【米国マンスリー 2020年10月号(2020年9月30日作成)】“トランプ劇場~大統領選の逆転劇はあるのか?”

 

■米大統領選トランプ勝利の条件

米大統領選挙の全米世論調査ではバイデン前副大統領がトランプ大統領をリードしている。米世論調査データ収集サイト「リアル・クリア・ポリティックス」によれば、9/29現在の州ごとの戦況と獲得票(確実、優勢、やや優勢の合計)の見込みはバイデン氏222票、トランプ氏125票、五分五分が191票であり、トランプ氏の逆転の可能性は小さいように見える。

その一方、五分五分とされる州でトランプ氏が前回と同じ結果を残せば、計算上は上記獲得見込票と合計で過半数を超える可能性は残されていると言えよう。

米大統領選トランプ勝利の条件~五分五分州で前回同様の結果が必要か

 

■主要コモディティ価格動向

コロナ禍からの経済活動再開の今後の動向を見通す上で、グローバル経済の温度を敏感に反映しやすい商品先物価格動向を見ていくことは有用だろう。様々なコモディティの中で、ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数がいち早く6-7月にかけて急騰。その後を追うようにCME木材先物価格とCMX銀先物価格も大幅に上昇した。

7/6にバルチック海運指数が、8/21にCME木材先物が、8/6に銀先物が年初来高値を付けた後で下落に転じた。バルチック海運指数は9/11から上昇に転じているものの、9/23発表の9月のサービス業および総合購買担当者景況指数(PMI)の速報値が米国・ユーロ圏ともに前月から低下した。短期的な景気回復の戻り一服を示唆している可能性もあろう。

主要コモディティ価格動向~8月までに景気の戻りピークを迎えた可能性も?

 

■新型コロナウイルス感染再拡大

世界で新型コロナウイルスの感染が再拡大してきた。新規感染者数の7日移動平均の3/31を100とした相対指数は、米国は6月のピーク時からは減少したものの、9/12から9/27まで増加傾向。また、欧州では、フランスが7/16から9/26にかけて増加を続け、9月中旬以降は米国を超えた。イギリスとスペインも同様に7月上旬から9月下旬まで増加基調となり、4月のピーク時の人数を超えた。

その一方、ドイツとイタリアは7月以降に増加傾向にあるものの、9/28の新規感染者数は3/31に対し、ぞれぞれ32-33%の水準にとどまっている。また、都市封鎖や外出制限を行わなかったスウェーデンの新規感染者数は6月に急増後、9月上旬まで減少基調だったなか、9月に入り再び増加に転じている点が注目される。

【新型コロナウイルス感染再拡大~欧州主要国の感染拡大が深刻化】

 

■欧州の温暖化ガス排出権取引

7月上旬のEUの委員会で温暖化ガス排出削減目標を90年比40%減から50-55%に引き上げる方向が示され、温暖化ガス排出権の発行枠縮小の観測からロンドン市場の先物価格が14年ぶりの高値を付けた。EUでは排出量取引制度について航空や海運に対象を拡げ、9月からスイスの制度と連結を開始した。

米電気自動車のテスラTSLAの2020年4-6月期は純利益が1.04億USDと4四半期連続の黒字を達成。その中で温暖化ガス排出権(クレジット)の売却益が純利益を上回る4.28億USDに上った。同排出権取引については、排出権の発行枠縮小による供給減が価格上昇をもたらす可能性、および排出権取引制度の対象拡大による市場参加者の拡大が見込まれ、資産価値の高まりが見込まれよう。

欧州の温暖化ガス排出権取引~温暖化対策強化により排出権が高値圏へ

 

 

■米中古車価格は歴史的高水準

米国の中古車価格の動向を示す「マンハイム指数」は今年8月に163.7と3ヵ月連続で過去最高を更新後、9月も162.3となるなど、4月から約3割上昇した。コロナ禍の影響による生産休止で新車が不足したほか、レンタカー会社の経営悪化で中古車の供給が減っていることも価格上昇の要因となっている。また、週600ドルの失業給付金が7月末に期限切れとなったことで消費者の節約志向が進むことが想定され、需要増が見込まれる。

米中古車販売のカーマックスKMXは3-5月期の既存店売上高が前年同期比41.8%減と苦戦したが、6-8月期は増収増益となった。また、6/9にナスダックに新規上場したオンライン中古車売買プラットフォーマーのVroomVRMは売買の手軽さが評判を呼んで急成長中だ。

米中古車価格は歴史的高水準~マンハイム指数、関連銘柄の株価に注目

 

■シスコシステムズの今昔物語

データネットワーク製品メーカー大手のシスコシステムズCSCOの株価は「ITバブル」と呼ばれた2000年の3/27までの1年間で約3倍上昇した。これに対し、時価総額で世界首位のアップルAAPLは終値で最高値を付けた9/1までの1年間で約2.6倍上昇。シスコシステムズの95年4月以降とアップルの15年9月以降の5年間の株価推移を見ると長期的な株価上昇のパターンが類似している面もある。

シスコシステムズは現在もネットワーク製品やウエブ・ビデオ会議システムでIT業界大手の地位を占めており、その株価はIT企業を主要構成銘柄とするナスダック総合指数との相関性を窺える。同社株価は2019年以降、ナスダックに先行する傾向が見られる。今年6月以降の下落に同様の先行性があるのかが注目される。

シスコシステムズの今昔物語~ITバブル時の株価と今の株価からの考察

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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