【投資戦略ウィークリー 2020年7月13日号(2020年7月10日作成)】”海外マネーは日本株にポジティブな姿勢へ”

 

■”海外マネーは日本株にポジティブな姿勢へ”

  •  7/6、米国勢2社が日本企業への投資に対しポジティブな姿勢を示した。先ず、資産運用世界最大手のブラックロックが、7/6付の週次コメンタリーで日本株へのスタンスを上方修正。日本株の格上げは以前から可能性が言及されていたが、従来のアンダーウエイトから中立に1ランク格上げした。主な理由は「強力な財政政策と公衆衛生対策が採られ、迅速な正常化が可能となろう」というものである。その他にも、中国の貿易相手国であることから中国の景気回復との密接な関連を挙げている。その他の地域では、ユーロ圏を経済の再起動と政策への期待からアンダーウエイトからオーバーウエイトへ2ランク格上げした。その一方、米国をオーバーウエイトから中立へ1ランク格下げ、新興国市場を中立からアンダーウエイトへ1ランク格下げとした。更に、ファクター別では、バリュー投資をアンダーウエイトから中立に1ランク格上げしていることが注目される。FAANG銘柄などの米国企業のグロース投資から日本企業の純資産価値の割安さに着目したバリュー株投資へシフトしようとしている投資マネーの存在が窺われる。
  •  次に、米大手投資会社のブラックストーン・グループが新型コロナウイルス危機後の訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の回復を見込み、日本の観光関連企業への投資を検討する意向を明らかにした。感染拡大で蒸発した需要が今後2-3年で一定程度回復し得ると想定し、医薬品・医療分野、物流サービスとともに対日投資で注視する3分野の一角に位置付けた。折しも7/10、国土交通省が、国内旅行の代金を補助する「Go To トラベル」事業について8月上旬としていた開始目標を前倒しし、7/22以降の旅行であれば支援対象とすることを発表した。日本の観光関連企業への投資を睨む海外マネーの動きを後押しする効果が期待されよう。
  •  当面の日本株市場は、22,500円近辺で日経平均株価が膠着状態を強めるなか、中国の6月の製造業・サービス業PMI、米国のISM製造業・非製造業景況指数が堅調であることに加え、国内でも伊藤忠商事8001ファミリーマート8028へTOB(株式公開買付)を実施すると発表したことに伴い他の親子上場の子会社へのTOBへの期待が高まるなど株価へのポジティブな要因が増えつつある。コロナ禍の影響が不透明なことから、子会社の利益やキャッシュを企業グループ内に留めようという動きが増加するのではないだろうか。また、米国主要企業の4-6月期決算発表が7/13から始まることも日本株市場を刺激しやすい要因となり得よう。
  • 7/13号では、戸田建設(1860)、日東電工(6988)、三菱食品(7451)、イオンフィナンシャルサービス(8570)、テレコムニカシ・インドネシア(TLKM)を取り上げた。

 

■主な企業決算の予定

  • 7月13日(月): AVANTIA、インターアクション、カーブスHDS、クリエイトSDHDS、コーナン商事、サインポスト、サカタのタネ、スタジオアリス、タマホーム、デザインワン・ジャパン、ドトール・日レスHDS、モリト、ヤマシタヘルスケアHDS、ライク、ラクト・ジャパン、佐鳥電機、三栄建築設計、三機サービス、進和、大光、中本パックス、津田駒工業、東海ソフト、東洋電機製造、ペプシコ
  • 7月14日(火):Gunosy、IDOM、MORESCO、MrMaxHD、PR Times、S FOODS、SFPHDS、イズミ、いちご、エコス、カネコ種苗、キャンドゥ、クリエイト・レストランツ・HDS、サイゼリヤ、セラク、ネオス、ハブ、パルグループHDS、ライトオン、古野電気、松竹、前澤工業、東天紅、東宝、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、ファスナル、ファースト・リパブリック・バンク、デルタ航空、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
  • 7月15日(水): DDHDS、GameWith、RPAHDS、TOKYO BASE、インテリックス、サムティ、サンリツ、テラスカイ、ナカノフドー建設、バロックジャパンリミテッド、ファーマライズHDS、ブロンコビリー、ベイカレント・コンサルティング、ベクトル、ミツバ、メディアドゥ、ヨシムラ・フード・HDS、串カツ田中HDS、松屋、大庄、日置電機、日本フイルコン、日本国土開発、不二越、北の達人コーポレーション、ゴールドマン・サックス・グループ、ユナイテッドヘルス・グループ、USバンコープ、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
  • 7月16日(木): JBハント・トランスポート・サービシズ、PPGインダストリーズ、ネットフリックス、モルガン・スタンレー、トゥルイスト・ファイナンシャル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ドミノ・ピザ、アボットラボラトリーズ、バンク・オブ・アメリカ
  • 7月17日(金): パソナグループ、ステート・ストリート、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、リージョンズ・ファイナンシャル、カンザスシティー・サザン、ブラックロック

 

主要イベントの予定

  • 7月13日(月)

・第3次産業活動指数(5月)

・英中銀総裁とNY連銀総裁がオンラインセミナーで講演

・米財政収支 (6月)

・中国経済全体のフ ァイナンス規模、新規融資、マネーサプライ (6月、15日までに発表)

 

  • 7月14日(火)

・鉱工業生産・設備稼働率(5月)

・米セントルイス連銀総裁がオンライン討論会に参加

・OPECプラスが会合(15日まで)、OPEC月報

CPI (6)

