【投資戦略ウィークリー 2020年9月23日号(2020年9月18日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
東ソー(4042)
1,772 円(9/18終値)
・1935年設立。エチレンなどを取扱う石油化学事業、苛性ソーダや塩化ビニルを手掛けるクロル・アルカリ事業、電子材料などの機能商品事業、およびエンジニアリング事業を主な事業内容とする。
・8/3発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比18.8%減の1,565.29億円、営業利益が前年同期の161.12億円から▲9.43億円へ赤字転落。新型コロナウイルス流行に伴う世界的な需要収縮が減収に影響したほか、定期修理による生産量減少と固定費率の上昇が利益面で響いた。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定できないため2021/3通期会社計画を未定としたが、1H(4-9月)会社計画では営業利益が同72.8%減の110億円。石油化学事業やクロル・アルカリ事業の1Hは営業赤字見通しだが、中国の8月鉱工業生産において苛性ソーダの生産の伸び加速が示された。低PBRおよび中国景気回復の恩恵を受けやすい企業として注目されよう。
楽天(4755)
1,181 円(9/18終値)
・1997年設立。「楽天市場」など各種ECサイトの「インターネットサービス」、インターネットを介した各種金融サービスの「フィンテック」、通信サービス関連の「モバイル」の3事業セグメントを運営する。
・8/11発表の2020/12期1H(1-6月)は、売上収益が前年同期比15.7%減の6,787.68億円、営業利益が前年同期の1,118.95億円から▲207.21億円へ赤字転落。セグメント損益は、フィンテックが増益だったが、インターネットサービスが▲89億円へ赤字転落、モバイルが▲824億円へ赤字拡大。
・通期会社計画は、証券サービスを除く売上収益が前期比2桁増。菅政権の下で料金引下げが注目される携帯キャリア事業は、新料金プランの通信料金を1年間無料とした。楽天モバイルは9/16、次世代5G通信に係る独自の基地局整備手法を確立するためスペイン通信大手テレフォニカと覚書を締結。同社のモバイル事業戦略の狙いが基地局整備の海外シェア獲得にあると考えられよう。
アシックス(7936)
1,432 円(9/18終値)
・1949年設立。「アシックス」と「オニツカタイガー」ブランドでスポーツシューズ類などの製造販売を行う。日本、北米、欧州、中華圏、オセアニア、東南・南アジア、その他の地域セグメントを有する。
・8/13発表の2020/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比21.5%減の1,468.97億円、営業利益が前年同期の85.89億円から▲38.73億円へ赤字転落。中国の全直営店舗が4月より営業を再開したが、コロナ禍の影響に伴う各種競技大会中止や規模縮小、個人消費冷え込みが業績に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比20.6%減の3,000億円、営業利益が前期の106.34億円から▲140億円へ赤字転落、年間普通配当が前期と同じ24.00円。1Hの全世界でのEコマース売上が前年同期比2.0倍に拡大。また、新型コロナワクチンの開発が世界的に進展するなか、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長が来夏オリンピック開催の強い意向を表明したと伝えられた。
ふくおかフィナンシャルグループ(8354)
1,943 円(9/18終値)
・2007年に福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現在は熊本銀行に改称)の統合により設立後、同年に親和銀行(長崎県)を経営統合。更に、2019年に十八銀行(長崎県)を経営統合した。
・8/7発表の2021/3期1Q(4-6月)は、経常収益が前年同期比2.6%減の667.01億円、経常利益が同15.2%減の139.80億円、純利益が同92.0%減の103.19億円。前年同期に十八銀行との統合に係る「負ののれん」益を計上した反動減が出た。傘下の4行単体合算の純利益は同1%減(142億円)。
・通期会社計画は、経常利益が前期の▲52.50億円から560億円へ黒字転換、年間配当は前期と同じ85.00円。前期の赤字はコロナ禍の影響を予防的に織り込んだために貸倒引当金繰入額が嵩んだ一時的要因による。東京商工リサーチによれば同行グループの取引社数は3メガバンク含む大手銀行4グループに次ぐ5位で地銀首位。また、同社株は日経平均高配当50指数の構成銘柄。
テレコムニカシ・インドネシア(TLKM)
市場:インドネシア 2,820 IDR(9/17終値)
・1965年設立の国営の情報通信会社。主要子会社のテルコムセルは、モバイル、固定回線、大規模通信・国際通信、ネットワーク・インフラ、法人および個人向けデジタルサービス事業を営む。
・8/7発表の2020/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比3.6%減の66.85兆IDR、EBITDAが同8.9%増の36.07兆IDR、純利益が同0.8%減の10.98兆IDR。一時的要因の影響を除く調整後純利益は同4.4%増の11.60兆IDR。データ・インターネット・ITサービス事業およびIndiHome事業が伸びた。
・家庭の電話やデータ通信をパッケージ化したブロードバンド・デジタル通信サービスプロバイダーのIndiHomeは、コロナ禍に伴うステイホーム効果が登録加入者数の増加に貢献。更に、国内大学と提携して学習アプリの利用や50GBの追加容量の提供を伴う「在宅学習パッケージ」サービスを開始。また、高グレードの大規模データセンター稼働を通じてデジタル・プラットフォームを強化中。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。