【米国マンスリー 2020年11月号(2020年10月28日作成)】“米大統領選の激戦州に世界の注目が集まる”

 

■米大統領選激戦州と新型コロナ

米世論調査データ収集サイト「リアル・クリア・ポリティックス」によれば、米大統領選における10/27現在の州ごとの獲得見込み票(確実、優勢、やや優勢)は、トランプ大統領125票に対し、バイデン候補は232票と過半数まであと38票に迫る。残りの181票を五分五分の接戦と見られる13州で奪い合う構図と見られる。

接戦州のうち10票以上を占める9州では、百万人当り新型コロナウイルス累計感染者数はフロリダ州が最多。重症化リスクの高い高齢者が多く、現政権への批判票が集まるかも知れない。増加加速が目立つウイスコンシン州も要注目だろう。

米大統領選激戦州と新型コロナ~感染者増加状況が明暗を分ける可能性も

 

■穀物相場と大統領選の農業州

シカゴ商品取引所の大豆・トウモロコシ先物価格が上昇基調で推移している。米中貿易摩擦を巡る1月の「第1弾の合意」に伴う中国による米国産穀物の輸入増という一面があるほか、アフリカ豚熱や今夏の洪水で養豚数が急減したことに対し飼育数を増やすため配合飼料の大豆・トウモロコシの確保が重要になった中国側の事情も大きな要因だろう。

米大統領選でトランプ大統領が劣勢を跳ね返すには農業州の票の確保が必要と見られ、相場の堅調な推移はその援軍となろう。特に、大豆・トウモロコシともに生産量で上位4位内にランクされるアイオワ州とミネソタ州、および、トウモロコシの生産量で上位14位内のオハイオ、ウイスコンシン、テキサス州はいずれも大統領選の接戦州と位置付けられている。

穀物相場と大統領選の農業州~ミネソタ・オハイオ・ウイスコンシンは激戦州

■米上院選挙と大統領選挙

11/3は、米大統領選と共に上院改選と下院選が実施される。バイデン候補が世論調査を通じてリードを保っていると伝えられる一方、上院では共和党と民主党が接戦を演じている。米世論調査サイトのリアル・クリア・ポリティックスによれば、10/27現在、上院の議席獲得見通しは、共和党46議席、民主党45議席であり、五分五分の接戦予想が9議席となっている。世論調査通りであれば、議席中で民主党が6議席を獲得する計算だ。

大統領選は五分五分の接戦とされる13州のうち、世論調査平均値でバイデン候補が5ポイント超リードしている州はミネソタとウイスコンシンの2州、合計獲得見通し票数20票にとどまる。決してバイデン候補が安泰とは言えない情勢だろう。

【米上院選挙と大統領選挙~激戦州の争奪戦は世論調査で民主党リード】

 

■原油の需給動向

米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計では10/16時点の原油在庫が前週比100万バレル減、今年6月の年内ピークからは526万バレル減と減少傾向。供給面では10/16時点で、原油生産量が8/28に18年1月以来の日量1,000万バレル割れとなったのに続き日量990万バレルと生産調整が進むほか、掘削装置の稼働リグ数が287基と過去4年のピークである2018年12月から約74%減となった。一方で、同稼働リグ数が8/7(244基)以降、増加傾向で推移している。

需要面では欧米の新型コロナウイルス感染再拡大に伴うエネルギー需要の伸び悩みが懸念されるほか、EUや日本など、地球温暖化ガスの排出量削減目標を引上げる動きが相次ぐ点も中長期的な原油の需要減に繋がると考えられよう。

原油の需給動向~原油在庫減少も稼働リグ数削減・生産量減少に一服感

 

■米国の雇用回復傾向は続くのか?

9月の米国雇用統計は、失業率が前月比0.5ポイント低下の7.9%となり、市場予想を下回る改善となった。失業保険継続受給者数も10/9時点で5月上旬の水準から約3分の1に減少するなど雇用の回復が順調に進んでいるように見える。一方で、新規失業保険請求件数は8/28以降、70万人台後半から80万人台で足踏みが続き減少ペースの鈍化が見られる。また、労働参加率も9月が前月比0.3ポイント低下と伸び悩みが見られる。

7月末で連邦政府による失業保険上乗せ給付が失効したことを受け、8月の個人所得は前月比2.7%低下。7月までは雇用が増えなくても消費が落ち込まずに景気が維持される面もあったが、8月以降の雇用伸び悩みは消費の低迷を通じて米国経済への下押し要因となろう。

米国の雇用回復傾向は続くのか?~追加経済対策先送りは所得・消費に響くか

■米株式市場と債券市場の変動率

米国を代表する株価指数のS&P500を対象とするオプション取引の値動きの変動率を元に算出・公表されるVIX指数は投資家心理を示す数値として「恐怖指数」と呼ばれている。コロナ禍前の今年2月までは20%を下回って推移していたが、感染拡大に伴う不安心理の増幅とともに3月中旬に80%を超えた後に低下傾向を辿ったものの、8月中旬に約21%まで低下後に上昇に転じた。

米国債にも先行き変動リスクを示す債券版恐怖指数として、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが算出・公表する「MOVE指数」がある。MOVE指数もVIX指数と同様に3月に急騰した後に低下傾向を辿ったが、VIX指数と異なり、今夏以降も引き続き低下。米大統領選挙が近づいた9月末からようやく上昇し始めたところだ。

米株式市場と債券市場の変動率~株価指数と比べて債券は低下傾向

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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