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【投資戦略ウィークリー 2020年6月15日号(2020年6月12日作成)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

飯田グループホールディングス(3291

1,718 円(6/12終値)

・2013/10に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの上場住宅会社6社が経営統合し共同持株会社として発足。戸建て分譲住宅で全国シェア約3割を占める。

・5/15発表の2020/3通期は、売上収益が前期比4.2%増の1兆4,020億円、営業利益が同14.0%減の835.13億円。営業拠点の効率的な展開を通じた供給エリアの拡充や住宅関連事業の内製化などが奏功し増収だったが、新たな収益源確保に向けた基盤整備に伴う費用増もあり減益となった。

・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定ができないため2021/3通期会社計画を未定とした。都心のマンション価格の高止まりが続くなか、コロナ禍によってテレワークが普及し家族と過ごす時間が増えた半面、仕事用のスペースを確保する必要もあり、相対的に販売価格が安い郊外の戸建て住宅の需要が回復し始めている。市場シェア首位の同社への追い風となろう。

 

レンゴー(3941)      

868 円(6/12終値)

・1909年に井上貞治郎が日本で初めて段ボール事業を開始し創業。板紙や段ボールを扱う板紙・紙加工関連事業のほか軟包装関連事業、重包装関連事業、海外関連事業、その他事業を営む。

・5/13発表の2020/3通期は、売上高が前期比4.7%増の6,837.80億円、営業利益が同63.0%増の412.27億円。段ボールの通販・宅配向け需要、紙器や軟包装の食品や日用品向けの需要が堅調に推移したこと、および製品価格の改定や原料価格の低下などにより、増収増益となった。

・2021/3通期の会社計画は、売上高が前期比3.3%増の3,490億円、営業利益が同5.8%増の200億円。同社は学校の教室などで使える段ボール製の仕切りを開発・作製。三つ折りにして立てて使い、相手の顔が見えるように正面と左右に大きな穴を開け、透明なフィルムを貼る。学校やオフィスで「3密」を軽減するなど、「新しい生活様式」にフィットした段ボールの需要拡大が期待されよう。

 

電通国際情報サービス(4812        

4,835 円(6/12終値)

・1975年に電通と米GEの合弁により設立。情報サービス事業として、親会社の電通グループ4324向けにだけでなく、金融機関や製造業向けにソリューションを含むITサービスを提供する。

・4/28発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比14.5%増の263.66億円、営業利益が同28.8%増の32.94億円。企業や公共機関のIT投資需要が底堅く推移した結果、金融ソリューション、ビジネスソリューション、製造ソリューション、および電通グループ向けともに増収となった。

・通期の会社計画は、売上高が前期比4.3%増の1,050億円、営業利益が同4.2%増の105億円。同社は電通グループ向け事業(コミュニケーションIT)が1Qの売上構成比22%を占める。国の持続化給付金に係るサービスデザイン推進協議会から電通への再委託に関し、電通から同社へ業務委託されている案件があることから、上場子会社の独立性の観点で企業統治の改善余地があろう。

 

SBIホールディングス(8473          

2,224 6/12終値

・1999年設立。金融サービス事業のほか、アセットマネジメント事業、バイオ関連事業を展開する。SBI証券や住信SBIネット銀行などのネット金融を中心とした金融コングロマリットを形成する。

・4/28発表の2020/3通期は、収益が前期比4.7%増の3,680.55億円、税引前利益が同20.7%減の658.37億円。事業セグメント別の税引前利益では、事業の選択と集中によりバイオ関連事業の赤字幅が77.48億円縮小したが、株式市場の悪化に伴いアセットマネジメント事業が減益となった。

・同社が展開する金融事業全般の特性上、株式市場等の変動要因による影響が大きいため会社業績予想を非開示としている。同社は6/8、新設する「地方創生パートナーズ」について日本政策投資銀行や新生銀行8303山口フィナンシャルグループ8418が資本参加すると発表。地域銀行による地域商社事業への参入が相次ぐ中、主導権争いで優位に立てるかどうかが注目されよう。

 

セントラル・リテール(CRC

市場:タイ    35.50 THB6/11終値

・小売りやホテル事業を展開する財閥セントラルグループの小売り統括会社。2/20にタイ証券取引所に上場。百貨店の「セントラル」や「ロビンソン」、スーパーの「トップスマーケット」などを運営する。

・5/14発表の2020/12期1Q(1-3月)は、総収益が前年同期比1.1%増の542.85億USD、純利益が同61.4%減の7.43億THB。ベトナム家電大手「グエンキム」の買収や食品への需要増のほかファッションや非食品のオンライン売上が増収に寄与したが、低粗利率商品の比率上昇が響き減益だった。

・同社はコロナ禍後の「新常態」時代における消費者の新しい生活様式に対応するためのオムニ・チャネルのサービス開発に重点を置くほか、タイ国内のワッサドゥ、ロビンソン・ライフスタイルセンター、トップマーケットの新規店舗数を拡大する方針。CPグループが英スーパーのテスコの東南アジア事業を買収するなど競争激化が予想されるなか、買収戦略の推進が今後の成長の鍵を握ろう。

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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