【投資戦略ウィークリー 2020年7月6日号(2020年7月3日作成)】”国策企業としての性格を強めるNTTグループ”

 

■”国策企業としての性格を強めるNTTグループ”

  •  NTT(9432)グループが国策を担う「日本連合プラットフォーマー」としての性格を強めつつある。先ず第1に、次世代5G通信インフラ整備に関し、政府が新型コロナウイルス感染を機に社会全体のデジタル化を進めるための法改正に着手し、あらゆるモノがネットに繋がる「IoT」時代を見据え、国土全体で5G通信インフラの整備を進めると伝えられた。法改正を踏まえ、総務省が不採算地域での光ファイバー回線整備や非居住エリアへの5G基地局設置を支援する方針であり、基地局設置やネットワーク構築などの電気通信工事は安定した需要が見込まれよう。NTTを主要取引先とし、3グループへ寡占化を強める電気通信工事業界は要注目だろう。
  •  また、社会全体のデジタル化の基盤として欠かせないのは、キャッシュレス決済の普及と行政手続きのデジタル化だろう。キャッシュレス決済の普及にはカード会社や金融機関が支払う決済インフラ利用料の引下げ、および銀行間の決済システム(全銀システム)のフィンテック事業者への開放が求められる。行政手続きのデジタル化は、特別定額給付金オンライン申請の混乱に見られたようにマイナンバーカード関連のシステムの改善が急務だろう。どちらもNTTのシステム子会社が関わっている領域と見られる。
  •  次に、NTTが2030年までに全国の電話局網を使って自前の発送電網を整備し、再生可能エネルギー事業に本格参入すると伝えられた。既存の送配電網は電力会社が火力や原子力発電の電力を優先的に送る権利を押さえているため再生可能エネルギーが普及する妨げとなっていたが、問題解決が期待される。2030年の再生可能エネルギー比率22-24%の政府目標への支援となろう。
  •   さて、7/6-7/10の日本株市場は、6/30-7/2の日米中における重要な経済指標の発表を市場の波乱なく終えた翌週となり、景気の先行きの面から売られる可能性は小さいと見られる。他方、日経平均株価をテクニカル分析の一目均衡表で見ると、株価の変動性が低下しつつ日足転換線(直近9日間の高値と安値の平均価格)と日足基準線(直近26日間の高値と安値の平均価格)が22,300円台で収束しつつある。20,334円の押し目の価格を付けた5/22から、上昇後に急落して再度の押し目価格21,529円を付けた6/15までが17日間であることを考慮すると、日柄の類似性の観点では6/15から数えて17日目となる7/7前後に傾向が変化しやすい点に留意しておきたい。日経平均株価への寄与度が高いファーストリテイリング9983の決算日が7/9であることも要注意だろう。
  • 7/6号では、ミライト・ホールディングス(1417)、ザ・パック(3950)、日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)、エヌ・ティ・ティ・データ(9613)、チャルーン・ポーカパン・フーズ(CPF)を取り上げた。

 

■主な企業決算の予定

  • 7月6日(月):アドバネクス、キャリアリンク、トーセイ、パイオラックス、フジ、ベルク、マニー、薬王堂HDS、髙島屋
  • 7月7日(火):TAKARA & COMPANY、イオンモール、サンエー、ダイコー通産、ハニーズHDS、ユナイテッドスーパーマーケットHDS、ペイチェックス
  • 7月8日(水):イオンイオンフィナンシャルサービスウエルシアHDS、サーラコーポレーション、ディップ、ファミリーマート、ポプラ、ヨンドシーHDS、井筒屋
  • 7月9日(木):SHIFT、オオバ、くら寿司、セブン&アイ・HDS、トーセ、ナルミヤ・インターナショナル、ファーストリテイリング、リソー教育、ローソン久光製薬、三協立山、小津産業、竹内製作所、島忠、日本農薬、乃村工藝社、北興化学工業、毎日コムネット、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス
  • 7月10日(金):ADEKA、E・JHDS、Usen-Next Hold、アスクル、アレンザHDS、イワキ、エコートレーディング、エスケイジャパン、エストラスト、オーエスジー、オンリー、オンワードHDS、キリン堂HDS、コシダカHDS、コスモス薬品、システムインテグレータ、ジンズHDS、セントラル警備保障、ダイト、タキヒヨー、トランザクション、トレジャー・ファクトリー、ファーストコーポレーション、フィル・カンパニー、プレナス、ヤマザワ、ヤマトインターナショナル、ライフコーポレーション、リテールパートナーズ、リンガーハット、ローツェ、ワッツ、安川電機、柿安本店、丸善CHIHDS、技研製作所、黒谷、日本エンタープライズ、日本毛織、明光ネットワークジャパン、良品計画

 

主要イベントの予定

  • 7月6日(月)

・米ISM非製造業総合 景況指数 (6月)

・ユーロ圏 小売売上高 (5月)、独製造業受注 (5月)

 

  • 7月7日(火)

・Branding Engineer、東証マザーズ に新規上場

・毎月勤労統計-現金給与総額・ 実質賃金総額・家計支出(5月)、外貨準備高(6月)、景気先 行CI指数・景気一致指数 (5月)

