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【投資戦略ウィークリー 2020年4月13日号(2020年4月10日作成)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

ラック(3857)   

894 円(4/10終値)

・2007年に旧ラックとエー・アンド・アイ システムの経営統合により設立。セキュリティ・ソリューション・サービス(SSS)事業およびシステム・インテグレーション・サービス(SIS)事業の2事業を営む。

・2/7発表の2020/3期3Q(4-12月)は、売上高が前年同期比7.5%増の288.10億円、営業利益が同66.7%減の3.70億円。SSS事業の製品販売の拡大、およびSIS事業のハード・ソフトウェア販売の拡大が増収に寄与したが、拠点開設といった戦略投資や社内ITシステム刷新により減益となった。

・通期会社計画を下方修正。新サービスや新規開発案件の進捗の遅れを理由として売上高を前期比4.6%増の405億円(従来計画:440億円)、営業利益を同30.3%減の16.5億円(同:25.0億円)とした。新型コロナウイルス感染拡大により在宅からのテレワーク、およびZoomなどを用いたビデオ会議が拡大していることを受け、セキュリティのリスクの高まりが同社への追い風となろう。

 

オムロン(6645)   

5,880 円(4/10終値)

・1933年に立石電機製作所として創業。産業用制御機器コンポーネントの全分野およびシステム機器、生活・公共関連機器・システムからヘルスケアまで広範囲の機械器具の製造・販売を営む。

・1/29発表の2020/3期3Q(4-12月)は、売上高が前年同期比7.6%減の4,983.01億円、営業利益が同19.1%減の400.98億円。純利益増益は車載事業の売却による一時的要因による。社会システム事業が増収増益だったものの、主力の制御機器事業および電子部品事業の減収減益が響いた。

・通期会社計画は、売上高が前期比8.5%減の6,700億円、営業利益が同33.1%減の450億円。新型コロナウイルス感染拡大を受け、体温計メーカー国内首位の同社が生産能力を従来比7割増の日産6万個弱を供給すると伝えられた。感染予防策として全社員に出社前の検温を義務付ける企業や登校前に検温を義務化する小中学校が増加しており、同社の業績への寄与が見込まれよう。

 

スタンレー電気(6923   

2,343 円(4/10終値)

・1920年創業。自動車用照明製品などの自動車機器事業、LEDといった電子デバイス製品などのコンポーネンツ事業、および電子応用製品事業を主要事業とする。ホンダ向けが約4割を占める。

・1/30発表の2020/3期3Q(4‐12月)は、売上高が前年同期比8.1%減の3,021.84億円、営業利益が同21.4%減の317.37億円。自動車生産台数の世界的減少および人民元安の影響により減収。また、自動車機器事業における過去の品質問題に関わる費用を計上したことが響き減益となった。

・通期会社計画は、新型コロナウイルスによる生産・調達・販売の多大なる影響が見込まれることから業績予想の算定が困難であることを理由に非開示。同社は光の紫外線を用いてウイルスのDNAの二重らせん構造を破壊し、細胞分裂による増殖機能を失わせて殺菌できる技術を有する。薬品を使わずに殺菌できることから、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも世界的に注目されよう。

 

平和不動産リート投資法人(8966   

93,900 4/10終値

 

平和不動産8803をスポンサーとする総合型REIT。東京都区部の住居とオフィスを主要な投資対象としており、住居が約56%、残りがオフィスというポートフォリオ。継続的な物件入替えに特徴。

・1/16発表の2019/11期(6-11月)は、営業収益が前期(2019/5期)比0.9%減の63.28億円、営業利益が同2.3%減の29.67億円、1口当たり分配金が同3.1%増の2,500円(利益超過分配金はゼロ)。オフィスの取得および売却を1件ずつ行った。全資産の期末稼働率は前期末比0.2ポイント上昇。

・2020/5期(2019/12-2020/5)の会社計画は、営業収益が前期比1.5%減の62.33億円、営業利益が同4.9%減の28.22億円、1口当たり分配金が同1.0%増の2,525円(利益超過分配金はゼロ)。住居系J-REITは新型コロナウイルスの影響による収益への影響が少ないと見込まれる中、同REITの予想分配金利回り(4/9終値で5.32%)は平和不動産株式の配当利回りとの比較からも注目されよう。

 

キャピタランド(CAP

市場:シンガポール      2.95  SGD4/9終値)

・2000年設立。シンガポール政府所有の投資会社であるテマセクHDSが過半数の持株比率を有する。不動産総合開発事業のほか、REIT(不動産投資信託)の運用に係る金融事業に強みを持つ。

・2/26発表の2019/12通期は、売上高が前期比11.3%増の62.34億SGD、当期利益が同21.2%増の21.35億SGD。2019/6に取得したASB(アセンダス・シンブリッジ)事業、および2018年に取得後2019年に稼働を開始した資産が業績に寄与。特に中国とシンガポール市場が利益面で貢献した。

・2020/1にキャピタランド・モール・トラスト(CMT)とキャピタランド・商業モール・トラスト(CCT)を統合して時価総額でアジア第3位の規模のREITとなるキャピタランド・総合商業モール・トラスト(CICT)とすることを発表。合併で時価総額が大きくなれば不動産の買付を有利に行えるといった狙いがあると考えられよう。シンガポールの大型商業施設における新型コロナウイルスの影響が注目されよう。

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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