【投資戦略ウィークリー 2019年7月29日号(2019年7月26日作成)】“「データ資本主義」の新ビジネス「情報銀行」”

 

■データ資本主義の新ビジネス「情報銀行」

  •  7/21投開票の参院選では、自民、公明の連立与党は改選過半数の63を上回る71議席を獲得。想定通りの結果となり、市場の焦点は各国金融政策や貿易摩擦の動向に移った。選挙後の7/22は米セントルイス連銀のブラード総裁が次回FOMCで25bp以上の利下げは必要ないとの見解を示したとのWSJの報道を受け、TOPIXは前週末比49%安と反落。その後、米国のファーウェイに対する制裁緩和の思惑や米中貿易協議再開、コカ・コーラ(KOなど好調な米企業決算により上昇基調を辿り、3日続伸となった。ただ、堅調な米耐久財受注による利上げ期待後退やドラギECB総裁が予想ほどハト派的な見解を示さなかったことなどにより、7/26は反落して週を終えた。(増渕)
  •  データは今や「21世紀の石油」と呼ばれ、企業はネットワークを通じてユーザーに係るあらゆるデータを取得し、自社サービスに活用している。IoTの進展であらゆるデータが自由に流通し、ヒト・モノ・カネと同様にデータが経営資源の根本となる「データ資本主義」が訪れつつある。ただ、フェイスブック(FBの個人情報流出問題により自分の個人情報がどう使われているか把握できない現状が明らかになった。米国の「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)や中国の「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)などのプラットフォーマーが利便性と引き換えに収集した個人情報を対価なしで活用することが問題視され、規制導入に係る国際的議論が行われている。
  •  そのような流れの中、政府の未来投資会議における成長戦略では、「デジタル市場のルール整備」に重点が置かれた。6/26には日本IT団体連盟が三井住友信託銀行、フェリカポケットマーケティングの2社を情報銀行として国内で初めて認定。情報銀行とは、利用者の同意を得た上で購買履歴や年齢など個人情報を集めて他社に提供するサービスであり、利用者は見返りとして割引や利用者の属性・嗜好にあったサービスを受けるというものである。また、NTTデータ(9613は5/16に情報銀行基盤を2019年度めどに実用化する計画を発表した。情報銀行事業については、個人情報を取り扱うということもあり、安心感からメガバンクなど伝統的な企業が優位となる可能性がある。そうなれば、株価低迷を挽回するきっかけとなろう。(笹木)
  •  7/29号では、グンゼ(3002)、信越化学工業(4063)、中外製薬(4519)、オービック(4684)、サイバーエージェント(4751)、技研製作所(6289)を取り上げた。

 

■主な企業決算の予定

  • 7月29日(月)松井証券、田谷、トクヤマ、大正製薬ホールディングス、コクヨ、塩野義製薬、SMK、ニフコ、秋田銀行、キーコーヒー、フルサト工業、東京瓦斯、シミックホールディングス、小松製作所、さくらインターネット、ジューテックホールディングス、多木化学、フジッコ
  • 7月30日(火)岡三証券グループ、極東証券、大東建託、積水化成品工業、ヒューリック、ツガミ、三陽商会、東邦瓦斯、メイテック、川崎重工業、セガサミーホールディングス、インフォコム、内外トランスライン、住友理工、アステラス製薬、日本取引所グループ、丸三証券、いちよし証券、イーライリリー、コノコフィリップス、プロクターアンドギャンブル(PGアルトリアグループファイザーマスターカードメルク、モンデリーズ・インターナショナル、オールステート、アムジェン、ギリアド・サイエンシズ、アップル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD
  • 7月31日(水)デンソー、群栄化学工業、トーメンデバイス、菱電商事、豊田自動織機、日本金属、富士紡ホールディングス、NECネッツエスアイ、川崎汽船、三和ホールディングス、因幡電機産業、JALUX、清水建設、日本ゼオン、ツカモトコーポレーション、東洋水産、カワタ、LIXILビバ、サイモン・プロパティー・グループ、サザン、ゼネラルエレクトリック(GE、メットライフ、オキシデンタル・ペトロリアム、クアルコムフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA
  • 8月1日(木)太陽ホールディングス、クリエートメディック、アーク、小野薬品工業千代田化工建設、インターワークス、双日、科研製薬、ダイセル、三井化学東ソー、王子ホールディングス、大和工業、伊藤忠テクノソリューションズ、三菱商事、レイズネクスト、東邦銀行、相鉄ホールディングス、ベライゾンコミュニケーションズゼネラルモーターズ(GM
  • 8月2日(金)西松建設、丸紅、極洋、帝人、ミヨシ油脂、沖縄銀行、アイ・アールジャパンホールディングス、伊藤忠商事、ヤマタネ、日鉄鉱業、亀田製菓、住友商事旭化成、トピー工業、セブン銀行、琉球銀行、シンフォニアテクノロジー、トヨタ自動車シェブロンエクソンモービル
  • 8月3日(土)バークシャーハサウェイ

 

主要イベントの予定

  • 7月29日(月)

・ブシロード、東証マザーズ市場に新規上場

・商業動態統計(6月)

・ASEAN拡大外相会議(バンコク、8月3日まで)

 

  • 7月30日(火)

