【投資戦略ウィークリー 2019年9月2日号(2019年8月30日作成)】“株式持ち合いに関する動きが意味するもの”

 

■株式持ち合いに関する動きが意味するもの

  •  8/26週の日本株相場は、8/23の「トランプ・ショック」を受けて日経平均で2万円割れの懸念が強まったものの、8/26の寄付き後に20,173円の安値を付けた後は20,500円を意識した狭い値動きの中で落ち着いた動きを示した。8/23に米トランプ大統領は中国の追加関税発表に対し既に関税を課している2,500億ドル相当の中国製品への関税を10/1以降に現在の25%から30%に引き上げ、新規に9/1と12/15に分けて課す予定の中国製品3,000億ドル相当に対する「関税第4弾」についても税率を追加で5%引き上げる対抗措置を発表。更に米企業に対して中国からの事業撤退を要求するなど強硬な内容だった。
  •  日経平均の加重平均PBR(株価純資産倍率)1倍割れを意識したファンダメンタルズからの割安感だけでなく、年金資金のポートフォリオリバランス需要などの月末要因などから、日本株相場に底堅さが示された面もあろう。8/30には米中対立姿勢の緩和から日経平均も20,750円近辺まで上昇する局面があった。需給面を日柄から見ても、日経平均の2018年の安値を付けた昨年12/26から今年の高値を付けた4/24まで79取引日に対し、翌4/25から8/26までの取引日数も79日である。売り優勢からの転換局面に向けて機が熟しつつあるかも知れない。
  •  日本株に関しては株式持ち合いで相反する動きが見られた。まず、8/28にトヨタ自動車7203スズキ7269が「自動運転分野を含めた新たなフィールドでの協力」推進のため双方が株式を持ち合う資本提携を発表。トヨタの国内乗用車メーカーへの出資は、ダイハツ工業、SUBARU7270マツダ7261に次いで4社目となるが、これはトヨタが「CASE」の変革期において広範な分野・会社を取り込みつつ、データ主導経済下の「巨大プラットフォーマー」を目指す動きでもあろう。
  •  その一方、8/28にリクルートホールディングス6098が13社に保有されている1億2,150万株(発行済み株式数の約7%)を売り出すと発表。企業統治やROEの観点から問題視されてきた株式持ち合いの解消に繋がるものと期待される。政策保有株式を売却した企業も売却資金による自社株買いなど株主還元を迫られよう。また、リクルート自身も自社株買いを発表。持ち合い株式の比率が大きい企業には注目が集まろう。(笹木)
  •  9/2号では、明豊ファシリティワークス(1717)、DIC(4631)、ビーイング(4734)、日本エム・ディ・エム(7600)、豊田通商(8015)、東京ドーム(9681)を取り上げた。

 

 

■主な企業決算の予定

  • 9月2日(月):ピジョン、伊藤園、ロック・フィールド
  • 9月3日(火):不二電機工業、泉州電業
  • 9月4日(水):モロゾフ、東京楽天地、ティーライフ、コパート
  • 9月5日(木):スバル興業、ザッパラス、積水ハウス、フジ・コーポレーション、日本ハウスホールディングス、ラクーンホールディングス
  • 9月6日(金):日本駐車場開発、ベステラ、くら寿司、クミアイ化学工業、ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス、カナモト、gumi、ファースト住建、トップカルチャー、アイル

 

 

主要イベントの予定

  • 9月2日(月)

・設備投資(2Q)、企業利益(2Q)、企業売上高(2Q)、じぶん銀行日本PMI製造業 (8月)、自動車販売台数(8月)

・米株式・債券市場はレーバーデーの祝日で休場

・ユーロ圏製造業PMI(8月)、中国財新製造業PMI(8月)

 

  • 9月3日(火)

・マネタリーベース(8月)、営業毎旬報告(8月31日現在)

・米ボストン連銀総裁講演

・英議会再開

ISM製造業総合景況指数(8月)、米建設支出(7月)、ユーロ圏PPI(7月)、南アGDP(2Q)、韓国GDP(2Q)

 

  • 9月4日(水)

・「FIN/SUM 2019」(6日まで、都内)で黒田日銀総裁があいさつ

・日銀の片岡審議員が函館市で講演

・ゲーム開発者向けイベント「CEDEC2019」(パシフィコ横浜、6日まで)

・じぶん銀行日本PMIサービス業(8月)、じぶん銀行日本PMIコンポジット(8月)

・米ニューヨーク連銀総裁、米ミネアポリス連銀総裁、シカゴ連銀総裁講演

・米FRBボウマン理事と米セントルイス連銀総裁がイベントで開会の挨拶

米地区連銀経済報告(ベージュブック)

