TOKYO PRO Market

JPX:J-Adviser インタビュー記事

日本唯一の国際ベンチャー市場を目指すTOKYO PRO Market。フィリップ証券株式会社は、TOKYO PRO Marketの前身であるTOKYO AIMにおいて第1号上場企業を担当し、その後合わせて9社(2015年3月末現在)の上場をサポートしてきました。同社のTOKYO PRO Marketに対する考え方と取り組みについて下山社長、脇本部長にうかがいました

下山 均(代表取締役社長)
脇本 源一(執行役員 コーポレートファイナンス部長)

TOKYO PRO Marketは、日本経済の活性化のために必要な市場である

TOKYO PRO Marketに取り組んだ経緯をお聞かせください。
下山 私が、2010年7月にフィリップキャピタルグループの日本法人であるフィリップファイナンシャルスの会長と、同じくグループの成瀬証券社長に就任したとき、TOKYO PRO Marketの前身であるTOKYO AIMは開設されて1年ほど経っていましたが、まだ上場している会社は1社もありませんでした。
しかし、TOKYO AIMが提唱していたいくつかの上場モデルのうち、日本唯一の国際ベンチャー市場としてマザーズやJASDAQと非上場の間を埋めるという発想には、「なるほど」と感じるところがありました。
では、そのように世の中のためになる市場なのに、なぜ上場企業がないのかとTOKYO AIMの方にお訊ねすると、上場の主幹事となる証券会社の動きが鈍いというのです。我々としては、「TOKYO AIMは、将来、世の中のためになる市場である」という思いがありましたので、TOKYO AIMの方から要請があった際、他の証券会社がどうであろうとやっていこうと手を挙げたのです。
翌年4月1日に、成瀬証券とフィリップファイナンシャルスが合併してフィリップ証券となりました。この動きの中で、6月にはTOKYO AIM上場の主幹事に必要なJ-Nomad(現在のJ-Adviser)資格の認定を受け、7月には第1号となる企業の上場を果たすことができました。
その後、TOKYO AIMはTOKYO PRO Marketへと姿を変えましたが、我々は一貫した取り組みを続けており、これまでに9社の上場を担当してきました。
「世の中のためになる市場」という部分について、もう少し具体的にご説明ください。
脇本 まず、日本は先進国の中でも非常に特殊な資本市場構造をしているということがあります。東証一部、二部、マザーズ、JASDAQなど立派な既存市場がありますが、その下がないという逆ピラミッド構造になっています。
それに対してアメリカやヨーロッパでは、企業のニーズやステージに応じた様々な市場が機能しており、かつ上場数ではピラミッド型を形成しています。ロンドンのAIMやアメリカのOTCプリティンボードなどの新興市場には、1,000社、2,000社という企業が上場しており、その後のステップアップを狙っている会社も多いようです。
そういう視点から見ると、日本にも同じような新興市場がなければおかしいということになります。その役割を果たせる市場が、TOKYO PRO Marketなのです。日本に初めてできた多様で幅広い会社を受け入れられる市場です。我々は、まさに日本経済の活性化のために必要な市場だと考えています。
日米の株式公開市場規模比較

