰後の景況感~フィラデルフィア連銀製造業景況指数に注目】

■ビットコイン報酬半減期後の急騰

昨年5/12に約4年ぶりにビットコインのマイニング報酬の半減期が到来。半減期とはマイニングによって新規に発行される暗号資産の量を半減させていく仕組みのことであり、発行量の引き締めにより資産価値の希薄化を防止する狙いがある。半減期は、ビットコインの発行量が21万ブロックごとに訪れるよう設計されており、1ブロック当り約10分で形成されるため、計算上約4年毎に訪れることとなる。

過去には、①2012/11/28の半減期到来から約1年後の2013年12月まで、②2016/7/9の半減期到来から約1年5ヵ月後の2017年12月まで、ビットコイン価格が急騰を演じた。今回もビットコイン価格終値が半減期から約11ヵ月後の4/15に63,410USDの過去最高値を付けた。また、急騰後の急落にも要注意だろう。

【ビットコインの報酬半減期後の急騰~2度あることは3度ある、4年毎の相場】

 

■製造小売業(SPA)の株価動向

製造小売(SPA)とは、アパレル分野を中心として小売業が製造の分野まで踏み込み、自社のオリジナル商品の開発を行い、自社で販売する方法を意味する。アパレルではユニクロを展開するファーストリテイリング9983、作業服・アウトドアウエアを取り扱うワークマン7564の株価は成長期待から高PBR(株価純資産倍率)で推移。また、食の製販一体を掲げて「業務スーパー」をFC展開する神戸物産3038の株価も同様に高PBRだ。

一方で、家具・インテリアチェーンのニトリホールディングス(9843)や無印良品ブランドで生活雑貨を取り扱う良品計画(7543)は、SPAの中では相対的にPBRが低いとみられるが、株式相場がグロースからバリュー志向へシフトする流れにおいては優位に立つ可能性もあろう。

【製造小売業(SPA)の株価動向~アパレルと食品は成長期待で高PBR化】

■銘柄ピックアップ

日本碍子5333

  1,991  円(4/30終値)

・1919年に現在のノリタケカンパニーリミテド5331からガイシ部門を分離独立。ガイシで世界首位を占める。エネルギーインフラ、セラミック、エレクトロニクス、プロセステクノロジーの4事業を営む。

・4/28発表の2021/3通期は、売上高が前期比2.3%増の4,520.43億円、営業利益が同7.6%減の508.23億円。半導体製造装置用製品を取り扱うプロセステクノロジー事業の増収が売上増に寄与したが、上半期の世界自動車市場の販売台数減によるセラミック事業の減益が利益面で響いた。

・2022/3通期会社計画は、売上高が前期比7.3%増の4,850億円、営業利益が同37.7%増の700億円。世界自動車市場の需要回復に伴い排ガス規制強化を背景とする自動車関連部品の伸びを見込む。ナトリウム(Na)と硫黄(S)を使った同社の研究開発によるNAS電池は、大容量・高エネルギー密度・長寿命の電力貯蔵システムであり、再生可能エネルギー普及にとって重要な役割を担おう。

新日本電工5563

 369  円(4/30終値)

・1934年設立の鉄鋼向け合金メーカー。筆頭株主である日本製鉄5401のグループ企業であり、主力の合金鉄(フェロアロイ)の製造・販売のほか、機能材料、環境、電力、その他の事業を展開。

・2/8発表の2020/12通期は、売上高が前年同期比23.4%減の540.04億円、営業利益が前年同期の▲55.79億円から54.34億円へ黒字転換。粗鋼生産量減少やハイブリッド車向け水素吸蔵合金の販売減が減収に響いたが、棚卸資産評価による帳簿価格切り下げにより原材料コストが低減した。

・2021/12通期会社計画は、現時点で合理的な算定・予想を行うことができないとして未記載だが、国内粗鋼生産量の増加に伴う合金鉄の販売増、および電気自動車(EV)の普及に伴う住友金属鉱山5713からの電池材料の製造受託が伸びると見込む。また、脱炭素エネルギーとして有望な水素の運搬技術は、短距離であれば、同社が国内首位を占める水素吸蔵合金に優位性がある。

