【投資戦略ウィークリー 2020年5月11日号(2020年5月8日作成)】銘柄ピックアップ
■銘柄ピックアップ
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人(3493)
129,000 円(5/8終値)
・2018/5に設立。物流との親和性の高い生活消費関連ビジネスに強みを持つ伊藤忠商事(8001)をスポンサーとする物流施設REIT。千葉県の「アイミッションズパーク印西」を旗艦物件とする。
・3/16発表の2020/1期(2019/8-2020/1)は、営業収益が前期(2019/7期)比2.4%増の17.59億円、営業利益が同3.6%増の8.39億円、利益超過を含む1口当たり分配金が同3.6%増の2,395円。伊藤忠グループと連携し、保有資産全体の稼働率が2020/1末で100%だったことが業績に寄与した。
・2020/7期の会社計画は、営業収益が前期(2020/1期)比36.7%増の24.05億円、営業利益が同39.9%増の11.73億円、利益超過を含む1口当たり分配金が同0.5%減の2,382円。5/7終値基準の予想年分配金利回りは3.87%、NAV(純資産価値)倍率が1.09倍。同投資法人は保守的な財務運営を基本としており、調達金利の上昇に対しても収益力を維持しやすい点が強みと言えよう。
オービックビジネスコンサルタント(4733)
5,020 円(5/8終値)
・1980年に設立したソフトウェアメーカー。企業で必要な基幹業務システムの開発・販売、および基幹システムを補う業務サービスを多数提供する。「勘定奉行」などの「奉行シリーズ」で知られる。
・4/23発表の2020/通期は、売上高が前期比1.8%増の300.68億円、営業利益が同1.0%減の129.79億円。サービス部門の好調な推移、および製品サポート終了や消費税増税に伴う製品ライフサイクル更新の特殊要因が増収に寄与したが、売上原価や販管費増加が響き営業減益だった。
・2021/3通期の会社計画は、売上高が前期比1.4%増の305億円、営業利益が同2.2%減の127億円。新型コロナウイルスの影響で売上が急減した中小企業や個人事業主への給付金支給のほか各種融資の迅速な手続き申請のため、クラウド会計ソフトを使った記帳代行自動化サービスが注目される。「奉行クラウド」におけるAPIを利用した各種システムとのデータ連携が強みを発揮しよう。
東映アニメーション(4816)
5,450 円(5/8終値)
・1948年設立。各種アニメ作品の企画・製作・放映権販売の映像制作・販売事業、キャラクターをライセンス許諾しロイヤリティを得る版権事業、キャラクター商品販売の商品販売事業等を手掛ける。
・1/31発表の2020/3期3Q(4-12月)は、売上高が前年同期比1.0%減の413.93億円、営業利益が同3.3%減の122.35億円。国内、および中国ほか海外での映像配信権の販売に注力したが、国内外でのアプリゲームなどのゲーム化権の販売が前年同期で伸び悩んだことから減収減益となった。
・通期会社計画は、売上高が前期比1.3%減の550億円、営業利益が同4.7%減の150億円。新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛が続く中、米動画配信大手のネットフリックス(NFLX)は、熱心なファンが付きやすく世界に配信できるコンテンツを作りやすいアニメ作品を重視している。動画配信事業への新規参入の動きが相次ぐなか、海外を中心に映像配信権の高騰が続くと見込まれよう。
ベネッセホールディングス(9783)
3,110 円(5/8終値)
・1955年に岡山市で前身の福武書店を設立。進研ゼミなどの国内教育事業、幼児向けのグローバルこどもチャレンジ事業、介護・保育事業、および語学のベルリッツ事業の4事業を中心に展開。
・2/7発表の2020/3期3Q(4-12月)は、売上高が前年同期比3.9%増の3,365.62億円、営業利益が同48.7%増の230.93億円。進研ゼミの価格改定、2019/1に連結子会社化した2社の寄与、および高齢者向け住宅の入居者数増が増収に貢献。更に、ベルリッツ事業のコスト削減が増益に寄与。
・通期会社計画は、売上高が前期比4.5%増の4,590億円、営業利益が同23.1%増の200億円。教育などの著作物をオンラインによる遠隔授業で使えるようにする改正著作権法が4/28に施行された。新型コロナウイルスの影響で学校の休校が長引くなか、オンライン学習用ポータルサイト、および教材や宿題・自習用のコンテンツの充実が求められ、同社の幅広い貢献が期待されよう。
シンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)
市場:シンガポール 1.60 SGD(5/6終値)
・1984年設立。メディア事業で紙媒体および電子媒体での出版ならびに広告を手掛けるほか、不動産投資信託(REIT)を通じた商業施設運営、学生寮運営、および高齢者ケア事業などを営む。
・4/7発表の2020/8期1H(2019/9-2020/2)は、総収入が前年同期比1.3%減の4.71億SGD、営業利益が同15.3%減の1.02億SGD。不動産事業が英国の学生寮ポートフォリオの拡張、およびREITの寄与により堅調に伸びたものの、メディア事業の新聞印刷広告の低迷が響き減収・減益となった。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響に係る会社見通しは以下の通り。メディア事業は顧客からの広告収入減を見込む。不動産事業はREIT保有の商業施設からの収益減、および大学閉鎖に伴う英国学生ポートフォリオからの収益減を想定。なお、同社は高齢者ケア事業で日本を重視し、北海道、大阪市、および東京都の5施設を52.6億円で買収。成長に向けた動きとして注目されよう。
- 上場有価証券等のお取引の手数料は、国内株式の場合は約定代金に対して上限1.265%(消費税込)(ただし、最低手数料2,200円(消費税込)、外国取引の場合は円換算後の現地約定代金(円換算後の現地約定代金とは、現地における約定代金を当社が定める適用為替レートにより円に換算した金額をいいます。)の最大1.10%(消費税込)(ただし、対面販売の場合、3,300円に満たない場合は3,300円、コールセンターの場合、1,980円に満たない場合は1,980円)となります。
- 上場有価証券等は、株式相場、金利水準等の変動による市場リスク、発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合の信用リスク、外国証券である場合には為替変動リスク等により損失が生じるおそれがあります。また新株予約権等が付された金融商品については、これらの権利を行使できる期間の制限等があります。
- 国内金融商品取引所もしくは店頭市場への上場が行われず、また国内において公募、売出しが行われていない外国株式等については、我が国の金融商品取引法に基づいた発行者による企業内容の開示は行われていません。
- 金融商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、お取引に際しては、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料をよくお読みください。
免責事項
- この資料は、フィリップ証券株式会社(以下、「フィリップ証券」といいます。)が作成したものです。
- 実際の投資にあたっては、お客様ご自身の責任と判断においてお願いいたします。
- この資料に記載する情報は、フィリップ証券の内部で作成したか、フィリップ証券が正確且つ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性又は完全性を保証したものではありません。当該情報は作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。この資料に記載する内容は将来の運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
- この資料を入手された方は、フィリップ証券の事前の同意なく、全体または一部を複製したり、他に配布したりしないようお願いいたします。
アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。