上場企業としての信用は大きい。取り引き条件が良くなり、金融機関からの資金調達も好転する

では、企業側からするとTOKYO PRO Marketに上場するメリットとして、どんなことがあるのでLようか
下山 上場を検討されている方に我々がお話しするメリットとしては、第一に上場企業としての信用が得られるということです。これによって取り引き条件にも良い影響がでます。モノを買うにも、売るにも、上場前より有利に行えるようになります。
また、大手企業などでは非上場会社であると直接口座を開けないことがありますが、それが直接取り引きできるようになります。
金融機関からの資金調達がしやすくなるという効果もあります。上場会社として財務諸表が適正で、監査証明が付いているのですから、金融機関からすればお金を貸しやすい条件が揃うわけです。
また、知名度が増します。上場の話題性で取材などがあり、いろいろなメディアに取り上げてもらえます。
そうすると、人材を採用しやすくなります。ベンチャー企業などは非上場だと人材の採用にも苦労があると思いますが、この状況が改善されます。
さらに言えば、「自分たちは上場企業の一員なのだ」という意識が社内に浸透し、社員のモラルが高まるという効果もあります。
TOKYO PRO Marketは、投資がプロ投資家に限定されているので、流動性が低いという指摘がありますが、この点はどうお考えでしょうか?
下山 確かに「市場から資金調達ができる」「流動性がある」ということは、現状では言えません。そこに期待する声があることは確かですから、やはりそれができるようになるべきだと思いますし、今後に期待するところでもあります。
ただし、それがまだできていないからといって上場する意味がないかといえば、決してそんなことはなく、今申し上げたようなメリットはあるのです。
「流動性が高まるように、現在のTOKYO PRO Marketの定義を再考してほしい」と言うにしても、その前提となるのは、まず魅力的な企業が数多く上場することではないかと思います。市場の価値を高めながら変えていく、ということではないでしょうか。
脇本 流動性について、少し違う視点から見ることもできます。上場することは、株式が公開され流動化されることですから、リスクの一つとして買収のリスクも生じるわけです。一般に、企業規模は小さいが優秀な中小企業ほど、企業買収のリスクは存在します。しかし、TOKYO PRO Marketの場合は、売買の参加者に制限等があるため、不特定多数の投資家が参加する市場と比べると流動性が低いので、このリスクがある程度コントロールされています。例えば、流動株比率の数値基準がないため、他の市場と比べて、特定の株主の保有比率が高くても上場できるということで、成長過程の中企業にとっては逆に上場によるメリットとして着目すべき点です。

順調であれば、基本的に1年程度の準備期間で上場を果たすことが可能

上場を目指す企業との出会いから上場までの流れを救えていただけますか?
脇本 まず、我々はこの市場のリーディングカンパニーであるという責任感を持って、セミナーやイベント、取材などでTOKYO PRO Marketがいかに重要な市場かを訴えてきました。その中で、いろんな企集にパイプのある方々、たとえば監査法人、会計事務所、コンサルタントの方々と出会い、賛同をいただいています。上場を目指す企業との出会いは、こうした方々からご紹介いただく形で上がってきます。
ご紹介いただく企業の多くは、ベンチャー企業や地方の企業です。ベンチャー企業では、「マザーズやJASDAQに将来は上場したいと思っているが、今はまだそのステージではない」という段階にある企業が多いです。地方の企業の場合は、「上場は夢の話だと思っていたが、TOKYO PRO Marketは現実味がある」ということでご相談をいただきます。
多くのご相談をいただきますが、J-Adviserの責任としてしっかり審査をしますので、上場の準備に入れるのは10社に1社というところです。もちろん、その時に条件が整わなくても、時間をかけて整えていく企業もあります。
TOKYO PRO Marketは他の市場より基準が緩和されているとはいえ、やはり上場企業となりますので、上場に向けた様々な準備が必要です。そのために、当社がコンサルティングして、上場に向けて必要な要件を整えていきます。具体的には、資本政策、コーポレートガバナンスの強化、コンプライアンス体制の強化、内部統制の整備、一般的に上場に必要とされる内容に関しアドバイスを行い、改善を行っていきます。
また、最終的に、アドバイスを行う部門とは独立した当社の審査部門に加えて、弁護士事務所や会計事務所などの専門家からなるチームが東京証券取引所に代わって上場適格性のチェックを行い、上場に至るわけです。

