【米国マンスリー 2020年3月号(2020年2月26日作成)】”COVID-19の暗雲に見出すシルバーライニング”

 

■新型ウイルス終息への希望の光

新型コロナウイルスの感染は拡大を続けているが、世界の感染者数の推移を見ると2月中旬以降、増加ペースが緩やかになりつつあることが分かる。

中国ではビッグデータをはじめとする最新技術が感染経路の特定に利用されている。また、米国のギリアド・サイエンシズGILDがエボラ出血熱の治療薬として開発した「レムデジビル」は世界保健機関(WHO)代表からも「現時点で本当に治療効果があると見られる唯一の薬」と言及された。感染拡大の早期終息への貢献が期待されよう。

【新型ウイルス終息への希望の光~中国のビッグデータ、レムデジビル】

 

■グローバルマネーの潮流の変化

円は従来、安全資産という位置づけからリスク回避目的で買われる傾向にあり、リスクが顕在化した際には金価格とともに円相場が上昇する傾向にあった。しかし、2019年末頃からは金価格が上昇するものの円安ドル高に振れていることが分かる。リスク回避目的で買われやすい安全資産としての円相場が変質している可能性があろう。

また、主要先進国のマネーサプライ(M2)の合計額であるグローバル・マネーサプライ指数は2020年初から減少傾向に転じているが、米国株は上昇を継続していた。ところが、S&P500株価指数は2/19以降に下落に転じた。2019年末まで両者の動きが高い連動性を示していた中、逆行現象が持続しにくいことが示された面もあろう。

【グローバルマネーの潮流に変化~ドル円相場とグローバル・マネーサプライ】

 

■S&P500業種別株価と企業業績

2/14付のファクトセット(Earning Insight)によれば、米国S&P500株価指数構成銘柄の2019/10-12月決算は、実績および予想の合計ベースで純利益が前年同期比0.9%増となった。2020/1-3月利益予想が同2.1%増、2020年通年でも前年比0.7%増が見込まれている。ただし、2/14までの年初来騰落率がプラスの業種であっても、消費(一般消費財)や資本財のように減益見通しのものも含まれている。

「情報技術」は新型コロナウイルスへ言及した企業数が多いものの、年初来上昇率が高い。関連リスクの把握が難しいことから株価への織り込みが進んでいない可能性もあろう。その一方、言及する企業が少ない業種は当該リスクの影響が小さいと考えられよう。

【S&P500業種別株価と企業業績~株価は業績見通しを織り込んでいるか?】

 

■ナスダック指数のダイバージェンス

2/5時点では、米国株式市場は中国の浙江大学で新型肺炎に効果的な治療薬を発見したと伝えられて大幅に上昇し、ナスダック総合株価指数が2/4に続き過去最高値を更新していた。ただし、過去14日間の上げ幅(前日比)の合計と、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字の比率(%)であるRSI(相対力指数)が指数の上昇の動きとは逆に低下する現象が発生していた。テクニカル分析上はこれをダイバージェンス(逆行)と言い、相場転換を示唆する有力なシグナルと見られる場合が多い。

ナスダック上場のテスラ(TSLA)の株価が2/4に前日終値比24.2%高まで上昇後、2/5に前日高値から27.3%安まで下落するなど乱高下していた。相場の転換点を用心すべき局面だったと言えよう。

【ナスダック指数のダイバージェンス~2/5のナスダックとテスラのチャート】

 

■NYSEのFANG+指数

フェイスブック(FB)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)、アルファベット(GOOGL)などのFAANG銘柄を中心とした売買高の多いテクノロジー企業から構成されるNYSE FANG+指数、およびS&P500株価指数の過去3年の推移を見ると、NYSE FANG+のパフォーマンスがS&P500を大きく上回っていることが分かる。

ただし、NYSE FANG+をS&P500(ともに日足終値ベース)で割った倍率では2/19の1.153倍まで上昇し、2018/6に付けた1.100倍を超えて過去最高倍率となった。これはS&P500と比較してNYSE FANG+が歴史的に割高な水準であることが示唆されている面があろう。FAANG銘柄は上記の倍率が低下したところが買いの機会かも知れない。

【NYSEのFANG+指数~S&P500指数との比較では2018/6以来の高水準へ】

 

■中国消費者物価が上昇加速

2/10に中国国家統計局が発表した消費者物価指数(1月)は前年同月比5.4%上昇と8年3ヵ月ぶりの高水準となった。その内訳は、特にASF(アフリカ豚熱)の影響で豚肉価格が同2.1倍まで高騰したほか、牛肉や羊肉、更には生鮮野菜も価格高騰が加速した。新型肺炎の感染拡大により物流が滞ることや、食品を買いだめする事態が起きており、食料品価格高騰の加速が市民生活を圧迫することが懸念される。

中国の豚肉・牛肉価格の高騰は国際相場を押し上げ、海外から輸入して仕入・加工する食品メーカーが対応を迫られよう。対応策として植物肉などの代替肉に参入する動きの加速が考えられる。代替肉市場の拡大は先行するビヨンド・ミート(BYND)などへの追い風となろう。

【中国消費者物価が上昇加速~ASF(アフリカ豚熱)、新型肺炎の影響も】

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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