【投資戦略ウィークリー 2020年5月25日号(2020年5月22日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
トーモク(3946)
1,713 円(5/22終値)
・1949年に設立の総合包装メーカー。段ボールシートや段ボールケースなどを取り扱う段ボール事業、スウェーデンハウス社に住宅部材を販売する住宅事業、および運輸倉庫事業を展開する。
・5/8発表の2020/3通期は、売上高が前期比2.9%増の1,765.83億円、営業利益が同32.8%増の69.11億円。段ボールの製品価格改定に努めるなか、新型コロナウイルス感染拡大が飲料や加工食品、薬品・洗剤向け等の段ボール生産量の増加への追い風となり、増収増益に貢献した。
・2021/3通期の会社計画は、売上高が前期比4.8%増の1,850億円、営業利益が同8.5%増の75億円。段ボール事業は、インターネット通販向けの中長期的な市場拡大、新型コロナウイルス感染による外出自粛が食品関連などの「巣ごもり消費」に伴う需要を高めたことのほか、欧米の都市封鎖に伴う古紙減少が段ボール古紙の輸出価格上昇をもたらすなど、追い風が重なっている状況だ。
三井化学(4183)
1,943 円(5/22終値)
・旧三井化学工業が1997年に三井東圧化学と合併して発足した総合化学メーカー。モビリティー、ヘルスケア、フード&パッケージング、および基盤素材の製造販売を主な事業内容とする。
・5/14発表の2020/3通期は、売上高が前期比9.7%減の1兆3,389億円、営業利益が同23.3%減の716.36億円。原油価格の下落に伴う販売価格下落、および新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売数量の減少が響き減収となったほか、交易条件の悪化や固定費増加が減益に繋がった。
・2021/3通期の会社計画は、売上高が1兆1,450億円、営業利益が370億円。2021/3期よりIFRSを採用するため前期比は記載せず。自動車向け部材は苦戦が続く見通しだが、IPA(イソプロピルアルコール)が欧米で消毒剤として需要が高まる一方で供給懸念があるほか、マスクや防護服の材料となる不織布が世界的な需要増により価格上昇。同社も工場能力を増強して生産を拡大している。
日本製鉄(5401)
914.3 円(5/22終値)
・1950年設立の鉄鋼メーカー。1970年の八幡製鉄と富士製鉄の合併による新日本製鉄の発足、2012年の住友金属工業との合併に伴う新日鉄住金の発足の後、2019年に現在の社名に変更。
・5/8発表の2020/3通期は、売上収益が前期比4.2%減の5兆9,215億円、持続的な事業活動の成果を表す事業利益が前期の3,369.41億円から▲2,844.17億円へ赤字転落。米中貿易摩擦を背景とした世界的な鉄鋼需要の減少、および老朽化が進む事業用資産の減損損失計上が響いた。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響が現時点で見通せないため2021/3通期会社計画を非公表とした。同社は2020/2に2基の高炉がある呉製鉄所の全面閉鎖を行う大規模な生産設備合理化策を発表しているが、今後の需要動向次第で更に踏み込んだ生産体制の見直しが必要との考えが示された。企業グループ資産の大規模な見直しにより、同社の純資産価値への注目度が高まろう。
CYBERDYNE(7779)
526 円(5/22終値)
・2004年に医療・福祉・介護分野向けロボットスーツの開発・製造・販売を目的に設立。人・ロボット・情報系を融合複合させた「サイバニクス」を活用して医療・福祉・生活分野へ事業を展開する。
・5/15発表の2020/3通期は、売上収益が前期比4.8%増の17.92億円、営業利益が前年同期の▲8.30億円から▲10.39億円へ赤字拡大だったが、業務提携に係る投資有価証券の評価益により税引前利益は黒字化。装着型ロボットは好調だったが、海外展開積極化に伴い販管費が増加した。
・新規性の高い事業を展開することに伴い業績予想が困難であることから2021/3通期会社計画を未公表としている。同社は日本信号(6741)とともに駅構内で使える車椅子大の自動走行清掃ロボットの商用化を5/18に発表。感染症防止対策として消毒液の噴霧や紫外線の照射をしながら自動巡回する。世界的な経済活動再開に向け、空港のほか多くの場所で需要増加が見込まれよう。
ケッペル(KEP)
市場:シンガポール 6.02 SGD(5/21終値)
・20ヵ国以上で事業を展開するコングロマリットで、オフショア・海洋事業、不動産事業、インフラストラクチャー事業、投資事業の4事業セグメントを運営。政府所有のテマセクHDSが筆頭株主である。
・4/29発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比21.3%増の18.57億SGD、営業利益が同15.2%減の2.73億SGD、純利益が同21.2%減の1.60億SGD。前年同期に中国とベトナムにおける不動産開発プロジェクトの一括売却利益を計上した反動減の一時的要因により減益となった。
・新型コロナウイルスの影響が不透明な中、不動産事業では「中国・シンガポール天津エコシティ」の住宅地売却が2020/4に完了し、インフラストラクチャー事業では廃棄物再生可能エネルギー発電プラントや資源回収施設の建設、および海上データセンターの開発が進む見通し。投資事業では子会社のM1と通信2位のスター・ハブ(STH)の連合体が5G通信規格の事業免許を付与された。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。