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【投資戦略ウィークリー 2020年7月20・27日合併号(2020年7月17日)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

日本たばこ産業2914

1,948.5 円(7/17終値)

・1985年に設立。前身は日本専売公社。主力の国内たばこ・海外たばこ事業のほか、医薬事業・加工食品事業などへの多角化を積極展開。独自の低温加熱式タバコ「プルーム・テック」に注力。

・4/30発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上収益が前年同期比2.8%減の5,196.20億円、営業利益が同29.4%減の1,289.53億円。ただし、為替一定調整後営業利益では同14.0%増と堅調に推移。たばこトータル・医薬・加工食品とも好調だったが、特に海外たばこの価格効果が顕著に現れた。

・2020/12通期会社計画は売上収益が前期比0.2%増の2兆1,800億円、営業利益が同6.2%減の4,710億円、為替一定調整後営業利益が同横ばいの5,160億円。たばこ・医薬・加工食品ともに事業継続に支障はなくコロナ禍の影響は軽微にとどまる見通し。会社年間配当予想の1株当たり154.00円(予想配当性向89.6%)が維持されれば高配当利回りのバリュー投資として妙味があろう。

 

広栄化学工業(4367)

3,040 円(7/17終値)

・1917年設立の含窒素化合物メーカーで住友化学4005の子会社。医農薬関連化学品を製造・販売するファイン製品事業、および多価アルコール類などを製造・販売する化成品事業を営む。

・5/14発表の2020/3通期は、売上高が前期比1.2%増の185.28億円、営業利益が同58.6%増の18.54億円。ファイン製品における医農薬中間体需要が堅調に推移したことが増収に寄与したほか、利益面では売価是正、原料コスト低下、その他操業コストの削減が奏功して増益となった。

・2021/3通期会社計画は売上高が前期比5.2%増の195億円、営業利益が同19.1%減の15億円。米ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス治療薬レムデシビルの骨格を形成する原材料生産を同社が手掛ける中、7/10に同薬の良好な治験結果が公表された。また、親子上場解消や不透明な環境下で利益を企業グループ外に流出させたくない親会社の事情からTOBの期待も高まろう。

 

パラマウントベッドホールディングス(7817    

4,490 円(7/17終値)

・1950年に前身の木村寝台工業を設立。医療福祉用ベッド、マットレス、病室用家具、医療用器具備品の製造・販売、メンテナンス、レンタルを行う。医療・介護用ベッドで国内シェア7割を占める。

・5/13発表の2020/3通期は、売上高が前期比2.9%増の823.79億円、営業利益が同6.4%減の99.06億円。レンタル卸事業が同9.9%増収だったことが全体の増収に寄与したが、新型コロナウイルス感染症の影響による納入遅延、および人件費・運送費などの増加が響き営業減益となった。

・コロナ禍の影響が不透明であることから2021/3期の会社計画を未定とした。7/15、米国の新型コロナウイルス感染者数が約350万人に達し新規感染者数が6万6千人を超えるなか、病床が不足する懸念が高まっている。また、東京都でも入院患者数が7/16に760人に達し、レベル1上限の1,000床が近づいてきた。医療機関に対する病床確保の要請の高まりは同社の業績への追い風となろう。

 

平和不動産リート投資法人(8966         

104,500 7/17終値

平和不動産8803をスポンサーとする総合型REIT。東京都区部の住居とオフィスを主要な投資対象としており、住居が約56%、残りがオフィスというポートフォリオ。継続的な物件入替えに特徴。

・7/15発表の2020/5期(2019/12-2020/5)は、営業収益が前期(2019/12期)比4.1%増の65.88億円、営業利益が同8.1%増の32.06億円、1口当たり分配金が同2.0%増の2,550円。オフィスビルの賃料増額、季節的要因による住居の賃貸収益の増加、物件売却益の増加が増収増益に寄与。

・2020/11期(6-11月)の会社計画は、営業収益が前期比7.8%増の70.98億円、営業利益が同15.6%増の37.06億円、1口当たり分配金が同3.9%増の2,650円。2021/5期(2020/12-2021/5)の1口当たり分配金に係る会社計画は2,650円。収益の安定性が高い住居系のJ-REITへ注目度が高まるなか、同銘柄は7/16終値では、予想分配金年利回りが5.24%、NAV(純資産)倍率が0.81倍である。

 

シンガポール取引所(SGX

市場:シンガポール  8.29 SGD7/16終値

・1999年設立の証券取引所および清算機関。中国、日本、インドの株価指数のデリバティブ取引に係る流動性の高いオフショア市場を提供する。コモディティや通貨のデリバティブ取引も取り扱う。

・4/24発表の2020/6期3Q(1-3月)は営業収益が前年同期比29.3%増の2.95億SGD、営業利益が同37.8%増の1.62億SGD。新型コロナウイルス感染拡大を受けた金融市場の不確実性の高まりに伴う資産価格やポジション価値の変動性拡大がリスクヘッジ取引や投資機会の拡大に繋がった。

・5/27に米MSCIが指数に係るデリバティブ商品のライセンスをSGXから香港取引所(388 HK)に移すと発表。ライセンスの有効期間は2021年2月までの予定。3Qの株式デリバティブ取引枚数(6,400万枚)に対し、MSCI関連は取引が活発な台湾先物を中心に合計で約19%を占める。その一方、6/2にMSCIとの間で自国の株価指数や個別株の先物に係る新たなライセンス契約を締結した。

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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