【投資戦略ウィークリー 2020年6月8日号(2020年6月5日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
UACJ(5741)
2,052 円(6/5終値)
・2013年に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合して発足。古河電気工業(5801)が持株比率24.9%の筆頭株主。アルミ圧延品生産能力は国内首位、世界でも米アルコアとノベリスに次ぎ3位。
・5/19発表の2020/3通期は、売上高が前期比7.0%減の6,151.50億円、営業利益が同31.9%減の101.26億円、当期利益が同82.6%増の20.38億円。アルミ地金価格下落などが響き減収となり、棚卸評価関係の悪化により営業減益だったが、繰延税金資産の計上により当期利益は増益だった。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定ができないため2021/3通期会社計画を未定とした。2018年度~2020年度の中期経営計画に基づく構造改革の実行を進めており、10/1付でコイルセンター3子会社を統合すると発表。脱プラスチックの流れからリサイクル容易なアルミ缶の見直し機運が世界的に強まり始めていることも含め、株価の低PBR見直しが期待されよう。
三菱重工業(7011)
2,951.5 円(6/5終値)
・1884年に岩崎弥太郎が長崎造船所を開業して創立。発電システムなどの「パワー」、船舶などの「インダストリー&社会基盤」、航空機などの「航空・防衛・宇宙」を主力の3事業セグメントとする。
・5/11発表の2020/3通期は、売上収益が前期比0.9%減の4兆413億円、事業利益が前期の2,005.70億円から▲295.38億円へ赤字転落。受注高は同8.2%増の4兆1,686億円と堅調だったが、利益面では子会社の三菱航空機が手掛けるSpaceJet関連資産の減損損失計上が響いた。
・2021/3通期の会社計画は、売上高が前期比6.0%減の3兆8,000億円、事業利益が前期の▲295.38億円からゼロへの回復。新型コロナウイルスの影響とSpaceJet事業の追加費用を合計2,600億円見込むなど逆風の環境が続くなか、国産ロケット次世代機「H3」の開発ではコストを下げて幅広い需要を取り込むことを狙う。国策である「宇宙産業ビジョン2030」の先導役として期待されよう。
日本航空(9201)
2,377.0 円(6/5終値)
・1951年設立。公的資金投入とリストラにより2011年に会社更生手続を終結。航空運送事業、および旅行の企画販売、手荷物宅配、予約発券システムなどを手掛けるその他事業を展開する。
・4/30発表の2020/3通期は、売上高が前期比5.1%減の1兆4,112億円、営業利益が同42.9%減の1,006.32億円。2020/1以降の新型コロナウイルス感染拡大による全世界的な渡航制限などの強力な措置、および日本の緊急事態宣言による国内移動の自粛に伴う航空需要の減少が響いた。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定ができないため2021/3通期会社計画の開示を見送った。6/4現在、政府がビジネス目的での出入国の緩和策を検討中と伝えられたほか、日本の緊急事態宣言解除に基づく全国の移動解禁が6/19から認められる予定。訪日中国人リピーターの間で新型コロナウイルス終息後に日本を訪問したいニーズが根強いことも注目される。
日本電信電話(9432)
2,511.0 円(6/5終値)
・1952年に政府全額出資により日本電信電話公社が発足し、1985年に民営化された。NTTドコモ(9437)およびNTTデータ(9613)は、それぞれ持株比率が64.0%、54.1%の親子上場関係である。
・5/15発表の2020/3通期は、営業収益が前期比0.2%増の11兆8,994億円、営業利益が同7.8%減の1兆5,621億円。様々なデジタルサービスの利用が進む恩恵により増収だったが、NTTドコモで割安料金プランが広がったことやNTTデータで大きな不採算案件が発生したことが響き減益だった。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響を現時点で合理的に算定できないため2021/3通期会社計画の開示を見送った。同社は2020/3にトヨタ自動車(7203)やゼンリン(9474)と資本業務提携に合意。AIとビッグデータを活用し、自動運転やキャッシュレス、遠隔医療など生活全般をスマート化した都市構築を目指す「スーパーシティ法案」が国会で可決されたことは同社への追い風となろう。
ウイルマー・インターナショナル(WIL)
市場:シンガポール 4.09 SGD(6/4終値)
・1991年設立のアジアを代表する農業ビジネスグループであり、消費者向け食用油の生産では世界最大規模。栽培から加工、製品化まで農業ビジネスのバリューチェーン全体を網羅している。
・5/11発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比4.6%増の109.20億USD、純利益が同12.7%減の2.24億USD。ただし、非継続事業や生物資産に係る公正価値変動額などを除くコア純利益は同22.5%増。中国における消費者向け製品や下流工程のトロピカルオイルが堅調に推移。
・同社は食料および非食料の両方で「生活に必要不可欠な生産者」として事業を継続できたことから新型コロナウイルス流行の影響は軽微だった。今後、経済活動再開に伴い世界的に都市封鎖措置が解除されれば、1Qで不振だったホテル・レストラン・ケータリング事業が2Qに底打ちし改善に向かうと見込まれる。また、中国おける豚の飼育数増加に伴い飼料事業が回復することも期待される。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。