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」、米中関係に関する公聴会

・東方経済フォーラム(ウラジオストク、6日まで)

・米自動車販売(8月)、米貿易収支(7月)、ユーロ圏総合・サービス業PMI(8月)、ユーロ圏小売売上高(7月)、中国財新サービス業・コンポジットPMI(8月)、豪GDP (2Q)

 

  • 9月5日(木)

・「FIN/SUM 2019」(6日まで、都内)で麻生太郎金融相があいさつ

・対外・対内証券投資(8月25-31日)

ADP雇用統計(8月)、米非農業部門労働生産性(2Q)、米新規失業保険申請件数(8月31日終了週)、米製造業受注(7月)ISM非製造業総合景況指数(8月)、独製造業受注(7月)

 

  • 9月6日(金)

・ソフトバンクGが4000億円の無担保社債の利率決定(仮条件年1.2~1.8%)

毎月勤労統計現金給与総額(7月)実質賃金総額(7月)、家計支出(7月)、景気先行CI指数(7月)景気一致CI指数(7月)

・独家電見本市「IFA」開幕(ベルリン、11日まで)

米雇用統計(8月)、ユーロ圏GDP(2Q)、独鉱工業生産(7月)

 

  • 9月7(土)

・第76回伊ベネチア国際映画祭授賞式

・中国外貨準備高(8月)

 

  • 9月8日(日)

・中国貿易収支(8月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

景気動向指数は一致指数も低下

内閣府が8/26に発表した6月の景気動向指数(改定値)では、一致指数が100.4と前月比2.9%低下。内閣府は景気の基調判断を「下げ止まり」と、速報値から据え置いた。構成項目では、耐久消費財出荷指数や鉱工業用生産財出荷指数など鉱工業生産指数の項目が軒並み悪化。改定値から加わった所定外労働時間指数も落ち込んだ。

鉱工業生産指数は4-5月と大型連休を挟んで上昇し、6月に連休の反動が出た格好だ。8/22に発表された6月の全産業活動指数も鉱工業生産の減速の影響を受け前月比で下落。ただ、経産省が8/30に発表した7月の鉱工業生産指数(速報値)は前月比1.3%上昇の102.7と2ヵ月ぶりの上昇。GWの反動は徐々に吸収しつつあるようだ。(増渕)

 

 

 

JASDAQから東証1部上場への道

東証の市場構造の在り方等について5/30に東証が公表した見解では3市場への再編が想定されている。現状では東証1部への市場変更に係る基準においてJASDAQからの場合は時価総額(市場変更時見込み)が250億円以上であり、マザーズ(最近3ヵ月およびその前の3ヵ月間の各期間における月平均売買高が200単位以上の場合は40億円以上)と比較しても厳しい。

そこでJASDAQから東証1部への市場変更を目指す場合に、先に東証2部への市場変更を実現した上で1年以上経過後に1部への「鞍替え」を目指す例も見られる。2018年にJASDAQから東証2部への鞍替えを果たした企業の上場後1年以上経過後の動向には注目しておきたい。(笹木)

 

 

■アフリカ開発会議が横浜で開催

8/28に横浜市で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開幕した。安倍首相が共同議長を務め、麻生副総理が議長代理を務めた。アフリカ53ヵ国から42名の首脳級が参加したほか、国際機関や開発パートナー国、アジア諸国の代表なども出席。安倍首相は基調演説で、政府として3年間で200億ドル超の民間投資の実現を後押しする考えを表明。

公式サイドイベントとして開かれた「日本・アフリカビジネスEXPO」には前回の1.5倍の156社・団体が出展した。アフリカは人口が増えており、将来は有望な消費市場に育つ見通しだ。アフリカ各国で多彩な事業ポートフォリオを持つ豊田通商(8015)やナイジェリアに研究開発拠点を構える味の素(2802)など、今後の展開に注目したい。(増渕)

 

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

増渕透吾プロフィール増渕 透吾
フィリップ証券株式会社:リサーチ部
1991年栃木県生まれ。2016年に広島大学大学院社会科学研究科社会経済システム専攻修了。経済学修士。国内証券で個人営業を経験し、2017年10月にフィリップ証券入社。米国株日本株アセアン株をカバーしている。ファイナンス的アプローチや理論に沿った考え方、データを用いた計量的な検証を心がけている。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員補。

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世界経済のけん引役と期待されるアセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)。そのアセアン各国で金融・証券業を展開し、マーケットを精通するフィリップグループの一員である弊社リサーチ部のアナリストが、市場の動向を見ながら、アセアン主要国(シンガポールタイマレーシアインドネシア)の株式市場を独自の視点で徹底解説します。

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