【米国マンスリー 2020年4月号(2020年4月1日作成)】”米国株式市場はパニックモードから脱出したか?”

 

■原油価格とドルインデックス

ドルインデックス指数は基軸通貨である米ドルへの需要の急激な高まりを受け、日足終値で3/20の102.81ポイントまで上昇後、3/27の98.36まで低下した。大規模な財政政策や中央銀行による米ドル供給拡充などを受け、金融市場が米ドル不足のパニック的な状況からひとまず脱したものと見られる。

原油安は景気見通しの悪化を示すものとしてマイナス面が強調されがちだが、今後は輸入コスト低下を通じて消費者の購買力を高め内需を押し上げるプラス面が見直される余地もあろう。

【原油価格とドルインデックス~米ドルへの急激な需要は落ち着いたか?】

 

■中央銀行による流動性供給

主要先進国のマネーサプライ(M2)の合計額を表すグローバル・マネーサプライ指数が1/31に81.2兆USDまで上昇後、2/20に79.9兆USDまで低下。その一方、S&P500株価指数は2/19の史上最高値3,393ポイントまで上昇後、3/23の2,237ポイントまで2/19から34%下落した。グローバル・マネーサプライ指数は2/20から増加に転じ3/10に82.1兆USDの過去最高額に達したが、その後3/19の79.2兆円まで減少した。

米FRBは3/3に政策金利の緊急引下げを行い、6日と13日を除き3/3以降は3/17まで1,000億USDを超えるレポ市場への流動性供給を実施。3/12には流動性供給額が3,510億USDに達した。株価とグローバル・マネーサプライ指数の反転上昇に寄与した面もあろう。

【中央銀行による流動性供給~株価の下支え要因として機能するか?】

■日・米・欧の長期金利

新型コロナウイルス感染拡大の影響を抑えるため世界各国の中央銀行が金融緩和に動く中、日本・米国・欧州主要国の長期金利の関係に変化が生じている。2020/2まで米長期金利が最も高かったが、2020/3に入ってからイタリアやギリシャなどのユーロ加盟国の長期金利が米国を上回るようになった。

世界的な金融緩和は各国の長期金利を低下させ、国ごとの較差(スプレッド)を縮小させる効果がある一方、大規模財政支出は長期金利を上昇させ、国ごとの較差を拡大させる要因となる。新型コロナウイルスの爆発的感染が続き大規模財政支出が必要視されるイタリアは、巨額の公的債務に伴う財政不安があり、欧州債務危機が再燃するリスク要因として注視が必要だろう。

【日・米・欧の長期金利~日・独・米とその他の国に二極分化か?】

 

■米国株底入れの可能性?

米FRBが3/23に量的緩和を当面の間は必要な量だけ無制限に行うことができる緊急措置を決め、3/25に米上院が2兆ドル経済対策を可決した。一方で、米国の新型コロナウイルスに係る感染者数および死者数が3/31現在、189,620人、3,873人となるなど増加ペースに鈍化の兆しが見られず、VIX指数は50を超える高止まり状態となっており、3/23以降の米国株の上昇も自律反発の域を出ないのではないかという懸念が残る。

米主要株価指数であるS&P500とダウ工業株30種平均(NYダウ)の週足終値とその520週(約10年)の週足終値移動平均を見ると、NYダウが同移動平均の水準にほぼ並んだことが分かる。10年単位の長期スタンスで割安株に投資する投資家が買いに動いた可能性もあろう。

米国株底入れの可能性?~主要株価指数の週足終値520週移動平均との関係

 

■相対指数で見る米国主要株価指数

米国の主要株価指数(日足終値)は、2018/1まで上昇後、2018/12/24まで下落。その後、2020/2まで上昇後に新型コロナウイルス感染拡大を受けて下落に転じた。ただし、指数によって異なる動きを示している面も見られる。

FAANG銘柄を中心としたNYSE FANGプラス指数、フィラデルフィア半導体株指数、ハイテク株比率が高いナスダック総合指数、S&P500株価指数、およびダウ工業株30種平均株価の終値は3/31が2018/12/24を上回ったが、NYSE上場銘柄を幅広くカバーするNYSE総合指数、および米国の代表的小型株指数のラッセル2000株価指数の終値は3/31が2018/12/24を下回る。FAANG銘柄、半導体銘柄、およびハイテク銘柄が優位となる相場展開であることが示唆されよう。

【相対指数で見る米国主要株価指数~2018/12/24終値との比較】

 

■米国株2018/12/24終値との比較

米国の主要株価指数であるS&P500の日足終値は、2018/12/24に過去3年内の安値2,351ポイントを付け、今年の2/19に過去最高値3,393ポイントまで上昇。その後、3/23に2,237ポイントまで急落した。3/23終値は2018/12/24の終値を4.8%下回った。また、S&P500の業種別株価指数(11業種)では、情報技術、コミュニケーション・サービス、および生活必需品の3業種を除いた業種は、3/23終値が2018/12/24の終値を下回った。

アップル(AAPL)マイクロソフト(MSFT)アルファベット(GOOGL)等のナスダック総合指数の構成銘柄を含む情報技術の終値は、3/23が2018/12/24を22.6%上回るなど底堅く推移している。クラウドサービスの恩恵を受けやすいIT企業が米国株を牽引すると期待されよう。

【米国株2018/12/24終値との比較~3/23の業種別株価指数終値に注目】

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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