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【投資戦略ウィークリー 2019年12月30日号(2019年12月27日作成)】銘柄ピックアップ

 

■銘柄ピックアップ

Zホールディングス(4689

459円(12/27終値)

・1996年に現ソフトバンクG9984の子会社として設立。Eコマース事業・メディア事業を手掛ける。2019/10にヤフーから社名変更を行う。2019/12にLINE3938との経営統合に最終合意した。

・11/1発表の2020/3期1H(4-9月)は、売上収益が前年同期比4.1%増の4,841.45億円、営業利益が同9.0%減の756.61億円。広告収入および連結子会社の売上増が寄与し増収だったが、減価償却費や販管費の増加、および前年同期計上のIDCフロンティア売却益の反動減が響き営業減益。

・通期会社計画は、売上収益が前期比4.7-6.8%増の1.00-1.02兆円、営業利益が同0.1-6.7%増の1,406-1,500億円。12/23にLINEとの経営統合に最終合意。タイや台湾でも人気のLINEを「様々なビジネスや生活の起点となるプラットフォーム化されたアプリ(スーパーアプリ)」と位置付け、決済アプリのPayPayを軸に海外の巨大プラットフォーム企業との競争に挑む戦略は注目されよう。(笹木)

 

川澄化学工業(7703   

950円(12/27終値)

・1954年に設立。血液バッグや成分採血キットなどの血液・血管内関連、およびダイアライザー(人工腎臓)や生理食塩液などの体外循環関連の医療機器・医薬品の製造・販売を事業内容とする。

・11/7発表の2020/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比2.6%減の113.24億円、営業利益が同8.6倍の5.35億円。不採算事業からの撤退および生理食塩液の販売減少が響き減収だったが、構造改革効果および原価低減活動による原価率の改善や人件費減少が奏功し営業増益となった。

・通期会社計画は、売上高が前期比7.9%減の222億円、営業利益が同50.4%増の9億円。体外循環事業において不採算事業からの撤退や営業拠点の統廃合を行う一方、血管内分野は新製品の投入やステントグラフトに係る欧州での販売拡大を計画するなど事業の選択と集中に取り組んでいる。医療機器の国際展開は政府の成長戦略上の重点分野であり、追い風が期待されよう。(笹木)

 

任天堂(7974   

43,810円(12/27終値)

1889年に花札製造で創業後、1947年にかるた・トランプ類の製造・販売で発足。コンピューター利用の「ゲーム専用機」を主な製品とする。株式会社ポケモンは持株比率32%の持分法適用会社。

・10/31発表の2020/3期1H(4‐9月)は、売上高が前年同期比14.2%増の4,439.67億円、営業利益が同53.4%増の942.22億円。Nintendo Switch販売のハード台数が同36.7%増、ソフト本数が同38.8%増だったことが寄与し増収・営業増益。純利益は、為替差損が響き同4.0%減だった。

・通期会社計画は、売上高が前期比4.1%増の1.25兆円、営業利益が同4.1%増の2,600億円。2019/10に発売された「リングフィットアドベンチャー」はゲームとエクササイズが一体化した新感覚で新たな顧客層を開拓中。2020年にユニバーサルスタジオが日本(USJ)、および米国2ヵ所で「SUPER NINTENDO WORLD」をオープン予定。Nintendo Switchとの相乗効果に要注目。(笹木)

 

日本電信電話(9432   

2,747円(12/27終値)

・1952年に政府全額出資により日本電信電話公社が発足し、1985年に民営化された。NTTドコモ9437およびNTTデータ9613は、それぞれ持株比率が64.0%、54.1%の親子上場関係である。

・11/5発表の2020/3期1H(4-9月)は、営業収益が前年同期比1.7%増の5.88兆円、営業利益が同8.2%減の9,828.05億円。長距離・国際通信事業やNTTデータの増収などが奏功し増収だった一方、NTTドコモのモバイル収入減や海外グループ企業の再編コストが嵩んだことが響き営業減益。

・通期会社計画は、営業収益が前期比0.1%増の11.89兆円、営業利益が同8.5%減の1.55兆円。12/24に5Gを小規模エリアで活用する「ローカル5G」の免許申請の受付が開始され、NTT東日本が総務省に申請を行った。同社は東京大学と共同で「ローカル5Gオープンラボ」を設立。携帯大手通信網との接続は禁止されるが、全国に顧客基盤を有する同社の強みが発揮されよう。(笹木)

 

シンガポール・テレコム(ST

市場:シンガポール   3.70 SGD12/26終値)

・シンガポール最大、アジアでトップクラスの通信会社で創業から約140年の歴史を有する。主力の事業エリアのシンガポールとオーストラリアのほかタイ、フィリピン、インドネシア、インドでも現地トップクラスの通信事業に戦略的出資を行い、21ヵ国で7億人以上のモバイル顧客をカバーする。

・11/14発表の2020/3期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比2.8%増の41.52億SGD、純利益は前年同期の6.67億SGDから▲6.68億SGDへ赤字転落。ただし、戦略的出資先のエアテル(インド)における引当金計上といった一時的要因の影響を除く純利益は、同4.3%増の7.02億SGDだった。

・通期会社計画は、営業収益が前期比横ばい、EBITDAが同横ばい。既にオーストラリアで300ヵ所の5G通信固定ワイヤレスサイトが家庭にブロードバンド接続されており、5G時代に向けた準備が進展。出資先を通じてタイ、フィリピン、インドネシア、インドの5G対応の後押しが見込まれる。(笹木)

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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