【投資戦略ウィークリー 2020年11月24日号(2020年11月20日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
昭和電工(4004)
1,928 円(11/20終値)
・1939年に日本電気工業と昭和肥料が合併し発足。石油化学、化学品、エレクトロニクス、無機、アルミニウム、その他事業を営む。2020年4月に日立化成を子会社化。電炉黒鉛電極は国内首位。
・11/5発表の2020/12期9M(1‐9月)は、売上高が前年同期比8.6%減の6,359.77億円、営業利益が前年同期の1,093.13億円から▲154.10億円へ赤字転落。日立化成の連結子会社による増収要因があったが、鉄鋼業界の減産に伴う黒鉛電極事業の減収や石油化学製品市況低下等が響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比5.9%増の9,600億円、営業利益が前期の1,207.98億円から▲300億円へ赤字転落。日立化成の買収に伴う増収効果の一方、それに伴う費用や黒鉛電極の販売数量減等が利益面で響くと見込む。事業売却による財務改善、および電圧制御のためのパワー半導体の材料となる炭化ケイ素(SiC)エピウエハーの増産が来期以降の業績改善に貢献しよう。
宇部興産(4208)
1,822 円(11/20終値)
・1897年の採炭を発祥とし1942年に設立。ナイロン樹脂や合成ゴムなどの化学、セメントや石灰石などの建設資材、成形機などの機械などの事業セグメントを営み、それらに係る製造・販売を行う。
・10/30発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比16.4%減の2,800.13億円、営業利益が同79.6%減の34.10億円。化学セグメントを中心にコロナ禍の影響を受け、合成ゴム・電池材料など自動車関連製品の販売数量減、およびナイロンなどの販売価格下落が減収減益に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比11.4%減の5,920億円、営業利益が同36.8%減の215億円。航空機などの燃費改善の切り札と期待され、軽量かつ高強度で耐熱性に優れた炭化ケイ素(SiC)繊維を製造できるのは世界でも同社と日本カーボン(5302)しか存在しないなか、政府の「2050年までに温暖化ガス排出ゼロ」目標に向け同素材は航空機のほか自動車などへ用途拡大が見込まれる。
合同製鐵 (5410)
1,865 円(11/20終値)
・1937年設立の電炉メーカー。筆頭株主である日本製鉄(5401)のグループ企業であり、鉄鋼および農業資材を主な事業セグメントとする。電炉大手の共英製鋼(5440)と政策的株式持合いを行う。
・11/4発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比17.5%減の718.37億円、営業利益が同24.2%増の37.52億円。販売数量減および販売価格下落が減収に響いた一方、変動費低減や固定費圧縮のほか原料価格高騰の原価への反映が一部下期に持ち越されたことから増益となった。
・通期会社計画は、売上高が前期比17.3%減の1,390億円、営業利益が同50.7%減の45億円。「2050年までに温暖化ガス排出ゼロ」目標に向けて排出量で国内産業界の5割弱を占める鉄鋼業界が対応を迫られるなか、高炉を中心とした大手製鉄会社は鉄リサイクルでCO2排出量を減らせる電炉の比率を高めることが必要になると考えられる。日本製鉄グループ再編の鍵となり得よう。
ローム(6963)
8,750 円(11/20終値)
・1954年に京都で炭素被膜固定抵抗器の開発・販売で創業。大規模集積回路(LSI)、半導体素子、モジュール、およびその他(抵抗器など)の事業セグメントを展開する。カスタムLSIで国内首位。
・10/29発表の2021/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比11.0%減の1,680.49億円、営業利益が同28.6%減の126.87億円。自動車関連や産業機器関連市場への製品ラインアップ強化や海外市場での販売体制強化に努めたが、自動車関連市場向けの販売減が全体の減収減益に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比6.3%減の3,400億円、営業利益が同22.0%減の230億円。自動車向け半導体の低迷が響く模様。同社は、自動運転に向け成長が見込まれる車載市場に対し、電圧制御を行うパワー半導体の生産を増強中。材料となる炭化ケイ素(SiC)ウエハーの安定供給が世界的に課題となるなか、独SiCウエハー材料メーカーを傘下に擁する同社には優位性があろう。
バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス(BDMS)
市場:タイ 22.60 THB(11/19終値)
・1969年に設立。タイ最大の民間病院運営会社であり、同業では時価総額で世界トップ5に入る。留学経験のある質の高い医師や看護師を揃え、国内外の患者に最先端の医療サービスを提供。
・11/11発表の2020/12期3Q(7-9月)は、総営業収益が前年同期比22%減の169.76億THB、EBITDAが同18%減の41.49億THB、一時的要因を除くコア純利益が同38%減の17.87億THB。タイの都市封鎖解除により国内患者は増加したものの渡航制限に伴う外国人患者の減少が業績に響いた。
・医療目的の外国人訪問客はPCR検査と14日間の入院隔離が必要とされるなか、タイ政府はコロナ禍に係る年末年始休暇対策として来年1/15まで非常事態宣言の延長を決定。厳しい環境下、11/9の米ファイザーと独ビオンテック、および11/16の米モデルナによる新型コロナワクチンの良好な治験結果発表を受け、来年以降の外国人患者数増に伴う業績回復への期待が高まると見込まれる。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。