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【投資戦略ウィークリー 2020年9月14日号(2020年9月11日)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

日本製鉄5401)            

1,159.5 円(9/11終値)

・1950年設立の鉄鋼メーカー。1970年の八幡製鉄と富士製鉄の合併による新日本製鉄の発足、2012年の住友金属工業との合併に伴う新日鉄住金の発足の後、2019年に現在の社名に変更。

・8/4発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上収益が前年同期比25.7%減の1兆1,316億円、事業利益が前年同期の606.00億円から▲275.10億円へ、純利益が前年同期の333.25億円から▲420.71億円へ赤字転落。新型コロナウイルスの影響による自動車向け鋼材などの販売急減が響いた。

・2021/3通期会社計画は、持続的な事業活動の成果を表す事業利益について上期(4-9月)が▲1,500億円に対し、下期(2020/10-2021/3)は粗鋼増産により300億円の黒字化を見込む。今年2/7に決定した生産設備構造対策を優先するため無配となる見通し。高炉基数の4基減および粗鋼生産能力規模の年500万トン減などによる年1,000億円の会社増益目標の達成前倒しが期待される。

 

日本電気(6701)  

5,660  円(9/11終値)

・1899年創業。パブリック、エンタープライズ、ネットワークサービス、システムプラットフォーム、グローバルの5事業を通じ、システム・インテグレーションやアウトソーシング・クラウドサービスを営む。

・7/31発表の2021/3期1Q(4‐6月)は、売上収益が前年同期比10.1%減の5,877.29億円、営業利益が前年同期の33.82億円から▲102.74億円へ赤字転落。販管費は同3.3%減と改善したものの、大型案件の減少およびビジネスPCの更新需要が一巡したことが響き、減収および営業赤字となった。

・通期会社計画は、売上収益が前期比2.1%減の3兆300億円、営業利益が同17.5%増の1,500億円。6/3発表の楽天モバイルとの5Gコアネットワークの共同開発、および6/25発表の5G技術共同開発に係るNTT9432との資本業務提携など5G領域の取組みを強化。米国による中国通信大手ファーウェイへの規制実施を9/15に控え、海外5G通信基地局での同社シェア拡大が見込まれよう。

 

AOKIホールディングス(8214  

596 円(9/11終値)

・1958年に個人事業で創業後、1976年に設立。主に郊外ロードサイド店舗で紳士服・服飾品の販売を営むほか、複合カフェ「快活CLUB」やカラオケルーム運営、ブライダル事業などを手掛ける。

・8/7発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比39.5%減の262.04億円、営業利益が前年同期の2.28億円から▲75.66億円へ赤字転落。新型コロナウイルス感染拡大および政府による4/7-5/25までの緊急事態宣言に伴う店舗休業・営業時間短縮や外出自粛が業績に影響した。

・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定できないため2021/3通期会社計画を未定とした。祖業のファッション事業に係る店舗数を減らす一方、複合カフェ「快活CLUB」やカラオケ店「コート・ダジュール」など娯楽事業の店舗数を拡大。娯楽事業はファッション事業よりも利益率が高いため、業態転換の進捗によりコロナ禍からの業績回復ペースが速まることが見込まれる。

 

アイネス(9742

1,515 9/11終値

・1964年設立。情報システムやネットワークの企画・開発から稼働後の運用・保守・メンテナンスまで一貫したサービスを提供。自治体向けウェブ型総合行政システム「WebRings」を中核製品とする。

・7/31発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比3.8%増の92.47億円、営業利益が同38.8%減の3.71億円。公共分野における高い売上水準の維持およびグループ会社が増収に寄与したものの、民間顧客におけるシステム開発プロジェクトの中断・遅延が響き営業減益となった。

・通期会社計画は、売上高が前期比0.7%減の420億円、営業利益が同3.6%減の28億円。WebRingsが人口が70万人程度までの地方自治体に幅広く採用されていること、および官公庁向けコンサルティングに強い三菱総合研究所3636と同社が資本業務提携関係にあることから、同社システムは菅官房長官が提唱する「デジタル庁」構想で重要な位置を占めるものと期待されよう。

 

ゲンティン・シンガポールGEN  

市場:シンガポール  0.68 SGD9/10終値)

・1984年設立。マレーシアの複合企業であるゲンティンGENTの子会社。セントーサ島のトロピカルリゾート「リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)」は東南アジアで最大クラスの統合リゾート(IR)。

・8/6発表の2020/12期1H(1-6月)は、コロナ禍の影響により売上高が前年同期比64.9%減の4.48億USD、営業利益が前年同期の4.73億SGDから▲1.16億SGDへ赤字転落。支出削減により調整後EBITDAは同89.3%減(6,665万SGD)と黒字確保、6月末の現金残高は同横ばいの36.33億SGD。

・政府が指定した事業のサービス停止を伴う「サーキットブレーカー」が解除された7/1以降、「ゲンティン・リワード」の特典付き会員やその他の会員限定でカジノを再開したほか、ユニバーサルスタジオ・シンガポールやS.E.A水族館の営業を再開。また、日本の横浜市によるIR(統合リゾート)誘致に対し「事業構想公募」(RFC)へ応募。現在は横浜市からの「提案依頼書」(RFP)の到着待ちだ。

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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