・米 サンフランシスコ連銀総裁とリッチモンド連銀総裁がオンライン討論会に参加

・豪中銀が政策金利発表、マレーシア中銀が政策金利発表

・米求人件数 (5月)

・独鉱工業生産 (5月)

・中国外貨準備高 (6月)

 

  • 7月8日(水)

・経常収支・貿易収支 (5月)、 銀行貸出動向(6月)、倒産件数(6月)、景気ウォッチャー調査 現状判断・先行き判断(6 月)

・北朝鮮、故金日成主席死去 から26年

・米消費者信用残高 (5月)

 

  • 7月9日(木)

・日銀支店長会議で黒田総裁あいさつ、日銀が地域経済報告(さくらリポ ート、7月)を公表、対外・対内証券投資 (6 月28日-7月4日)、マネーストックM2・M3 (6月)、コア機械受注(5月)、工作機械受注(前年比) (6月)

・ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)

・米新規失業保険申請件数 (4日終了週)、米卸売在庫 (5月)

・独貿易収支 (5月)

・中国CPI・PPI (6月)

 

  • 7月10日(金)

・Speeeが東証ジャスダックに新規上場

・国内企 業物価指数 (6月)

・国際エネルギー機関(IEA)月報、EU財務相理事会

・シンガポール総選挙

・米PPI (6月)

・中国経済全体のファイナンス規模、 新規融資、マネーサプライ (6月、15日までに発表)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

 

■FRBバランスシート拡大と資産価格

FRBのバランスシート総額は昨年8月末の3兆8,078億ドルから拡大傾向にあったが、コロナ禍に対応するため無制限に米国債などの資産を買い入れる金融緩和策への方針転換により拡大ペースが加速化した。このことが米国株価における3月下旬以降の上昇の主な原動力になったと考えられる。FRBバランスシート総額は6月第2週に7兆2,176億ドルまで拡大後、2週連続で縮小し6月第4週に7兆1,309億ドルとなった。株価上昇に一服感が見られる主な要因かも知れない。

また、直近の金先物価格は2011-12年と同水準だが、FRBのバランスシートは当時の2倍以上に膨らんでいる。当時の金先物価格が短期的に買われ過ぎだった面があるとしてもバランスシート額との比較では金先物価格が割安な面もあろう。

FRBバランスシート拡大と資産価格~米国株価および金価格への影響に注目

 

■より鮮明になってきた中国経済回復

6/30に発表された6月の中国製造業PMI(購買担当者景気指数)は5月の50.6から上昇し50.9となった。民間企業や輸出企業を調査対象とする財新・マークイット製造業PMIの6月は51.2と2ヶ月連続で上昇した。中国製造業PMIは新型コロナウイルス流行が経済活動を直撃した2月(35.7)から回復し、拡大と縮小の節目である50を4か月連続で上回った。

中国の銅地金消費が世界の約5割を占めることもあり、中国経済回復を受けてLME銅3ヵ月先物価格が今年1月の水準まで回復するなど資源価格は総じて堅調に推移。また、ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数も5月中旬の400ポイント割れから4.5倍以上に上昇した。資源分野に強い商社株や海運株などに見直し余地があろう。

【より鮮明になってきた中国経済回復~資源価格上昇、海上荷動き活発化】

 

■日銀短観6月調査の注目点

7/1発表の日銀短観(2020年6月調査)の業況判断は、大企業製造業の「最近」が▲34、「先行き」が▲27となり、大企業非製造業の「最近」が▲17、「先行き」が▲14だった。大企業の業種別で「先行き」の「最近」からの改善幅が大きい順に見ると、「最近」の3ヵ月前からの悪化幅が大きい業種が並ぶなか、石油・石炭製品の「最近」の3ヵ月前からの悪化幅が相対的に小さい(▲14)点が注目される。原油などの資源価格の先行きを強気に見る経営者が多いためかも知れない。

また、設備投資計画の前年比を全産業・全業種では、業務効率化などのソフトウエア投資が前年比プラスを維持したほか、固定資産投資も駅前再開発や街づくり、倉庫など物流関係を中心に前年比プラスに回復した点が注目されよう。

【日銀短観6月調査の注目点~先行き判断改善見通し業種と設備投資】

 

■アセアン株式ウィークリー・ストラテジー

7/6号「植物油需要の高まりの潮流」

揚げ油やマーガリンなどに使うパーム油の国際価格が5月以降に上昇に転じた。中国で新型コロナウイルス流行が落ち着き外食需要が戻り始めたこと、コロナ禍に伴う巣篭もり消費の広がりを受けて即席めんやスナック菓子向け需要が堅調であるほか、バイオディーゼル用途植物油として競合する大豆油の原料である大豆相場が4月以降に堅調であることもパーム油価格上昇に寄与。

また、日本では植物油などバイオマス素材の配合率が25%以上のものはレジ袋有料化の対象外となる動きが出てきており、植物油の需要拡大への追い風になると見込まれる。シンガポールのウイルマー・インターナショナル(WIL)ゴールデン・アグリ・リソーシズ(GGR)、タイのタイ・ベジタブル・オイル(TVO)、マレーシアのIOI(IOI)など農業ビジネスを手掛ける企業が恩恵を受けよう。

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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