RPAホールディングス(6572  

745 円(4/30終値)

・2000年に前身のデジタルリパブリックを創業。連結子会社を通じて主に、ロボットアウトソーシング、ロボットトランスフォーメイション、RaaS(ロボット・アズ・ア・サービス)の3事業を運営する。

・4/14発表の2021/2通期は、売上高が前期比11.3%増の112.06億円、営業利益が同13.0%増の5.32億円。ロボットトランスフォーメーション事業における金融・通信業の顧客からの成果報酬型広告(アフィリエイト)が増収に寄与したほか、売上原価と販管費の抑制が営業増益に貢献した。

・2022/2通期会社計画は、売上高が前期比11.5%増の125億円、営業利益が同37.1%増の7.30億円。ロボットアウトソーシング事業の収益構造をライセンスのストック収入にシフトすることを経営戦略の柱とする。定型業務自動化のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の世界的企業であるUiPathPATHが4/21に米国上場。RPAへの注目度の世界的高まりが同社株価へ追い風となろう。

平和不動産(8803  

3,715 4/30終値

・1947年に東京、大阪、名古屋その他の証券市場建物その他を証券取引所および証券業者等に賃貸する目的で設立。主に、ビルディング事業、およびアセットマネジメント事業を展開する。

・4/30発表の2021/3通期は、売上高が前期比24.9%減の350.48億円、営業利益が同3.0%増112.28億円。アセットマネジメント事業における開発不動産売上高が同54.8%減となったことが全体の減収に響いた一方、同事業における棚卸資産売却益の大幅な増加等が営業増益に貢献した。

・2022/3通期会社計画は売上高が前期比62.1%増の568億円、営業利益が同2.4%増の115億円。札幌再開発事業とともに同社の中期経営計画の柱となす「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」は、地上15階、地下2階、最高高さ88.5mの「KABUTO ONE」が今年7月に満室で開業予定。また、「国際金融都市・東京」構想実現に向けた海外金融事業者の誘致積極化も追い風となろう。

アドバンスト・インフォ・サービス(ADVANC) 

市場:タイ    172.0 THB4/29終値)

・1986年創業のタイ最大規模の通信会社。同社の持株比率第2位のテマセクHDS(シンガポール政府所有の投資会社)は、同社の筆頭株主であるインタッチHDSの筆頭株主でもあり、経営に関与。

・2/8発表の2020/12期4Q(10-12月)は、総収益が前年同期比5.6%減の460.74億THB、EBITDAが同1.7%減の190.43億THB、純利益が同5.0%増の74.19億THB。外国為替換算差益が最終増益に寄与したが、アップルのiPhone12のローンチが遅れたことが響いて減収・EBITDA減益となった。

・4/19にタイ民間電力大手ガルフ・エナジー・デベロプメントが、同社の筆頭株主インタッチHDSへのTOBによる完全子会社化を目指すと発表。併せて同社も傘下に収める方針とした。インタッチの筆頭株主かつ同社の大株主であるテマセクHDSによる出資は、シンガポール・テレコム(ST)の地域戦略投資の一環であり利害対立が予想されることから、買収価格を巡る駆け引きが予想されよう。

 

■アセアン株式ウィークリーストラテジー

5/6号「アセアンの新型コロナ対応に係る明暗」

シンガポールは香港との間で「エア・トラベル・バブル(ATB)」を5/26より開始することで合意。出発時と到着時に新型コロナ検査で陰性であることや指定フライトを利用するという昨年の取り決めに、出発の14日以内に両国以外の旅行歴がないこと、および指定されたトラッキングアプリのダウンロードという追加条件が設けられた。シンガポール航空(SIA)への追い風が見込まれる。

一方で、タイは、4/26時点の新型コロナ累計感染者数が1ヵ月前から倍増の57,508人となり、バンコクで公園やマッサージ店が閉鎖され、商業施設やコンビニの営業時間が短縮されたほか、公共の場でのマスク着用が初めて義務付けられた。マレーシアでも4/28の新規感染者数が2ヵ月ぶりに3千人台に達し、イスラム教徒の断食月の夜市ラマダン・バザール開催を容認していることが懸念されている。

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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