【投資戦略ウィークリー 2019年8月5日号(2019年8月2日作成)】“今こそ見据えたい日本企業の潜在可能性”

 

■今こそ見据えたい日本企業の潜在可能性

  •  7/29以降の日本株市場は、日米中央銀行の金融政策を意識した動きから始まった。既に7/25に欧州中央銀行が2020年前半までに政策金利引下げを実施する可能性を示し、日銀への追加緩和期待、米FRBへの利下げ期待を強めていた。しかし、日銀政策決定会合が現状維持に留まり、米FOMCは25%ポイントの利下げを決定したものの「長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と市場の期待に応えるものではなかった。7/31のNYダウは前日比333ドル安の大幅下落となったが、米FRBの利下げ期待の後退が円安ドル高を通じて日本株を支えた面もあり、8/1の日経平均は前日比19円高と踏ん張った。
  •  ところが、8/1に米トランプ大統領は、9/1より対中国関税第4弾(3,000億ドルに対して10%)を実施する旨をツイッターで発表。これを受け、NYダウは前日比280ドル安と大幅続落。ドル円相場は107円割れと前日高値の109円30銭台から急激に円高ドル安方向に振れ、8/2の日経平均は21,000円割れの大幅下落となった。4-6月期の決算発表が本格化する中で市場予想ほど悪くない主要銘柄の決算発表が相次ぎ買戻しを中心に買われる動きも見られたものの、米中貿易摩擦リスクが一挙に顕在化したことでかき消された形となった。米中貿易摩擦は簡単に合意できる問題ではなく、今後も構造的に世界経済に重くのしかかるものであることが改めて認識されたと言えよう。
  •  足元での先行き不透明感が強まる中、データが「21世紀の石油」と呼ばれるデータ主導経済における日本企業、特に製造業の未来は決して暗いものではない。日本企業は優れた技術を持ちながら多様な事業を抱え込んで資産や株主資本を有効活用できない「コングロマリット・ディスカウント」の代表例と言われがちである。しかし、「超高速かつ超低遅延」のデータが行き交う5G通信時代には、多様な機械・設備がIoT(Internet of Things)技術を通じてデータが行き交い、高度な3Dプリンティング技術を通じた「自動製造プラットフォーム」に変貌する大きな可能性を秘めている。特に、ソフトウェア技術に長けているシステム子会社を有している製造業の企業グループは、企業統治改革や事業再編を通じてその強みを顕在化させていくことによって有望な投資対象となるものと期待されよう。(笹木)
  • 8/5号では、日鉄ソリューションズ(2327)、ZOZO(3092)、大陽日酸(4091)、富士通(6702)、任天堂(7974)、ヤマトインターナショナル(8127)を取り上げた。

■主な企業決算の予定

  • 8月5日(月):住友ベークライト、東洋紡、三菱重工業、日本水産、SUBARU、紀陽銀行、コンコルディアFG、第一興商、不二製油グループ本社、太陽誘電、浜松ホトニクス、千葉銀行、スズケン、九州旅客鉄道、スズキ日本製鋼所ソフトバンク、マルハニチロ、大成建設、サントリー食品インターナショナル、ほくほくFG、アルフレッサHD、日本パーカライジング、北洋銀行、日立キャピタル、ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ、ロウズタイソン・フーズ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、アンシス、マリオット・インターナショナル、KLA
  • 8月6日(火):DMG森精機、鹿島建設明治HD、ジーエス・ユアサコーポレーション、三菱地所東海カーボン、リンナイ、ブラザー工業、堀場製作所、ダイキン工業、日本電信電話、名古屋鉄道、京阪HD、三菱UFJリース、ケーズHD、宝HD、五洋建設、SANKYO、横河電機、ライオン、沢井製薬、島津製作所、ゼンショーHD、ニコン、キリンHD、モザイク、ディスカバリー、フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ、エマソン・エレクトリック、デューク・エナジー、ベクトン・ディッキンソン、ゾエティス、ヘンリーシャイン、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー、アシュラント、マイクロチップ・テクノロジー、ウィン・リゾーツ
  • 8月7日(水):デンカ、日清紡HD大林組JXTG HD日清食品 HD、森永乳業、住友ゴム工業、コムシス HD、住友大阪セメント、クボタ、三浦工業、三菱マテリアル、THK、日本発条、丸一鋼管、昭和電工電通東京応化工業、三井住友建設、IHI、九州FG、アルバック、日本新薬、丸井グループCVSヘルスブッキングHD、アルベマール、スカイワークス・ソリューションズ、トリップアドバイザー、AIG、マラソン・オイル、センチュリーリンク、モンスタービバレッジ
  • 8月8日(木)日揮、DIC、前田建設工業、バローHD、岩谷産業、クラレ、大塚HD、ニプロ、大和ハウス工業、近鉄グループHD、長谷工コーポレーション、バンダイナムコHD、ネクソン、楽天、ダスキン、ペプチドリーム、前田道路、東京急行電鉄、伊予銀行、三井金属鉱業住友金属鉱山、みらかHD、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、関西ペイント、テルモカーディナルヘルスバイアコム、ニューズ・コーポレーション、クラフト・ハインツ、ノルウェージャンクルーズラインHD、DXCテクノロジー、CBS、シマンテック
  • 8月9日(金)TOYO TIRE、雪印メグミルク、戸田建設、東レ、ADEKA、阪和興業、リンテック、クレディセゾン、上組、イオンフィナンシャルサービス、凸版印刷パーソル HD、アイフル、日本郵政、マツモトキヨシHD、レオパレス21、かんぽ生命保険、朝日インテック、T&D HD、エアウォーターDOWA HD、サンドラッグ、ゆうちょ銀行、荏原製作所

