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【投資戦略ウィークリー 2020年7月13日号(2020年7月10日作成)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

 

戸田建設1860)     

681 円(7/10終値)

・1881年創業。国内建築事業、国内土木事業、投資開発事業、新領域事業(浮体式洋上風力発電事業を含む)、および海外事業を主な事業とし、その他各事業に関連するPFI事業などを展開。

・5/29発表の2020/3通期は、売上高が前期比1.6%増の5,186.83億円、営業利益が同2.1%増の352.43億円。建設受注高が同17.5%減、土木受注高が同3.6%減となったが、投資開発事業について売上高が同34.1%増、セグメント営業利益が同2.1倍となったことが増収増益に貢献した。

・2021/3通期会社計画は、売上高が前期比5.6%減の4,450億円、営業利益が同26.3%減の240億円。政府は国際的に批判の強い石炭火力発電の休廃止を進める上で再生可能エネルギーを優先活用するルール作りに着手。洋上風力発電が有望視されるなか、同社は長崎県五島沖で浮体式洋上風力発電施設を設置。同社の技術により洋上風力発電設置工事の効率化が見込まれよう。

日東電工(6988)      

5,850 円(7/10終値)

・1918年に設立。基盤機能材料などを扱うインダストリアルテープ、情報機能材料などを扱うオプトロニクス、医療関連材料のライフサイエンス、高分子分離膜などを手掛けるその他の4部門を営む。

・4/27発表の2020/3通期は、売上収益が前期比8.1%減の7,410.18億円、営業利益が同24.8%減の697.33億円。自動車市場の生産台数減少、および新型コロナウイルス感染拡大に伴う稼働停止などが響き4事業部門とも減収。更に、4事業部門とも営業減益または営業赤字拡大となった。

・コロナ禍の影響が不透明であることから2021/3通期の会社計画を未定としたが、1H(4-9月)について売上収益を前年同期比7.5%減の3,500億円、営業利益を同14.8%減の350億円とした。同社はマレーシアから水を輸入してきたシンガポールで下水を飲み水に再生する逆浸透(RO)膜の約7割を供給している。今後はインドや南米でも排水浄化に係る環境・エネルギー分野を拡げる方針。

 

三菱食品(7451 

2,707 円(7/10終値)

・1925年設立の北洋商会を前身とし、2011年に三菱系の食品卸である菱食など4社が経営統合して誕生。日本国内の加工食品、低温食品、酒類および菓子類の卸売事業を主な事業内容とする。

・5/11発表の2020/3通期は、売上高が前期比1.3%増の2兆6,546億円、営業利益が同8.1%減の153.78億円。ドラッグストアやディスカウントストアとの取引拡大や新型コロナウイルス感染に伴う買いだめ需要増が増収に寄与したが、小売業の競争激化や物流コスト増などが響き減益となった。

・2021/3通期の会社計画は、売上高が前期比2.1%減の2兆6,000億円、営業利益が同6.4%減の144億円。7/8、伊藤忠商事8001がTOB(株式公開買付)の実施によりファミリーマート8028を完全子会社化すると発表。コンビニを軸とした事業再編および親子上場解消の狙いが推察される。三菱商事8058グループも同様に小売や食品卸に係る事業再編と親子上場解消期待が高まろう。

 

イオンフィナンシャルサービス(8570

889 7/10終値

・1981年にジャスコ(現イオン8267))の子会社として設立。イオングループの金融サービス事業を行う。国内リテール、国内ソリューション、中華圏、メコン圏、マレー圏のセグメントから構成される。

・7/8発表の2021/2期1Q(3-5月)は、営業収益が1,099.59億円、営業利益が▲8.63億円、純利益が▲10.08億円。前期1Q(4-6月)と期間が異なるため前年同期比増減率は非開示。新型コロナウイルス感染の世界的拡大による減収のほか、貸倒引当金繰入額の増加が響き営業赤字となった。

・通期会社計画は、営業収益が4,600億円、営業利益が100-200億円、当期利益が50-100億円。決算期変更により前期比増減率は非開示。会社年間1株当たり配当予想を前期の68.00円から23.00円へ引き下げるなど厳しい業績となることを想定しているが、金融サービス事業の企業グループにおける重要性を考慮すれば、親子上場の解消を伴うグループ事業再編の可能性も考えられよう。

 

テレコムニカシ・インドネシア(TLKM

市場:インドネシア     3,110 IDR7/9終値

・1965年設立の国営の情報通信会社。主要子会社のテルコムセルは、モバイル、固定回線、大規模通信・国際通信、ネットワーク・インフラ、法人および個人向けデジタルサービス事業を営む。

・5/25発表の2019/12通期は、売上高が前年同期比3.7%増の135.56兆IDR、EBITDAが同9.5%増の64.83兆IDR、当期利益が同3.5%増の18.66兆IDR。家庭での電話やデータ通信をパッケージ化したブロードバンド・デジタル通信サービス(IndiHome)への登録加入者数増加が増収増益に寄与。

・テレワーク普及の恩恵を受け、テルコムセルが提供するビデオ会議プラットフォーム「クラウドX」(昨年12月にサービスを開始)の利用が急増。それに加え、IndiHome事業、およびテルコムセル主導下で国営企業4行と石油最大手プルタミナが連合する電子財布・デジタルトランザクションのツール「リンク・アジャ」も普及が進むなど、同国のデジタル化進展の恩恵を享受すると期待されよう。

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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