重要なのは、上場をどのように会社の成長エンジンに変えていくのか

やはリ、「上場」は企業にとって大きなエポックになるのでしょうね。
下山 上場企業の社長様はじめ社員の皆様は、東京証券取引所の建物に入り、マーケットセンター(電光掲示板)に自社の名前が表示されてグルグルと回るのを見て、鐘をついて上場セレモニーを行うと、「本当に、東証に上場したんだ」と感動されます。
それを見守る私たちもたいへん幸せですが、私は「この上場は終点ではなくて、出発点である」ということを申し上げるようにしています。
実際に、上場をステップに「さらにやろう!」という気持ちになる方は多くいらっしゃいます。「地方から東京、東京から海外だ!」という感じですね。
脇本 重要なのは、上場をどのように会社の成長エンジンに変えていくのかということです。そのためには、上場の前から上場のメリットをどう活用するか、どんな成長戦略を実行するのかを考えておく必要があります。
御社としてはどのような上場後のサポートを行っているのでしょうか?
脇本 J-Adviserの本来業務としてのサポートはもちろんですが、それぞれの企業の成長戦略に対応して、お取引先のご紹介や、ファイナンス面でのご要望の対応など、当社のネットワークを活かして成長を応援しています。
下山 具体的な応援の仕方は、その企業が上場後にどのようなステップアップを目指すのか、それによっていろいろ変わってきます。たとえば、次にはマザーズ上場を目指すのか、地方での上場を目指すのか、あるいは香港やシンガポールの取引所、さらに言えばNASDAQという可能性もあります。
また、上場でなくても、「アジアに進出していきたい」という意欲を持っていらっしゃることもあります。
いずれのケースにおいても、我々は一緒になって考え、サポートし、次のステップを一緒に上っていくという気持ちで取り組んでいます。

十分な経験値を活かしたアドバイスと、アジアに広がるグループの力で上場企業をサポート

J-Adviserとしての御社の特徴を教えてください。
下山 まず、TOKYO AIM市場の立ち上げから取り組み、これまでにTOKYO AIM時代に上場した会社のすべて、TOKYO PRO Market第1号を含む9社の上場をサポートしてきましたので、経験値が十分にあるということです。「上場を目指す」と一言で言っても、その状況や考え方、パターンはさまざまですから、適切なアドバイスをするためにはやはり多くの経験を積み、そのストックを活かすことが重要です。
当社の場合は、上場を果たした9社のほか、残念ながら途中で上場をあきらめた企業も含めると相当の数の企業からご相談を受けてきましたので、これから「上場したい」という企業へのアドバイスも自信を持って行えると考えています。
もう一つ、我々のグループは、シンガポールや香港など世界16カ国にネットワークがあります。とくに「アジアに進出したい」とお考えの企業にとっては、上場だけでなく現地との業務提携などにも、もっとも使い勝手が良く、手厚いサービスが提供できると思います。
重要なことは、シンガポールのグループ本社は、現地最大手の一角であり、香港では地場4大証券の一つとしての地位を確立した会社であるということです。単なる窓口機能ではなく、現地の社会・経済の担い手が海外進出のお手伝いをするということは、進出する企業にとっても心強いのではないでしょうか。

自社だけでもトータル100件の上場を目指す

TOKYO PRO Marketについて、今後、どのように取り組んでいかれますか?
下山 私は、社内では「原則として年に10件、トータルで100件」と言い続けています。他の証券会社が動く、動かないに係わらず、とにかく自社だけで100件の上場を扱うというのは、最初に手を挙げたときからずっと変わらない目標です。
脇本 私もそのつもりで取り組んでいます。とにかく、先にお話ししたようにTOKYO PRO Market全体で1,000件以上の上場があっても市場の構造としてはまったくおかしくないのです。我々が目標達成を目指すとともに、他のJ-Adviserも活動を活発化すれば加速度的に上場企業数は増え、どこかでブレイク・ポイントがきます。
下山 そうなると1社、2社、3社とステップアップ上場する企業が登場し、話題になると思います。つまり、我々が考えているような「TOKYO PRO Market-新興市場」としての位置付けが明確になります。そうなったら、投資家の方々の興味も俄然高まります。こういうシナリオが必ず動き始めると、私は思っていますし、それを楽しみにしているのです。

(文-志澤秀一 写真-伯耆田 卓助)

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