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【投資戦略ウィークリー 2020年9月7日号(2020年9月4日)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

住友林業1911

1,660  円(9/4終値)

・1948年設立。木を中心に川上から川下まで事業を展開。山林事業では日本国土の約900分の1を占める山林を保有。木材・建材流通事業と木造注文住宅事業はそれぞれ国内首位の売上高。

・8/12発表の2020/12期1Q(4‐6月、当期より決算期を変更)は、売上高が前年同期比4.5%増の2,455.83億円、営業利益が同2.1倍の92.75億円。国内はコロナ禍の影響でリフォームや不動産仲介が苦戦したものの、住宅ローン金利の低下を背景に米国で5月以降に戸建て販売が急回復。

・通期(変則:4-12月)会社計画は、売上高が7,770億円、営業利益が225億円。同社の1Q売上高のうち41%が海外住宅・不動産セグメントであり、米国でテレワークの定着に伴う郊外の比較的広い物件への移住ニーズの高まりが追い風となっている。また、同社の山林事業は森林の酸素供給がCO2削減に貢献していること、および木材価格の国際相場が高騰している点からも注目されよう。

 

ユー・エス・エス(4732) 

 1,776  円(9/4終値)

・セイシン産業と旧ユー・エス・エスが1997年に合併して設立。オート(自動車)オークションを中心に中古自動車等買取販売などを営む。オートオークション市場の同社シェアは39%(2019年)。

・8/3発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比19.2%減の160.56億円、営業利益が同26.7%減の67.34億円。コロナ禍の影響を受けて中古車登録台数および中古車輸出台数が減少したことに伴ってオートオークション市場における出品台数・成約台数が減少したことが響いた。

・通期会社計画は、売上高が前期比13.9%減の673億円、営業利益が同24.5%減の272億円。移動の「密」を避けようと電車から車の通勤に変える動きが見られるなか、6月単月の中古車登録台数(軽自動車含む)が前年同月比4.8%増となったほか、同社の7月の平均成約価格が前年同月比18.6%上昇。輸出向け需要でも都市封鎖が緩和された海外地域への輸出が上向きつつある。

 

日本農薬(4997 

 503  円(9/4終値)

・1928年にADEKA4401の農薬薬品部と藤井製薬が合併して設立。殺虫剤・殺菌剤・除草剤など農薬の製造・販売のほか、農薬以外の化学品事業、その他事業(造園緑化工事など)を営む。

・8/11発表の2021/3期1Q(4-6月)は、売上高が140.63億円(前年同期:116.83億円)、営業利益が12.50億円(同:▲1.92億円)。主力前期の決算期に伴い前年同期比は記載せず。主力の農薬事業は、国内のほか海外でも北米・インド・欧州が堅調だったが、世界最大のブラジル市場では苦戦。

・通期会社計画は、売上高が653億円(前期:356.74億円)、営業利益が30億円(同:40.05億円)。前期が6ヵ月の変則決算のため前期比を記載せず。世界各地でバッタや蛾が大量発生し農作物に被害が発生。アフリカや南西アジアで4,200万人が食料危機に直面している模様と伝えられている。コロナ禍に伴う移動制限で殺虫剤の供給が遅れるなか、同社製品への需要が高まろう。

 

丸紅(8002                                

645.9 9/4終値

 

・1858年に初代伊藤忠兵衛が創業、1949年に設立。アグリ事業、食料、エネルギー、化学品、金属、建機・自動車・産機など広範な分野で輸出入・国内取引、内外事業投資などの事業を展開。

・8/4発表の2021/3期1Q(4-6月)は、収益が前年同期比16.8%減の1兆5,875億円、営業利益が同6.2%減の519.46億円。収益は、セグメント別収益構成比が高いアグリ事業と食料の減収が響いた。売上総利益は、食料が増益だったが、建機・自動車・産機、金属、航空・船舶の減益が響いた。

・通期会社計画は、当期利益が1,000億円(前期実績:▲1,901.91億円)へ黒字回復。1株当たり年間配当が15円(同:35円)。今年の世界的なバッタや蛾の大量発生による食糧危機の懸念は地球温暖化に伴う異常気象が一因とされ、穀物相場の変動性が中長期的に高まることが想定される。総合商社の中で収益に占めるアグリ事業と食料の比率が相対的に高い同社への追い風となろう。

 

ウイルマー・インターナショナルWIL  

市場:シンガポール   45 SGD9/3終値)

・1991年設立のアジアを代表する農業ビジネスグループであり、消費者向け食用油の生産では世界最大規模。栽培から加工、製品化まで農業ビジネスのバリューチェーン全体を網羅している。

・8/11発表の2020/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比12.0%増の226.57億USD、純利益が同49.8%増の2.24億USD。ホテル・レストラン・ケータリング事業はコロナ禍に伴う都市封鎖による需要減の影響を受けたが、巣篭もり消費拡大および消費者の高付加価値志向の高まりが業績に寄与。

・同社は食料および非食料の両方で「生活に必要不可欠な生産者」として事業を継続できたことからコロナ禍の影響が軽微だったほか、中国経済の順調な回復、パーム(ヤシの実)などのプランテーション部門でも粗パーム油相場が堅調に推移しているなど同社への追い風が重なっている。また、中国子会社が深セン証券取引所のチャイネクスト(創業板)への上場を控えている点も要注目。

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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