・日銀金融政策決定会合、終了後に結果と展望リポートを発表、黒田総裁会見

・楽天グループ最大規模のイベント「Rakuten Optimism 2019」、三木谷社長らが講演

・完全失業率(6月)、有効求人倍率(6月)、鉱工業生産指数(6月)

FOMC31日まで)

米中通商協議(上海、31日まで)、

・2020年米大統領選に向けた第2回民主党討論会(31日まで、デトロイト)

米個人所得(6月)米個人支出(6月)、米主要20都市住宅価格指数(5月)、米中古住宅販売成約指数(6月)、米消費者信頼感指数(7月)、ユーロ圏景況感指数(7月)、独CPI(7月)

 

  • 7月31日(水)

・ツクルバ、東証マザーズに新規上場

・貸出先別貸出金(6月)、自動車生産台数(5月)、住宅着工統計(6月)、消費動向調査(7月)

FOMC声明発表、パウエルFRB議長記者会見

ADP雇用統計(7月)、米雇用コスト指数(4-6月)、米シカゴ製造業景況指数(7月)、ユーロ圏GDP(2Q)、ユーロ圏失業率(6月)、ユーロ圏CPI(7月)、独失業率(7月)、中国製造業PMI7月)中国非製造業PMI7月)

 

  • 8月1日(木)

臨時国会が召集される

・対外・対内証券投資(7月21-27日)、自動車販売台数(7月)

・英中銀、政策金利発表・インフレ報告・カーニー総裁記者会見

・米新規失業保険申請件数(7月27日終了週)、米ISM製造業景況指数(7月)、米自動車販売(7月)、米建設支出(6月)、ユーロ圏製造業PMI(7月)、中国財新製造業PMI7月)

 

  • 8月2日(金)

日銀金融政策決定会合議事要旨(619-20日分)

・マネタリーベース(7月)、営業毎旬報告(7月31日現 在)

・第8回RCEP中間閣僚会合(3日まで、北京で)

米雇用統計(7月)、米貿易収支(6月)、米製造業受注(6月)、米耐久財受注(6月)、米ミシガン大学消費者マインド指数(7月)、ユーロ圏小売売上高 (6月)、ユーロ圏PPI(6月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

■「Society5.0の実現」に向けて

内閣府によると、Society5.0とはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会を表し、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(同2.0)、工業社会(同3.0)、情報社会(同4.0)に続く新たな社会を指す。

Society5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積され、サイバー空間ではこのビッグデータをAIが解析しその解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされ、新たな価値が産業や社会にもたらされることが期待される。安倍政権の未来投資会議で議論されている成長戦略は、有望な投資ヒントの宝庫かも知れない。(笹木)

 

【「Society5.0の実現」に向けて~「未来投資会議」から探る成長戦略】

 

■企業向けサービス価格は上昇

日銀が7/25に発表した6月の企業向けサービス価格指数は、前年同月比0.7%上昇し102.8。同指標は企業間で取引されるサービスの価格を示す。伸び率は前月から0.2%pt縮小し、2017/7以来の低い水準となった。燃料費下落の影響で、国際航空貨物輸送などが値下がりした。ただ、プラスは72ヵ月連続であり、企業間取引では価格改定が継続しているといえよう。マクロの需給バランスからも、インフレ・ギャップが10四半期続くなどインフレ圧力が確認される。

6月の同指数では、労働者派遣サービスや警備、運輸・郵便などの寄与が大きかったほか、インターネット広告の改善が目立った。こうしたセクターでは価格適正化が進んでいる可能性もあり、銘柄選定の参考にしたい。(増渕)

 

【企業向けサービス価格指数は72ヵ月連続上昇~価格適正化の進展か】

 

■米金融大手の決算まとめ

米金融大手の4-6月期決算が出揃った。個人向け融資の伸びを背景にJPモルガン・チェース& CoJPMなどは増益を確保した一方、投資銀行中心のモルガン・スタンレー(MSなどは減益となり、明暗が分かれた。世界景気の鈍化懸念から企業のM&Aや資金調達が低調となり、手数料収益が落ち込んだ。市場のボラティリティー低下のあおりを受け、トレーディング収益も低調だった。

4-6月期に好調だった商業銀業務だが、FRBの利下げによる利鞘縮小への懸念が残る。ただ、米国では個人が金利に比較的敏感に反応することが知られており、利下げ時にはカードローンなどを増やす傾向がある。個人向け業務を得意とするシティグループ(C)などには追い風となる可能性もあろう。(増渕)

 

【米大手金融6社の4-6月期決算~商業銀行と投資銀行で明暗が分かれた】

 

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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部

笹木和弘プロフィール笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は、個人投資家として活動する一方、投資セミナー講師としても活躍。テクニカル分析を得意とし、以前よりTwitterで米国市場関係者のアカウントをフォローし米国市場動向にも詳しい。アセアン諸国に長期滞在経験もあり、実用タイ語検定3級資格を保有するタイ通でもある。2019年1月にフィリップ証券入社、日本・米国・アセアン市場をカバー。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。

 

増渕透吾プロフィール増渕 透吾
フィリップ証券株式会社:リサーチ部
1991年栃木県生まれ。2016年に広島大学大学院社会科学研究科社会経済システム専攻修了。経済学修士。国内証券で個人営業を経験し、2017年10月にフィリップ証券入社。米国株日本株アセアン株をカバーしている。ファイナンス的アプローチや理論に沿った考え方、データを用いた計量的な検証を心がけている。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員補。

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