【米国マンスリー 2020年12月号(2020年12月2日作成)】“テールリスクを抱えつつも、強気の年末相場へ”

 

■大統領選に係る公聴会を開催した州

米大統領選はバイデン前副大統領の当選が確実とされ、次期大統領就任日に向けての迅速な政権移行とそれに伴う経済対策実施を期待して株式市場が堅調に推移している。その一方、ペンシルベニア、ミシガン、アリゾナの州議会では大統領選の不正疑惑に係る公聴会が開催され、ペンシルベニア州では州議会で多数派の共和党議員が選挙結果に関わらず独自の選挙人団を選出しようとする動きが見られる。確率的には低いものの発生すると大きな価格変動を引き起こすリスク(テールリスク)には要注意だろう。

大統領選に係る公聴会を開催した州~独自に選挙人団選出のテールリスク

 

■ドルインデックス・ドル円・金価格

複数の主要国通貨に対する米ドル相場を指数化したドルインデックスは、過去4年では2017年や2019年にドル円相場と異なる動きを示すこともあったが、ここ数ヵ月は両者の連動性が強まりつつある。ドルインデックスは名目金利から期待インフレ率を差し引いた米実質金利に連動する傾向があると見られる中、米実質金利を表す物価連動国債10年物TIPS利回りはマイナス1.0%近辺で下げ止まりつつあるほか、米ドル安時に買われやすい金先物価格も上昇一服傾向に転じた。

イエレン前FRB議長が次期財務長官に指名予定となることが発表され、財政支出増加期待からドルインデックスが11/25に92ポイントを下回ったが、金先物価格と米実質金利の推移からすれば、ドル安は期待が先行している可能性もあろう。

ドルインデックス・ドル円・金価格~米ドル実質金利の動向が鍵を握る?

 

■主要コモディティ価格動向に注意

商品先物価格はグローバル経済の温度を敏感に反映しやすいものとして注目されるなか、ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数は、主に中国経済の回復基調を受けて今年10月上旬まで高騰したが、その後は一転して急落。8月頃まで相場が上昇していた木材先物は11月に再上昇したが、銀先物は9月以降、冴えない軟調な展開だ。

オーストラリアが新型コロナウイルスに関する独立した調査を求めたことに中国が反発し、報復措置として豪州産の7種類の主要商品の輸入を11/6から停止したほか、中国の次世代インフラ投資のため購入を増やした鉄鉱石や鉄鋼製品などの在庫増加に伴う荷動き鈍化がバルチック海運指数下落の原因と見られる。世界経済の回復にとって要注意だろう。

【主要コモディティ価格動向に注意~バルチック海運指数の急落が気になる】

 

■グロース株が主導してきた米株高

米製薬のファイザーPFEと独ビオンテックが新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で高い有効性を示し、新型コロナワクチンが景気回復を支える期待感から、都市封鎖の恩恵を受けたハイテクIT関連のグロース株が売られ、コロナ禍による打撃が大きかった景気敏感のバリュー株への乗換えの動きが見られ始めた。

過去4年の米主要株価指数の推移では、S&P500指数に対しハイテク銘柄中心のナスダック総合指数や巨大プラットフォーマーから構成されるNYSE FANGプラス指数が米国株高を主導。S&P500グロース指数/バリュー指数比率の推を見ても、2008年以降はグロース株が優位だった。その一方、02年から07年のようにバリュー株主導でS&P500指数が押し上げられた時期があったことが注目される。

グロース株が主導してきた米株高~バリュー株シフトで株高の可能性は?

 

■米ホームセンター・チェーン大手2社

11/19発表の10月の米中古住宅販売件数は季節調整済みの年率換算で5か月連続増加の前月比4.3%増、前年同月比で26.6%増。米主要20都市圏における戸建て住宅の再販価格を元に算出されるS&Pケース・シラー住宅価格指数も11/24発表の9月が同6.6%上昇と米住宅市場の堅調さを示している。

住宅市場の影響を受けやすい米ホームセンター大手チェーンの今年8-10月期は、巣ごもりに伴う自宅改装やメンテの動きが広がったことから業績好調。既存店売上高は、ホームデポHDが前年同期比24%増収、ロウズLOWが同30%増収。全体相場動向の影響を受けて両社の直近数ヵ月の株価は伸び悩んでいるが、中古住宅販売件数の増加加速を反映すれば上昇余地も考えられよう。

米ホームセンター・チェーン大手2社~株価は中古住宅販売に出遅れか?

 

■ダウ平均構成銘柄の配当利回り

米製薬のファイザーPFEと独ビオンテックの共同開発、および米バイオ技術のモデルナMRNA開発の新型コロナワクチンの治験で高い有効性が示され、ワクチン普及により経済が正常な状態に戻る期待が世界の株式市場で一気に高まった。米株式市場ではコロナ禍による打撃が大きく、グロース株の陰に隠れていた景気敏感株が物色の中心とされたが、今後は高配当利回りのバリュー株にも注目が集まりやすくなると期待される。

構成銘柄に占める景気敏感株やバリュー株の割合が高いダウ平均の配当利回りランキングは、上位5位までが4%以上の実績年配当利回りとなった。更に、年初来騰落率が相対的に低い出遅れ銘柄、および低PBR銘柄が新型コロナワクチン普及期待銘柄として挙げられよう。

ダウ平均構成銘柄の配当利回り~ワクチン普及によるバリュー株シフト?

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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