【投資戦略ウィークリー 2019年9月9日号(2019年9月6日作成)】“9月はボラティリティが高まりやすい月”

 

■9月はボラティリティが高まりやすい月

  •  9/2週の日本株相場は、9/2-3が東証1部売買代金で3兆円台、9/4が1.6兆円弱と前例のない低調な商いだった。「閑散に売り無し」の相場格言通り日経平均株価で20,500円の下値を意識した底堅い動きだったが、9/5に同売買代金で2.5兆円弱に増加し、節目の21,000円を超えて9/6に21,200円台に達した。「陰極まれば陽転す」の格言を地で行く展開となった。
  •  日経平均の21,000円水準は、当ウィークリー4/1号「イチロー選手の引退と日経平均21,000円」で既述の通り中長期的にも相場の重要節目であり、2015年6月に年足高値20,952円、同年8月にも20,946円を付けた。2018年は2/14に20,950円まで下落した後で2/27に22,502円まで反発、10/26に20,971円まで下落した後で12/3に22,698円まで戻した。今年に入ってからも、3/11に20,933円、3/25に20,911円、5/14に20,751円、6/13に20,932円、7/18に20,993円を付けた後に一旦は反発局面に転じるなど、重要な価格としての役割を果たしてきたことがわかる。中長期的かつ短期的観点からも売り買いの需給が均衡しやすく節目になりやすい水準として今後も要注意だろう。
  •  次に、9月に日経平均の変動率が上昇する傾向があることに注意が必要だ。2017年は解散総選挙が話題となる中、9/8に19,239円の底値を付けた後で11/9の23,382円まで上昇、2018年は夏場以降のトルコリラ問題を引きずる展開の中、トルコ中銀による25%利上げを契機に9/14に23,000円の上値抵抗ラインを突破して10/2の24,448円まで上昇した。今年も9/5以降の動きは9月の変動率上昇を示唆していよう。2017年は9/8、2018年は9/14が先物・オプション取引の最終決済期日の重なるMSQ(メジャーSQ)日であり、今年のMSQは9/13である。
  •  ただし、10月以降を見ると2017年や2018年とは状況が異なる。2017年はトランプ政権1年目で株式市場に楽観ムードが拡がったが、2018年は10/4のペンス米副大統領演説により米中冷戦の開始が意識され始め、今年も既にトランプ米大統領による対中関税発動が5/5、8/1に発表されて株式市場に冷水を浴びせている。これらはいずれも米企業の1-3月期、4-6月期の決算発表が一巡して株価が高値圏にある時期だった共通点があり、今年も7-9月期決算発表時期は要注意だろう。(笹木)
  •  9/9号では、小松製作所(6301)、ホンダ(7267)、ワークマン(7564)、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)、三井物産(8031)、クレディセゾン(8253)を取り上げた。

 

 

■主な企業決算の予定

  • 9月9日(月):ミライアル、Casa、アルトナー、萩原工業、トーホー、学情、ライクキッズネクスト、ビューティガレージ
  • 9月10日(火):丹青社、サムコ、シーイーシー
  • 9月11日(水):東京ドーム、オハラ、グッドコムアセット、日東製網、正栄食品工業、Hamee
  • 9月12日(木):アスクル、トーエル、ジャパンミート、神戸物産鎌倉新書、アイモバイル、三井ハイテック、ジェイ・エス・ビー、稲葉製作所、ネオジャパン、シーアールイー、ミサワ、ブラス、クローガーブロードコム
  • 9月13日(金):エニグモ、フリービット、ユー・エム・シー・エレクトロ、丸善CHIホールディングス、ナイガイ、エイチーム、ヤーマン、ファーストロジック、鳥貴族

 

主要イベントの予定

  • 9月9日(月)

・国際収支統計(7月)、GDP確報値(2Q)、銀行貸出動向(8月)、景気ウォッチャー調査(8月)

・独貿易収支(7月)、英・離脱延期法案成立の可能性(早ければ議会閉会も)、英鉱工業生産(7月)

・世界エネルギー会議(WEC)(アブダビ、12日まで)

・北朝鮮建国記念日

・米消費者信用残高(7月)

・中国経済全体のファイナンス規模、 新規融資、マネーサプライ(8月、15日までに発表)

 

  • 9月10日(火)

・マネーストックM2(8月)、マンパワー雇用調査(4Q)、工作機械受注(8月)

米アップル・イベント開催(カリフォルニア州クパチーノ)