・ユーロ圏鉱工業生産 (5月)、独CPI (6月)、独ZEW期待指数 (7月)、英鉱工業生産 (5月)

中国貿易収支 (6)、シンガポールGDP(2Q)

 

  • 7月15日(水)

日銀金融政策決定会合、終了後に結果と展望リポートを発表、黒田総裁が会見

・GMOフィナンシャ ルゲート、アイキューブドシステムズ、KIYOラーニングが東証マザーズに新規上場

・東京販売用マンション(6月)、 訪日外客数(6 月)

・米フィラデルフィア連銀総裁がオンライン討論会に参加、地区連銀経済報告(ベージュブック)

・米輸入物価指数 (6月)、鉱工業生産(6月)

・英CPI (6月)

 

  • 7月16日(木)

・対外・対内証券投資 (7月5 -11日)

・米シカゴ連銀総裁がロッキーマウンテン・エコノミック・サミット(オンライン)に参加、ニューヨーク連銀 総裁がオンラインセミナーに参加

ECBが政策金利発表、ラガルド総裁記者会見

・韓国中銀が政策金利発表、インドネシア中銀が政策金利発表

米新規失業保険申請件数 (711日終了週)、小売売上高 (6)企業在庫 (5月)、NAHB住宅市場指数 (7月)、対米証券投資 (5月)

・欧州新車販売台数 (6月)、英失業率 (3-5月)

中国GDP (2Q)、中国工業生産・小売売上高・都市部固定資産投 資(6月)、中国新築住宅価格(6月)、豪雇用統計(6 月)

 

  • 7月17日(金)

・英中銀総裁がオンラインセミナーで講演、臨時EU首脳会議(18日まで)

・米住宅着工件数 (6月)、 ミシガン大学消費者マインド指数 (7)

・ユーロ圏CPI (6月)

  • 7月18日(土)

G20財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

 

■NYSE_FANGプラス指数が堅調

米国株式市場の中でもナスダック総合指数が他の主要株価指数を上回る堅調さを示している。ナスダック総合指数を米国を代表する株価指数であるS&P500で割った倍率は、7/8に3.31倍となった。これはITバブル、ドットコムバブルと言われた2000年3月以来の高水準である。

ナスダック総合指数の終値が年内最安値を付けた3/23以降の上昇率で同指数を上回っているのがNYSE FANGプラス指数である。FAANG銘柄を中心にテスラTSLAエヌビディアNVDA)を含む10銘柄で構成されるNYSE FANGプラス指数は、アリババ集団BABAを除く9銘柄がナスダックの構成銘柄である。米国株の物色が巨大IT企業を中心とした特定の少数銘柄に偏り過ぎている点は、相場の持続性の点では懸念材料と言えよう。

NYSE FANGプラス指数が堅調~ナスダック総合指数/S&P500倍率も高水準

 

 

■アセアン4市場連続増益予想銘柄

アセアン4市場(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)における当社取扱い銘柄の1-3月決算発表に基づく純利益は、前期実績および当期市場予想見通しが増益となる企業が6銘柄だった。新型コロナウイルス感染の影響が不透明ななか、金融市場の変動性上昇に対応したヘッジ取引、巣篭り消費を支える加工食品、テレワーク普及に伴うデータ通信量の増加、中長期でキャッシュフローが安定した電力契約などを追い風とした企業が名を連ねていると言えよう。

その一方、上記6銘柄の7/8終値時点の年初来株価騰落率は、アフリカ豚熱(ASF)の影響が追い風となっているチャルーン・ポーカパン・フーズCPF以外はマイナスである。安定した利益見通しが株価に織り込まれていない面もあろう。

【アセアン4市場の連続増益予想6銘柄~年初来騰落率との比較では割安】

 

■旧電電ファミリーの富士通とNEC

6/25、NTT(9432)がNEC(6701)に4.77%を出資し、次世代の通信インフラの共同開発で提携すると発表。NECは、かつての「電電ファミリー」の主要企業であり、富士通6702と共に同ファミリーの中核的な位置付けの企業だった。NECは通信ネットワーク、富士通はシステムインテグレーションの分野で強みを持つが、ITバブルと言われた2000年3月最終週末の株価を100とした相対指数では、業績の違いなどを反映し、2005年半ば以降は富士通の方が高く推移している。

米中対立を背景に通信安保の観点から中国ファーウェイ排除の動きが強まるなか、NECはNTTとの提携を梃子に世界での携帯基地局などの市場シェア拡大を目指す方針。奏功すれば富士通に対する株価出遅れ解消も期待されよう。

【旧電電ファミリーの富士通とNEC5G海外展開でNECに出遅れ挽回余地も】

 

■アセアン株式ウィークリー・ストラテジー

7/13号「シンガポールの水問題」

シンガポールは水の半分以上を隣国マレーシアからの輸入に頼っている。現在有効なのは1962年に結んだ99年間の契約(1,000リットル当たり約0.16円相当)だが、マレーシアとの関係悪化次第で水の安定供給が損なわれることが懸案となっている。現在は需要の70%を汚水再生と海水淡水化で賄えるようになったが、水自給の国策の担い手である水処理大手のハイフラックスの再建が迷走しており、28億SGDに上る巨額債務の支払い猶予期限が7月末に迫っている。外国企業からの支援合意の破談に続き、経営者の不正会計疑惑も問題となっており、清算手続きへの移行の可能性も伝えられている。同社が建設した海水淡水化施設は政府が接収して運営しており、政府系のケッペル・コーポレーション(KEP)が水の自給に係る次の担い手として期待される。

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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