 

主要イベントの予定

  • 8月5日(月)

ISM非製造業総合景況指数(7月)、ユーロ圏サービス業・総合PMI(7月)、中国財新サービス業・コンポジットPMI7月)、インドネシアGDP(2Q)

 

  • 8月6日(火)

・家計調査(6月)、毎月勤労統計(6月)景気動向指数(6月)

・米セントルイス連銀総裁、講演

・米国務長官、アジア太平洋地域歴訪が終了

・米求人件数(6月)、独製造業受注 (6月)

 

  • 8月7日(水)

日銀金融政策決定会合における主な意見(72930日分)

・米シカゴ連銀総裁、メディア向け朝食会を開催

・サムスン電子、「ギャラクシー・ノート10」の公開イベント(ニューヨーク)

・米消費者信用残高(6月)、独鉱工業生産(6月)、中国外貨準備高(7月)

 

  • 8月8日(木)

・国際収支(6月)、対外・対内証券投資(7月28日-8月3日)、個人向け貸出金(2Q)、貸出・預金動向(7月)、東京オフィス空室率(7月)、景気ウォッチャー調査(7月)

ECB経済報告

・米新規失業保険申請件数(3日終了週)、米卸売在庫(6月)、中国貿易収支(7月)、フィリピンGDP(2Q)

 

  • 8月9日(金)

・ステムリム、東証マザーズに新規上場

国内総生産(GDP4-6月速報)、マネーストック(7月)

国際エネルギー機関(IEA)月報

PPI7月)、英GDP(2Q)、英鉱工業生産(6月)、中国CPI・PPI(7月)、中国経済全体のファイナンス規模、新規融資、マネーサプライ(7月、15日までに発表)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。

 

■4-6月期の米国GDP速報値

商務省が7/26に発表した4-6月期の実質GDP速報値(季節調整後)は、前期比年率換算2.1%増。伸び率は前期の3.1%から減速したものの、市場予想の1.8%を上回った。貿易戦争などの影響により企業部門が低迷。民間設備投資は同0.6%減となり、約3年ぶりのマイナス。輸出や民間在庫も落ち込んだ。

一方、GDPの約7割を占める個人消費支出は、株高による資産効果などを背景に同4.3%増と好調に推移。2017年10-12月期以来の高い伸び率となり、低調だった前期からの回復を示した。また、政府機関の閉鎖解除後、支給が遅滞していた政府職員への報酬を支払ったことで政府支出も拡大した。労働市場は堅調を維持しており、個人消費主導の経済成長が続きそう。(増渕)

【市場予想を上回った4-6月の米GDP成長率~好調な個人消費が牽引】

 

■業種別の空売り比率と株価指数

東証公表の空売り集計データには東証全体の空売り比率を表す「空売り集計」のほかに、33業種ごとの「空売り業種別集計」がある。相場が弱気に傾いて空売り比率が高水準に達した後に株価が上昇した場合、損失拡大リスクを防ぐために買戻しを急ぐことで「踏み上げ」の株価急騰が見られる場合がある。

業種別空売り比率を見ると、空売り比率が55%を超えた後で50%を下回った場合に業種別株価指数の騰落率がプラスとなることが多く、投資戦略上も注目に値する。ただし、空売り比率が高水準になり易いかどうか、および空売り比率低下への株価指数の感応度など一様ではない。個別銘柄に着目する際には業種別株価指数と相関性が高い銘柄選択などにも要注意だろう。(笹木)

【業種別の空売り比率と株価指数~空売り比率55%超からの買戻しを探る】

 

■ニッパチ決算銘柄の配当取り

わが国では、様々な業界で12-1月の年末年始と6-7月の夏季に繁忙期を迎え、繁忙期の反動や気候要因により2月・8月が閑散期となる季節的傾向が見られる。俗に二八(ニッパチ)と呼ばれる現象である。繁忙期を避けて決算業務を行うことから、セブン&アイHD3382をはじめ、2月または8月を決算期末に選択する小売企業は多い。

月内には8月決算企業の期末配当のほか、2月決算企業の中間配当の基準日がある。ニッパチ決算銘柄の配当取りを狙うチャンスとなろう。東京靴流通センターなどを展開するチヨダ(8185)やカジュアルブランド「クロコダイル」を手掛けるヤマトインターナショナル(8127)は予想配当利回りが4%を超えており、投資妙味があろう。(増渕)

【今月は2月・8月決算銘柄の配当取り~小売企業にチャンスあり!?】

 

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笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

増渕透吾プロフィール増渕 透吾
フィリップ証券株式会社:リサーチ部
1991年栃木県生まれ。2016年に広島大学大学院社会科学研究科社会経済システム専攻修了。経済学修士。国内証券で個人営業を経験し、2017年10月にフィリップ証券入社。米国株日本株アセアン株をカバーしている。ファイナンス的アプローチや理論に沿った考え方、データを用いた計量的な検証を心がけている。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員補。

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