・フランクフルト国際自動車ショーのプレスデー(11日まで、一般公開は14-22日)、英失業率(5-7月)

・米求人件数(7月)

中国CPI8月)、中国PPI8月)、中国アリババの馬雲会長が引退

 

  • 9月11日(水)

内閣改造・自民党役員人事、景況判断BSI大企業全産業(3Q)

・「一帯一路」香港サミット(12日まで)

PPI8月)、米卸売在庫 (7月)

・OPEC月報

 

  • 9月12日(木)

・「東京ゲームショウ」開幕(幕張メッセ、15日まで)

・対外・対内証券投資 (9月1-7日)、国内企業物価指数(8月)コア機械受注(7月)、東京オフィス空室率(8月)、第3次産業活動指数(7月)

欧州中央銀行(ECB)政策金利発表・ドラギ総裁記者会見、ユーロ圏鉱工業生産(7月)、独CPI(8月)

トルコ中銀政策金利発表、マレーシア中銀政策金利発表

・OPEC+会合(WECの一環)、国際エネルギー機関(IEA)月報

・米2020年大統領選挙に向けた民主党候補者討論会(ヒューストン)

CPI8月)、米新規失業保険申請件数(9月7日終了週)、米財政収支(8月)

 

  • 9月13日(金)

鉱工業生産・速報値(7月)、設備稼働率(7月)

・中国市場は祝日のため休場

・ユーロ圏財務相会合

・米輸入物価指数(8月)、米小売売上高(8月)米ミシガン大学消費者マインド指数(9月)、米企業在庫(7月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

製造業・非製造業で景況感に差

米供給管理協会(ISM)が9/3に発表した8月の製造業景況指数は49.1と、3年ぶりに活動の縮小を示す50を下回った。市場予想は51.3であった。指数を構成する5項目のうち4項目が50を下回り、2016/1以来の水準に落ち込んだ。全18業種のうちアパレルや輸送機器など7業種が減速を報告。回答では、貿易摩擦を懸念する声が目立った。

一方、米ISMが9/6に発表した8月の非製造業景況指数は56.4と前月の53.7から大幅上昇。市場予想の54.0を上回った。全16業種のうち卸売業を除く15業種が成長を報告。ISMは「企業は引き続き関税や海外政治情勢の不透明さを懸念しているが、概ね楽観的」と指摘。製造業とは対照的な内容となった。貿易摩擦の影響を見定めたい。(増渕)

 

 

日・米・独・伊の長期金利動向

日・米・独・伊の10年国債利回り推移を見ると、米と伊、日と独が各々概ね同水準で推移してきており、更に以下の点を読み取ることができる。①伊金利は米金利が上限となりつつも超えた場合はその期間が短い。②2019/4以降は独金利が日本金利を下回り、現在までその較差が拡大している。③現在は伊金利が米国金利を大きく下回っている。

米金利は経済成長率を反映し、伊金利は財政に係る国債の信用リスクを反映している面があろう。また、②については、独だけでなく米や伊の金利低下速度と比較しても日本の金利低下速度が遅く、日本は金利面で他の先進国と比較して相対的に引き締め気味という見方もできる。日本株の出遅れが目立つ要因の一つとも考えられよう。(笹木)

 

製造拠点の脱中国でASEANシフト

トランプ政権は対中制裁関税「第4弾」を9/1付で発動。1,100億ドル相当分の中国製品を対象に15%の追加関税を課した。年末商戦に配慮して先送りしたスマホやノートPCなど1,600億ドル相当分についても12/15に追加関税を課す予定。中国も報復措置を発動した。

貿易摩擦が激化する中、中国で生産体制を拡充してきた日米企業はサプライチェーンの見直しを迫られている。かつては「世界の工場」と呼ばれた中国であるが、人件費高騰などにより生産拠点として以前ほどの魅力はなくなっている。アジアやアフリカなどへの生産拠点シフトを後押ししそうだ。特に、政情が比較的安定しており、開かれた経済圏を形成するASEANは、次なる「世界の工場」としての躍進が期待される。(増渕)

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

増渕透吾プロフィール増渕 透吾
フィリップ証券株式会社:リサーチ部
1991年栃木県生まれ。2016年に広島大学大学院社会科学研究科社会経済システム専攻修了。経済学修士。国内証券で個人営業を経験し、2017年10月にフィリップ証券入社。米国株日本株アセアン株をカバーしている。ファイナンス的アプローチや理論に沿った考え方、データを用いた計量的な検証を心がけている。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員補。

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