【米国マンスリー 2019年8月号(2019年7月31日作成)】“FOMC後~FOr More interest rates Cut?”

 

■2019年4-6月期のGDP速報値

商務省が7/26に発表した4-6月期の実質GDP速報値(季節調整後)は、前期比年率換算2.1%増。伸び率は前期の3.1%から減速したものの、市場予想の1.8%を上回った。貿易戦争などの影響により企業部門が低迷。民間設備投資は同0.6%減となり、約3年ぶりのマイナス。輸出や民間在庫も落ち込んだ。

一方、GDPの約7割を占める個人消費支出は、株高による資産効果などを背景に同4.3%増。2017年10-12月期以来の高い伸び率となり、低調だった前期からの回復を示した。また、政府機関閉鎖の解除を受け、政府支出も拡大。雇用市場も堅調を維持しており、個人消費主導の経済成長が続くか。(増渕)

【市場予想を上回った4-6月の実質GDP成長率~好調な個人消費が牽引】

 

■6月の雇用統計のレビュー

労働省が7/5発表した6月の雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比22.4万人増。増加幅は前月の7.2万人から回復し市場予想の同16万人増も上回った。失業率は3.7%と49年ぶりの水準だった前月から0.1%pt上昇したが歴史的な低水準に留まった。平均時給は同3.1%増の27.90ドルと11ヵ月連続で3%台の伸びを維持。労働市場の堅調さを表す内容だったといえよう。

7/3発表の6月のADP雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比10.2万人増に留まり市場予想も下回った。弱い数字が出るとの見方が燻っていたため、懸念を払拭する格好となった。8/2に7月の雇用統計が発表予定。(増渕)

【6月の雇用統計では非農業部門就業者数が回復~景気懸念の後退へ】

 

■リスクオフの円高も変化の兆し?

財務省の「本邦対外資産負債残高(2018年末時点)」をよると、日本の企業・政府・個人の海外資産から負債を引いた対外純資産残高は341兆5,560億円(2位ドイツの260兆2,760億円)に達した。世界最大の対外債権国となっており、「リスクオフの円高」が進行しやすい大きな要因と言われている。

しかし、その内訳を見ると直接投資の資産・負債差額および構成比率が一貫して上昇している。買収した海外企業を手放すことは、リスク回避のために外国証券を売却して円転するように容易ではないだろう。日本企業の海外企業買収増加が為替相場に構造変化をもたらしており、米国株投資においてドル円相場を考える際に留意したい。(笹木)

【対外純資産は証券投資から直接投資中心へ~リスクオフの円高に変化も】

 

■S&P500構成企業の収益予想

市場参加者の米国企業業績への見通し推移を迅速に把握する上では、S&P500採用企業の利益予想を表すファクトセットの「Earning Insight」がデータの入手が容易であり利便性が高い。同「Earnings Insight」によれば、市場予想を上回る決算発表が多かったことから2019年2Q(4-6月)のS&P500構成企業の予想利益は7/12の前年同期比3.0%減から7/26の同2.6%減へ改善した。

3/31時点では同0.5%減だったことからから、2019/7に企業業績見通しが底打ちした可能性がある。しかし、2019年3Q(7-9月)業績見通しについてはIT関連や消費関連に上方修正の動きが見られる一方で、ヘルスケア関連は下方修正が相次いでいる。業種による業績見通し二極化の懸念は残る。(笹木)

【S&P500構成企業の収益予想~7/12から7/26にかけて見通しが改善】

 

■金先物が6年3ヵ月ぶりの高値

トランプ大統領は7/19、ペルシャ湾のホルムズ海峡で強襲揚陸艦USSボクサーがイランの小型無人機を撃墜したと明らかにした。中東情勢悪化で「有事の金」が買われる格好となり、この日のCMX金先物は一時1,454.40ドル/トロイオンスと6年3ヵ月ぶりの高値を付けた。

金はインカム・ゲインが生じないことから、金利低下局面で買われやすい資産である。FRBをはじめ主要中銀は金融緩和に転換していることから、もう一段の上昇の可能性もあろう。ただ、金地金や金連動型ETFは株式に比べボラティリティーが小さい分、魅力的な水準のリターンは期待しづらい。金鉱山を手掛けるニューモント・ゴールドコープ(NEMなど関連銘柄は金価格上昇に対し敏感に反応する可能性もあろう。(増渕)

【中東情勢の悪化で金先物が大幅上昇~関連銘柄は上昇のチャンスか!?】

 

■米金融大手の決算まとめ

金融大手の4-6月期決算が出揃った。個人向け融資の伸びを背景にJPモルガン・チェース& CoJPMなどは増益を確保した一方、投資銀行中心のモルガン・スタンレー(MSなどは減益となり、明暗が分かれた。世界景気の鈍化懸念から企業のM&Aや資金調達が低調となり、手数料収益が落ち込んだ。市場のボラティリティー低下のあおりを受け、トレーディング収益も低調だった。

4-6月期に好調だった商業銀業務だが、FRBの利下げによる利鞘縮小への懸念が残る。ただ、米国では個人が金利に比較的敏感に反応することが知られており、利下げ時にはカードローンなどを増やす傾向がある。個人向け業務を得意とするシティグループ(Cなどには追い風となる可能性もあろう。(増渕)

【大手金融6社の4-6月期決算~商業銀行と投資銀行で明暗わかれた】

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

増渕透吾プロフィール増渕 透吾
フィリップ証券株式会社:リサーチ部
1991年栃木県生まれ。2016年に広島大学大学院社会科学研究科社会経済システム専攻修了。経済学修士。国内証券で個人営業を経験し、2017年10月にフィリップ証券入社。米国株日本株アセアン株をカバーしている。ファイナンス的アプローチや理論に沿った考え方、データを用いた計量的な検証を心がけている。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員補。

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